人と向き合うことの難しさを痛感する毎日です。
第3回 メビオOB 先輩医師からのメッセージ
塩田 悠介(しおた ゆうすけ)
- 2005年春 近畿大医学部に合格、進学
- 2011年 近畿大医学部卒
- その後 近畿大学医学部奈良病院にて研修医として勤務
血液内科での3ヵ月の研修を終え、現在は、循環器内科での研修プログラムを受けています。心筋梗塞といった命にかかわる急患の受け入れが昼夜問わずあるため、緊張感を持つ日々が続いています。
医師は人と向き合う仕事です。当然のことながら急患の方とは初対面のため、その患者さんがどんな思いを持っておられるのか、まったく分からない白紙の状態から治療が始まります。なかには今までの体験からか病院嫌いになっている方や、病気に対する不安から神経質になっていることもあります。入院しなければ命にかかわる、という病状であるにもかかわらず、頑なに入院を拒まれるケースを経験したときは、治療の同意を得ることや、患者さんと関わることの難しさを実感しました。臨床の場では、学生時代に得た知識だけでは対応しきれないことがたくさんあります。
また研修医となったこの半年で、感情を抑えることを心がけるようになったのは、大きな変化のひとつです。たとえば手技がうまくできたからといって舞い上がらないように、戸惑うことがあっても気分がダウンしないように、と気持ちをコントロールし、平常心を保つよう努める……それも現場では大切なことだと思っています。
大学卒業時には「国家試験にも合格したのだから、たとえ研修中の身であっても医療の現場で何かの役に立てるのでは」と考えていました。しかしその予想とは裏腹に、自分の無力さを思い知ると同時に、臨床実習でもっともっと学ぶべきだったのでは、と学生時代を振り返ったりもしています。医学部に合格するということは、医師になるという選択の始まりです。大学では「一人前の医師になるために、自分に何が不足しているのか」を意識し、学ぶという姿勢が大切なのではないでしょうか。そうすれば、自ずと主体性を持って学ぶことができるはずです。