医療の限界を拓いていくこと。 それが私の責務だと考えています。
第2回 メビオOB 先輩医師からのメッセージ
松矢 浩暉(まつや ひろゆき)
- 1990年 メビオ高校生科に入会
- 1992年春 関西医科大に合格、進学
- 1998年 関西医科大卒
- 2010年現在 関西医科大学 附属滝井病院 整形外科 助教
医学部進学を志していた頃から「進むなら父の母校である関西医科大学へ」と思っていました。また父は同大学附属病院の勤務を経た後、開業医となっていたので、私にとって関西医科大は、こどもの頃から「慣れ親しんだ身近な医大」だったのです。
現在、希望がかなって関西医科大附属滝井病院の整形外科に勤務しています。生徒に教えることもありますが、臨床が中心です。研修時代には内科や麻酔科にも惹かれるものがありましたが、最終的には整形外科を選択しました。それは父の影響や、指導してくださった先生に因るところも大きいと思いますが、やはりこの分野が好きだったことがポイントになりました。好きであるかどうかというのは、大事なことです。私の場合、朝7時半には出勤し、夜の9時頃までは病院にいます。また、深夜になることもめずらしいことではありません。確かに多忙ではありますが、毎日が楽しくて仕方がない。つまり整形外科医という職業が好きなのですね。後輩からどの科に進めばいいのだろうか、と相談されることがありますが、そのときは必ず「好きでないと続けるのは難しい。一生続けられる科を選びなさい」とアドバイスします。
整形外科の分野にかかわらず、治療を受けてすっきりと良くなる、というのが医療の理想なのですが、現実にはなかなかうまくいかないこともあります。それを「今の医療ではこれが限界なのだから、仕方がない」で終わらせていては、患者さんに失礼ですし、医学の進歩もありません。
大学病院は臨床データが数多く集まる場です。だからこそ臨床の経験を学会に発表することが、大学病院の責務だと考えています。関西医科大の整形外科は、今まで培ってきた独自の治療の方針や方法があります。もちろん、この方法がベストだ、という見解のもとに治療が行われているわけですが、仮に良くならないというデータが多ければ、現在の治療の方向を変えていかねばなりません。治療から得たデータを学会で発表することは、自分たちの医療のあり方を世に問うということなのです。ときに厳しい評価を受けることもあります。しかしそれが大学病院の使命です。学会での発表が今直面している問題の解決になることもあれば、10年、20年後の医療を変える力になることもあるでしょう。医療に貢献し、寄与していくことが大学病院のあり方だと私は考えています。
メビオで過ごした2年間は、私にとってただただ楽しいことばかりでした。メビオで共に学んだ友人が同じ附属病院にいます。診療科は異なりますが、治療のことについて話したり、相談したりできる貴重な友人です。予備校時代のクラスメイトと交友関係が続くのは、めずらしいケースかもしれませんね。