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近畿大学医学部推薦入試 各科目の講評および全体総括

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近畿大学医学部推薦入試 各科目の講評および全体総括

入試

メビオ講師コラム

2023/11/18(土)

2024年11月17日(日)に近畿大学医学部学校推薦型選抜の一次試験がありました。

2024年度入試では、志願者数742人、一次合格74人、最終合格51人でした。2025年度入試は、志願者数670人となり、昨年より約1割減少しました。合格発表に関しては、昨年同様、一次合格75人前後、最終合格55人前後かと思われます。

それではメビオ講師による各科目の講評です。

英語
Ⅰ[会話文]
空所以降の文脈をきちんと判断する必要があります。本文と選択肢の指示語や代名詞には注意を払う必要があります。
Ⅱ[空所補充]
「砂糖税導入の悪影響」に関する英文です。空所前後の文構造を把握し、空所に入れるべき品詞・語形を予測しながら選択肢を吟味することが求められます。
Ⅲ[文法4択]
品詞、時制、倒置などが問われており、基本的文法事項・語法を押さえていれば容易に得点できます。
Ⅳ[同意文選択]
熟語の知識に関する問題で、選びにくいものも含まれます。一つ一つ選択肢を丁寧に検討して意味の通らないものを消去していけば、正答を絞り込むことが可能です。
Ⅴ[語彙]
基本的な単語の知識を問う素直な問題です。日頃から英英辞典を使って学習していれば、単語説明の英文にもさほど苦労はしないでしょう。
Ⅵ[語句整序]
英文法や熟語の知識を用いて正しい語句の並びを決定できます。
Ⅶ[長文総合]
「ファストファッションと高級ブランドの両者に見られる変化」に関する英文です。本文の内容に「合わない」ものを問う設問が含まれるため、検討にはやや時間がかかりますが、設問内容が明確ですので、素直に考えて解答できます。

形式、内容は昨年と変わりませんでした。差がつきやすい大問Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅶをどれだけ確実に得点できたかどうかで合否が分かれるでしょう。目標は75%です。

数学
Ⅰ[小問集合]
(1)の三角関数は基本的な内容であり、落とすことは避けたいところです。(2)の確率は、割り込ませる方法ですべて解決できます。これもできれば完答を目指したいです。 (3)は、相加平均・相乗平均の関係から解けますが、(i)を突破したとしても(ii)が難しかったかもしれません。コーシー・シュワルツの不等式を用いると簡潔ですが、ややハードルが高いでしょう。
Ⅱ[データの分析]
未知数を含むデータ群について、平均値と分散を考えていく問題でした。似たような処理を繰り返す設定になっており、単純に計算力で差がつきます。できれば完答したいですが、制限時間内では厳しかったかもしれません。分散の計算をする際に、分散の定義式を用いるか、(2乗の平均)-(平均の2乗)を用いるかで計算量が少々変わります(前者が楽です)。
Ⅲ[二次関数、数学Ⅱの微積分]
複数の分野の融合問題でした。(3)までは何とか正解したいところです。(4)は、厳密な議論はさておき、(3)で得られた結果から適するものをうまく見つけられるとリードできそうです。

2023年度入試から全学部共通のマークシート形式となっており、今年度もそれが踏襲されています。医学部独自の記述形式だった時代と比べると、計算力と典型問題の経験値が重要となる傾向が強く、今回もその傾向に沿っています。なお今回は、方程式などをまともに解かずに当てはまる値を見つけにいった方が手早い設問がいくつか見受けられました。

Ⅰ(1)(2)、Ⅲ(1)~(3)は完答に近いところまで仕上げたいです。Ⅱの計算をどこまで合わせられたかと、それ以外の設問でどれだけ立ち回れたかが勝負でしょう。目標は80%です。

物理

大問2問構成で、各大問が3問ずつに分かれていますが、問題で扱われているテーマごとに整理し、以下の3つのテーマに分けて講評します。

Ⅰ-AとⅠ-B[粒子の散乱]
Ⅰ-Aの1~7はぜひ完答したいです。Ⅰ-Bの10は、半径R₁の円周より外側に到達する粒子数を壁に衝突する全粒子数から引く必要があり、注意が必要です。
Ⅰ-C[万有引力]
11~13および17は標準的で、それ以外の問題はかなり難易度が高く、計算に時間がかかります。
Ⅱ-A〜C[コンデンサー・交流回路]
前半Ⅱ-Aはコンデンサーの知識の問題です。イ、3、7のように文章の流れ上やや埋めにくい空所がありますが、語句も含めて完答したいところです。後半Ⅱ-B・Cは、文章が長くやや設定が込み入っているように見えますが、コンデンサーと抵抗の並列交流回路であり、標準的な内容です。9~11については、交流回路で電力を消費するのは抵抗のみであることが分かっていれば解答できます。

総じて、難易度は2024年度推薦と同程度です。昨年度に続き、2025年度も大問2問の形式です。全て空所補充式。例年のようなグラフを描く問題は出題されませんでした。空所の総数は31問で2024年度より2つ少ないですが、ほぼ例年通りです。Ⅰ-Cの後半に時間をかけすぎると全ての問題に手をつけるのは厳しいでしょう。計算に時間がかかる問題をうまく飛ばしたとしても、得点の上限は8割程度でしょう。目標得点率は55%です。

化学
Ⅰ[気体の性質、蒸気圧、気体の溶解、弱酸の電離平衡]
酸性を示す3種の気体の発生反応とその化学的性質、ならびに気体の溶解に関する法則と二酸化炭素水溶液の酸性度に関する出題で、すべてを解答するには多岐にわたる幅広い範囲の知識を必要としました。さらに(10)と(12)は非常に濃度が低い弱酸の電離平衡や水素イオン濃度の求め方について正確な知識を必要とするため、難しかったです。ただ、全体的な問題の分量から判断し、解答時間も足りないことから、この2問を解かなくてもおそらく差はつかなかったでしょう。それ以外をなるべく正確に解いて点を稼ぎたいところです。
Ⅱ[結晶格子]
(7)あたりまでは平易な問題が続きましたが、その場で導出するのではなく、計算結果をある程度記憶していないと時間的に厳しかったのではないでしょうか。(8)~(10)ではCsCl型の限界半径比についての出題でしたが、これもまた慣れが必要な題材でした。この分野をやり込んでいたかどうかで差がつきそうです。充填率を〔%〕で解答する点にも注意が必要です。
Ⅲ[有機化学]
問1では精度の高い有機化学分野の知識が求められました。一つ一つを見るといずれも決して難問ではないのですが、問題の形式が「すべて選べ」という形であったため、差がついたものと思われます。問2ではエステル化が可逆反応であることを認識していたか、それにより含有される不純物の除去の実験に触れたことがあるかどうかで、難易度が大きく違って見えたでしょう。

2024年度と比較して難化しており、内容面ではⅠの記述問題やⅢで、時間配分の面ではⅡで差がつきそうです。化学で得点を稼ぐことが困難な出題となっていました。目標は60%です。

生物
Ⅰ[免疫]
知識を正しく運用できれば難しくありません。アレルギー反応の仕組みに関する論述を75字以内に納めるのに苦労した受験生が多かったでしょう。
Ⅱ[オペロン]
ラクトースオペロンだけでなく、トリプトファンオペロンについても正しい理解が求められています。また、ラクトースオペロンに関しては、リプレッサーだけでなくアクチベーターについても聞いたことがあったかどうかで差がついたでしょう。
Ⅲ[興奮の伝導・伝達]
かなり精度の高い知識がないと、何を書けばよいのか決めきれない論述問題が多く、取り組みにくいと感じた受験生が多かったでしょう。論述問題でどれだけ得点できたかで差がついたと思われます。

昨年よりかなり難化しました。目標は60%です。

全体講評

2025年度は英語が難化、数学が易化しました。理科の難易度は概ね揃っており、科目選択による有利不利はあまりないでしょう。一次合格突破ラインは215~220点と予想します(2024年度は223点)。

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