メビオ講師による2021年度大学入学共通テスト分析
メビオ講師による2021年度大学入学共通テスト分析
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入試
メビオ講師コラム
2021/01/22(金)
2021年度大学共通テスト分析
実はメビオでは毎年私立医学部だけではなく共通テスト(旧センター試験)も分析しています。
2021年度から名称が変更になった大学入学共通テスト。
内容はどんなふうに変更になったの?と気になる方も多いはず。
そこでメビオ講師による大学入学共通テスト分析を特別に一部ご紹介いたします。
英語 リーディング
試行調査の段階からある程度予想できていたことではあるが,これまでのセンター試験とはまるで似て非なる問題となった。 語数は大幅に増えたが,英文そのものが難しいわけではなく「実生活における情報処理能力や問題解決能力を測る」という傾向が強まった。 さらに,それぞれの大問で試そうとする能力を明確にした設問が用意されていたのも特徴。 今後の対策としては,速読,多読,内容の視覚化の訓練がますます必要になってくるだろう。
英語 リスニング
全体として,センター試験に比べて明らかに難化した。試行調査第2回と比較しても,難易度はやや上がった。
また,試行調査と形式面ではおおよそ一致しているが,一部の問題は作りが凝っており,リスニング力とは別の次元で難易度が高い設問もあった。
さらに,センター試験との大きな違いとして,共通テストのリスニングは「一度しか聞けない」ことが挙げられる。
今後の対策としては、速読力・多読力を伸ばすために、「スキャニング」「スキミング」「ビジュアライズ」などの訓練を日頃から長期的に行なっていくことが必要となるであろう。
数学
数IA,数IIBとも試行調査のような解きにくさはなかった。前身のセンター試験と試行調査の中間くらいという印象。
特徴としては「問題の長文化」「計算量の減少」が挙げられる。
従来の,計算力重視の傾向から,数学的な発想力,論理的思考力を重視する流れに変わったと言える。
上辺をなぞったような単純な解法暗記という勉強法では太刀打ちしづらい。
定理や定義の意味をしっかり理解し,幅広い解法を身に付けておくべきだろう。
国語
- 現代文
事前の試行調査の問題の通り,複数文章・資料比較の要素が新しく入った。
しかし,この新要素は,各大問に一問程度,設問のレベルで導入されたにとどまり,全体としてはほとんどセンター試験の設問形式が維持されている。
- 古文漢文
文法事項だけでこれと決められるものが少なくなった。
特に古文に関しては,和歌解釈や,主語や目的語があやふやな文を緻密に解釈しなければ解けない設問があり,なかなか難しかったのではないかと思われる。
物理
試行調査とセンター試験の間を取ったような出題であった。
全体的には,計算力よりも,現象に対する定性的な理解が求められている。
物理的な常識があれば難なく正解を得ることができるが,問題文に与えられた情報のみで解こうとすると苦労する問題もあった。
「公式を当てはめて解く」のではく,「公式の意味合い」や「なぜこのような現象が起きているのか」ということを深く理解するよう努めるべきである。
化学
難易度は,昨年のセンター試験よりは難化,試行調査よりは易化した。 全体的に,バランスがよく実力差が素直に反映されそうな質の良い問題が出題された。 「実験で起こった反応をしっかりと理解する思考力を問う問題」や,「その場の閃きで簡単に解けてしまう問題」もあり,得意な生徒と苦手な生徒で大きく差がついた可能性がある。
生物
試行調査同様,単純な知識問題は減少しており,実験考察問題が増加したが,試行調査ほどの難解な問題は出題されておらず,昨年のセンター試験より易化した。
センター試験に比べて考察・解釈を必要とする問題が増えたが,あまり深読みせず,素直に問題文を読み,図表を解読できさえすれば正解に至るのは難しくない。
また,知識を問う問題もバランスよく配置されており,コツコツ頑張ってきた受験生にもきちんと得点できたのではないか。
世界史
センター試験に比べて明らかに難化,試行調査と比べても少し難化した。
全体として,「その場で読み取る力」または「その場で思考する力」が必要となる問題が増えた。
ただ,そのような練習だけを積めば高得点できるものではなく,普段の学習において「流れの理解」を重視しながら,丁寧に知識を整理していく必要がある。
単なる暗記に走るのはもってのほかだが,土台となる知識は大いに必要。
例えば,年号そのものを問う問題はないものの,リード文中の年号を手がかりに,その時代に対応する出来事などを選択しなければならない問題は多かった。
こういった基礎知識は意外と重要で,その知識と出来事どうしのつながり,因果関係を考慮に入れて学習していきたい。
倫理・政治経済
- 倫理分野
試行調査の傾向をさらに進めた印象。
資料を伴う問題,会話文に基づく問題がこれまでに比べて増加した。
- 政経分野
受験生には分量が増えたように感じられただろう。
これまでは,あまりリード文は読まなくてもかなりの設問が解ける場合が多く,「困ったときに限ってリード文に戻って趣旨を確認」でよかった。
比して,いずれの問題も隅から隅まで読まなければ正解を得ることができなくなっている。センター試験では,出来不出来にかかわらず50分で見直しまで終わるような出題だったが,共通テストではきちんと解くには60分を使い切る印象。
思考力や,知識を応用する能力を問う,という方針に従った,全体によく工夫された良問であった。