大阪医科薬科大学の生物について/生物科 講師 森本
大阪医科薬科大学の生物について/生物科 講師 森本
入試
メビオ講師コラム
2021/02/08(月)
大阪医科薬科大学の生物について
まず大阪医科薬科大学については2021年1月11日(月)に永瀧先生が紹介されていますので,そちらをご確認ください。
【→大阪医科薬科大学について/数学科 講師 永瀧】
ということで、私の方からは目前に迫った一般選抜の生物についてお話しさせていただきます。
大阪医科薬科大学の生物は,試験時間は理科2科目で120分,配点は理科2科目200点,出題形式は記述式で空欄補充・語句・記号選択・論述・描図など様々です。
過去3年の出題
2020年 【前期】
[大問Ⅰ]
分野:光合成 難易度:標準
テーマ:光合成色素,光合成速度,電子伝達系,ATP合成酵素
[大問Ⅱ]
分野:生態系 難易度:標準
テーマ:炭素循環,窒素循環,窒素同化,窒素固定,エネルギー収支
[大問Ⅲ]
分野:発生 難易度:易
テーマ:ガードンの実験,遺伝子発現,全能性,iPS細胞,組織幹細胞
[大問Ⅳ]
分野:味覚・嗅覚 難易度:標準
テーマ:受容器,β―イオノンの受容,優性の法則
2019年 【前期】
[大問Ⅰ]
分野:被子植物の生殖と発生 難易度:標準
テーマ:重複受精,ジベレリンによる遺伝子発現調節
[大問Ⅱ]
分野:体液の浸透圧調節 難易度:やや易
テーマ:腎臓,ホルモン,代謝水,水分の再吸収率
[大問Ⅲ]
分野:筋肉 難易度:標準
テーマ:筋肉の発生,自律神経系,筋収縮,筋収縮のエネルギー源
[大問Ⅳ]
分野:免疫 難易度:やや易
テーマ:花粉症,抗体遺伝子の再編成,炎症,免疫寛容
2019年 【前期】
[大問Ⅰ]
分野:神経 難易度:易
テーマ:静止電位と活動電位,興奮の伝導
[大問Ⅱ]
分野:浸透圧 難易度:標準
テーマ:植物細胞の浸透圧,植物細胞の成長,赤血球の浸透圧変化
[大問Ⅲ]
分野:呼吸(ガス交換) 難易度:やや難
テーマ:原始大気における酸素の蓄積,血液の酸素分圧,呼吸運動
[大問Ⅳ]
分野:生殖 難易度:標準
テーマ:減数分裂,組換え価,染色体地図
難易度
2020年度は「標準」問題が3題,「易しい」問題が1題でした。
基本的な内容を中心に問われていましたが,考察を含む論述問題も出題されており,論述問題の出来によって差がついたでしょう。
大問ごとに見ていきますと,Ⅰは内容的には難しくはないものの,論述をまとめるにはやや手間のかかる問題でしたので,Ⅱ・Ⅲ・Ⅳを手早く片付けて,残りの時間でじっくりとⅠの論述に取り組めば高得点も狙えたでしょう。目標は75 %以上でした。
出題範囲
出題範囲は生物学全般にわたる広い範囲から出題されます。人体系の出題もみられますが,他の私立大学医学部に比べれば出題頻度は低いです。
一方,私立大学医学部では一般的にそれほど出題頻度の高くない『進化』・『分類』・『個体群』・『生態系』といった分野が出題されることも多いです。2020年度の前期試験でもⅡで『生態系』が出題されていました。
他大学での出題頻度が高くないため,これらの単元の学習が後回しになっている医学部受験生も多いので,しっかり対策をおこなうことで有利になることも多いです。
*2021年度の入試では,新型コロナウイルス感染症の影響により,高校生を配慮して『進化と系統』・『生態と環境』といった範囲を出題範囲から除外する大学もありますが,大阪医科薬科大学の〔令和3(2021)年度 入学試験概要〕には「一般選抜(前期、後期および大阪府地域枠)について、出題範囲の変更等は行いません。」と記載されていますので,従来通り出題される可能性が高いです。
出題形式
やはり論述問題が多いのが大阪医科薬科大学の生物の一番の特徴です。また,論述問題といっても,基本的な語句を説明するものに加え,与えられた実験結果やグラフから考察して解答するものも多く出題されます。字数指定はなく,解答欄に合わせて解答するタイプのもので,解答欄は狭いものでは1行未満,最大でも2行です。スペースが不足気味なため,重要なポイントに絞ってうまくまとめる必要があり,解答に時間を要することも多いです(逆に解答欄が余ってしまうこともありますが,その場合は無理に埋めようとせず,余ったままにしておくのが得策です。無理に追加した部分に誤りがあったら減点されてしまう恐れがあります)。ひねりのないごく当たり前の内容が正解となることもあります。
このような傾向があるので,論述問題の練習は欠かせません。可能であれば自分の書いた答案を添削してもらい,用語の誤解や不適切な日本語表現などを客観的にチェックしてもらうとより効果的です。
一方で空所補充や単純に語句を答える設問には基礎的なものが多いので,基礎的な知識をしっかり押さえておくことで,ある程度の得点を確保できます。
逆に,いくら論述が書けていても,基礎的な問題で間違ってしまうと高得点は狙えません。
計算問題も比較的よく出題されます。「有効数字2桁」「小数点以下第2位まで」などの指定も見逃さないようにしましょう。
描画問題が出題されることもあります。図を大きめの空欄に丸ごと描かせるというよりは,あらかじめ描いてある図に器官や物質の所在を〇で印をつけるものや,矢印の方向をつけ加えるようなものが多く出題されています。
直前の学習ポイント
前述の通り,多くの医学部受験生にとって(2021年度は特に)学習が手薄となっている『進化』・『分類』・『個体群』・『生態系』といった分野は優先して学習しておくべきでしょう。
また,論述対策として,各分野の代表的な現象については名称だけではなく文章で説明できるようにしておきましょう。
医学部進学予備校メビオ 生物科 講師 森本