地球博物学大図鑑【2】
地球博物学大図鑑【2】
2012/09/04(火)
前回のブログでご紹介した「地球博物学大図鑑」。
翻訳した講師の西尾からのコメントが届きました!!
こんにちは。生物を担当している西尾香苗です。
私はメビオでの仕事の傍ら、翻訳の仕事もしているのですが、今年は『地球博物学大図鑑』を出版しました。
「博物学」の名に恥じず、地球上の自然物(鉱物・岩石・化石・微生物・植物・菌類・動物)を網羅しようとした大図鑑で、でかくて重くてなんと3000g超!!
【…ということは小柄な猫1匹分(うちの猫はもっと重いのですが…)あるいは生まれたばかりの人間1人分(産んだことないですが…)】
私は、そのうち巻頭のP.16~P.32と、後半の動物パート全て、1800g分ぐらいを担当しました。
さて、今年はリオ・デ・ジャネイロで「生物多様性条約」が採択されてからちょうど20年目。
この20年間で「多様性」という言葉は一般に知られるようになりました。
しかしその一方で、生物の絶滅は恐ろしいスピードで進み、多様性はどんどん失われています。
この図鑑を訳しながら、こんなにいろんな生きものがいるんだなあ、と改めて感嘆すると同時に、ここに収録されている生物のうち、この先、絶滅するものも結構あるんだろうな……と悲観的にもなりました。
また、この20年間、DNAのデータを分類に利用する分子系統学が発展し、生物の分類が大きく変わりつつあるのですが、この図鑑には分子系統学による新しい分類がかなり反映されています(例えば、クジラに最も近縁なのはどうやらカバらしいです……)。
そして、生物多様性の意味が改めて人類につきつけられ、かつ、分類学が大きな変革の時期を迎えている昨今に、この大図鑑が出版されるのは大きな意味のあることだと思います。
と、難しい話は置いておいて、美麗な鉱物、幾何学的に美しい微生物、可憐な植物、形態の面白い無脊椎動物、かっこいいネコ科動物などなど、写真がぎっしり詰め込まれたページは、とにかくめくるだけで幸せになれます。
動物がお好きな方には、昨年出版した『動物生態大図鑑』のほうが、お値段も手ごろでお薦めかもしれません。
図鑑というより、動物のいろんなシーンを切り取って解説した読みもの的なものです。
人間の話は直接出てきませんが、生理的・解剖学的なしくみについては、(特に脊椎動物では)人間と共通するところが非常に多いので、医師を目指すみなさんが読んでも面白いんじゃないかと思います。
気が向いたら本屋や図書館でちょっとのぞいてみて下さい。
*『地球博物学大図鑑』スミソニアン協会監修
(西尾香苗・増田まもる・田中稔久 訳、東京書籍2012)
*『動物生態大図鑑』デイヴィッド・バーニー 著(西尾香苗 訳、東京書籍2011)
↑ 西尾に「お気に入りのページは?」と聞いてみると、
「やっぱり、これ!!」とトラのページ。
前回の『動物生態大図鑑』の時は「チーターのページ」。
やっぱりネコ科が大のお気に入りです♪