2017年度 近畿大学医学部 後期入試の講評
2017年度 近畿大学医学部 後期入試の講評
入試
メビオ講師コラム
2017/03/09(木)
3月8日、近畿大学医学部の後期試験が行われました。
志願者数は931名。昨年の1094名からやや減少したのは、問題が全学共通のオールマークの問題から医学部独自の問題に変更された影響があったと思われます。それでも定員は5名ですから厳しい戦いに変わりありません。昨年までの合格最低点は参考にならないでしょうが、英数が易しかった分、前期の合格最低点217点よりはかなり高くなって300点以上は必要になりそうです。各科目ごとの講評は以下に示します。
英語
今年度より、後期試験も医学部独自試験が採用され、推薦入試・前期試験と同形式・同内容となった。大問は5問。大問Ⅰの小問数が10、それ以外の大問はそれぞれ小問数が8。
Ⅰ(文法・語法) 推薦入試・前期試験に比べて語彙はかなり易しく、選択肢は選びやすい。
Ⅱ(正文選択) 正誤問題の基本的な論点を押さえていれば取り組みやすい、基本的な問題が多い。
Ⅲ(語句整序) 空所の位置から品詞が確定し、答が決まってしまう問題が多く、難問もない。
Ⅳ(空所補充) 「野菜が体によい本当の理由」。語彙レベルは高くなく、選択肢は選びやすい。
Ⅴ(長文総合) 「失明した人に見られるブラインドサイトという現象」。文脈を踏まえた語句挿入、文挿入、文整序で少し考える要素があるが、総じて選択肢は選びやすい。
全体としては推薦入試・前期試験よりもかなり易しく高得点勝負。全体で8割が目標。
数学
1 [三角形](やや易)三角形の成立条件等三角形の範囲の基本事項を問う問題。どの問題も基本的であり、満点で乗り切りたい。
2 [数列(融合問題)](標準)n ≧2 のとき {an} が周期3で繰り返すことが見抜ければ、その後は単純。計算ミスが命取りとなるだろう。
3 [数 II 微積分](標準)典型的な問題。(3) の面積計算は計算の上手い下手が得点を左右するだろう。
昨年度まで「全問マーク形式」の出題であったが、今年から「大問 3題のうち2題は答のみ。1 題は記述」の形式に変わった(推薦・一般前期と同じ形式)。単純に昨年の問題と比較する訳にはいかないが、昨年に比べて明らかに易化した。今年の一般前期に比べても易しい。記述の大問があるとはいえ、高得点勝負となるだろう。ボーダーは9割。
物理
大問Ⅰ: 力学的エネルギーと仕事の関係。平面との繰り返し衝突。
大問Ⅱ: 電場及び磁場中の荷電粒子の運動
大問Ⅲ: 斜めのドップラー効果
大問Ⅰ 内容は標準的だが、状況が複雑で前問の答えを用いた計算が多くミスをす
ると連鎖しやすい。他の大問の難度を考えると完答しておきたい。
大問Ⅱ 扱っている題材は標準的だが、電場や磁場の向きが座標軸と平行でないた
め空間的な状況を把握するのが苦手な受験生は苦労しただろう。前半は正解しておきたい。
大問Ⅲ 題材は標準的だが、与えられた情報から答えを導くのは難しい。(2) (3) は押さえておきたい。
前期に比べると,計算や状況把握の難しい問題が多くかなり難度が高い。ボーダーラインは7割弱。
化学
大問3題は例年の前期の出題形式を踏襲している。出題範囲は大問Ⅰが結晶格子・熱化学・アンモニアソーダ法。大問Ⅱが気体の燃焼反応と中和滴定。大問Ⅲが有機構造推定と合成高分子であった。大問Ⅰは近畿大学ではよく出題される結晶格子の問題で受験生は対策していたであろう。格子エネルギーを求めるボルン・ハーバーサイクルの問題もよく見られる出題である。大問Ⅱは設定が煩雑であり、かつ計算も綺麗に割り切れないことから時間内に正答にたどり着かない受験生も多かったのではないか。大問Ⅲの構造推定もやや難しく、さらに高分子の計算問題も受験生が苦手とする範囲で慣れが必要な内容であった。
全体的に問題量が多く、いかにテキパキと処理できたかで得点に大きく差が出る内容である。それでも定員が 5 名であることを考えれば8割は取れていないと合格は難しそうである。
生物
今年から出題形式が変わり、前期試験とほぼ同じスタイルになった。前期試験と比べると内容的にはやや難化した印象。
特に大問Ⅰの「光呼吸」の問題には馴染みのない受験生が多く、問5以降の完答はかなり難しかっただろう。大問Ⅱは標準的な内容だが、計算量が多く時間がかかる。大問Ⅲは指定の字数に解答をまとめるのに苦労する問いが多く、特に問2は処理しづらかっただろう。
全体として決して簡単な出題ではなかったものの、後期試験という狭き門であることを考慮すると6割を目指したい。