医学部コラム
【講師監修】慶應義塾大学医学部の入試傾向と受験対策・勉強法を解説|医学部進学予備校メビオ
基本情報
2023/07/27(木)
(最終更新日2024/12/16)
慶應義塾大学医学部への受験を考えている人にとって重要なのは、入試の出題傾向を知ること、出題傾向に合わせた対策を取ることです。慶應義塾大学医学部の入試情報、科目別の出題傾向や勉強法など、受験に向けて知っておきたい情報を紹介します。慶應義塾大学医学部への受験を考えている人にとって重要なのは、入試の出題傾向を知ること、出題傾向に合わせた対策を取ることです。慶應義塾大学医学部の入試情報、科目別の出題傾向や勉強法など、受験に向けて知っておきたい情報を紹介します。
慶應義塾大学医学部の概要
慶應義塾大学医学部の前身は1873年に三田に設立された慶應義塾医学所です。1917年には北里柴三郎を学部長に迎えて慶應義塾大学医学科として発足しました。1947年の学校教育法の制定を経て、1952年には新制医学部が発足しています。2017年には医学部開設100年を迎えました。
慶應義塾大学医学部の入試情報
【所在地】〒160-8582 東京都新宿区信濃町35
【学生数】674名(2021年10月1日時点)
【公式サイト】https://www.med.keio.ac.jp/
【アドミッション・ポリシー】
【求める学生像】本学医学部は、本学の使命「独立自尊と実学(サイエンス)の精神に基づき、患者中心の医療を実践し、世界の医学を先導する」に基づき、「基礎臨床一体型の医学・医療の実現」の理念の下、人材を育成してきました。
本学医学部は、この使命・建学の精神を理解し、次世代を先導し、豊かな人間性と深い知性を併せ持つ医学生を強く求めます。そのために、創立者 福澤諭吉の「一身独立(自ら考え、実践する)」の教えを理解し、世界に雄飛し、患者中心の医療を実現できるphysician scientist(科学的思考力を備えた医師)となりうる医療人としての資質、使命感、学習意欲を重視し、卒業時コンピテンスを修得しうる人材を選抜します。
【求める学生像】
医学部では、幅広い知識や技能を修得し、実践することが求められます。また、卒業後は、医療人として、生涯にわたって学び続けることが求められます。そのために、大学に入学するまでに、次の教科・科目についての学力とともに、自ら学ぶ学習態度を身につけることが期待されます。
数学:数量的な概念の理解、論理的思考力、計算力
理科:物理、化学、生物など自然科学についての十分な理解と科学的思考力
英語:英語の読解力、表現力、コミュニケーション能力
特別活動および課外活動:主体性、協調性、共感・思いやり・気遣い、利他性(奉仕の心)、倫理感、責任感、洞察力など
【6年間の学費】2,223万9,600円(2023年度)
【奨学金情報】
慶應義塾大学医学部人材育成特別事業奨学金
慶應義塾大学給費奨学金
慶應義塾大学修学支援奨学金
慶應義塾創立150年記念奨学金(海外学習支援)
慶應義塾維持会奨学金
指定寄付奨学金
日本学生支援機構の奨学金
地方公共団体および民間の奨学団体による奨学金制度
慶応義塾大学医学部の試験科目・募集人数・受験料・出願期間、入試日程・会場アクセス、受験者数・合格者数など詳細情報はこちら
慶應義塾大学医学部合格に向けたロードマップ
高1生
医学部に入るためには高校1年生のうちから以下のことに取り組むことが重要です。
まずは高い学力を身につけるために、授業に真剣に取り組み、定期的な復習を行いましょう。数学や英語に特に力を入れることが必要です。
英語力を向上させるために、中学英語の基本を確実にマスターすることはもちろん、自由英作文で様々な話題について発信する力を身につけることを意識して、社会や国語など理系の生徒にとって手薄になりがちな科目も大切にして常識、背景理解を深めるようにしておきましょう。また、医学に関連する本やウェブサイトを読んで医学系の知識を広めることも大切です。
さらに、ボランティア活動や病院見学など医療現場に触れる機会を増やし、医師の仕事や現実を理解することも意義があります。
高2生
高校2年生の場合は、以下のことに取り組むことが重要です。
まずは学力向上に注力し、特に数学や英語を重点的に学びましょう。
英語については、長文問題は国公立大二次試験の記述問題と難易度は変わらないので、受験学年でそうしたハイレベルな問題に対応できるように、基礎理解を固めつつ、単語や熟語を一通り覚えておくことが必要です。
医学部入試において、面接試験の重要性は高まっています。何も体験していないのに語ることはできませんので、受験学年に入る前に、医療に関連するボランティア活動や研修プログラムに積極的に参加し、医療現場の実践的な経験を積むことも重要です。
最後に将来の進路や大学選びについての情報収集を始め、必要な準備や対策を進めることも大切です。
高3生
高校3年生の場合は、以下に注力することが特に重要です。
できるだけ早い段階で、慶應義塾大学の過去問に触れて、今の自分に足りない力が何なのかを明確にしておきましょう。例えば、自由英作文を時間内に仕上げられない、長文は意味を理解できても、空所に何を入れていいかわからない、など、人によって抱えている課題は違うはずです。その状況を踏まえて、無駄なく弱点克服を図ることができるかどうかで結果が変わります。
大学別模試なども利用して、実践力を養い、苦手分野を克服する努力を惜しまないようにしましょう。また、志望校の出願要件や受験情報を確認し、必要な書類や面接対策の準備を行いましょう。同時に、継続的なボランティア活動や病院見学など医療現場での経験を積み、自身の意志や目的を深めてください。
慶應義塾大学医学部の科目別受験対策・勉強法
英語
傾向分析
英語は、「コミュニケーション英語Ⅰ」「コミュニケーション英語Ⅱ」「コミュニケーション英語Ⅲ」「英語表現Ⅰ」「英語表現Ⅱ」から出題されます。90分の試験時間で配点は150点です。読解問題が3題と自由英作文が1題の4題で構成されています。解答は記述式で一部記号選択も含まれます。国公立大型の出題形式といえます。長文問題のなかに英文和訳・和文英訳・内容把握・空所補充などさまざまなタイプの問題が盛り込まれています。
受験対策・勉強法
記述問題に十分な時間を割くには問題文をいかに早く読解するかがポイントです。そのためには、英語を前から読み進めながら、意味内容を正確に頭の中で整理する能力を養うことが大切です。まずは、音読による読解スピードを高めて、そのスピードで内容も正確に把握できるようにすることを目指しましょう。次に目で追って読む速度をさらに高めるように、常に時間を測って問題に取り組むようにしましょう。
そうした速読訓練とは別に、和訳問題や説明問題に備えて、正確な和訳、意味の分かる日本語を構成する力も養う必要があります。これらは自分の理解を採点者に伝えるための大切な訓練です。わかったつもりにならないように、必ず答案を誰かに見てもらえる環境を用意して、地道な改善の努力を積み重ねることが大切です。日本語英訳問題については、英文中に設定される傾向にあるので、日頃から英文を読む際に、英語らしい表現とはどのようなものかを意識して取り組むようにしましょう。自由英作文対策としては、英語運用能力を養うことはもちろん、与えられたテーマに関して自分なりの考えを、明確に、わかりやすく展開できるように、さまざまな話題について理解を深め、背景知識を蓄えることが大切です。そして、最後に大切なのは、その考えをあくまでも英語の論理に従って構成するトレーニングを積むことです。これについても、自己満足に陥らないように、常に書いたものを誰かに読んでもらい、評価してもらえる環境を用意することが大切です。
数学
傾向分析
数学は、数学Ⅰ、数学Ⅱ、数学Ⅲ、数学A(「場合の数と確率」「整数の性質」「図形の性質」)、数学B(「数列」「ベクトル」)から出題されます。100分の試験時間で配点は150点です。大問が4題出題され、1問目は小問集合、2問目以降は大問で構成されています。大問のうち1問は高頻度で確率漸化式が出題されており、残りの2問はさまざまな分野からの融合問題です。出題形式は空所補充が多く、文章中や数式の一部に設けられた空欄に数値や数式を埋めていく問題が出題されています。
受験対策・勉強法
まずは教科書レベルの問題集で、苦手分野ができないよう基本問題をマスターします。次に標準レベルの受験用問題集を用いて、少し難しめの問題やパターンを組み合わせた演習問題に取り組みましょう。過去問は最低5年分取り組んでおきます。確率漸化式や積分の体積を求める問題がよく出題される東大の過去問にもチャレンジするとよいでしょう。数学の試験は難易度が高く、時間内に解き切ることが難しいため、スピーディーな計算力を高めておくことも必須です。
化学
傾向分析
化学は、化学基礎・化学から出題されます。理科は化学・物理・生物のうちから2科目を選択し、試験時間2科目で120分、配点は1科目につき100点です。化学は例年全問記述式で出題され、大問が3題です。出題傾向は年度によって大きく変化しており、記述式のなかには番号を選択して答える形式もあるなど、出題形式もさまざまです。私立大学医学部には珍しく、計算問題の導出過程を求める問題も出題されます。
受験対策・勉強法
まずは教科書レベルの問題集を使って、基本事項を徹底して習得できるようにしていきます。ある程度解けるようになったら過去問にも目を通します。過去問でどのような問題が出題されたかをつかんだうえで、少しレベルの高い問題集に挑戦するとよいでしょう。苦手な分野は、計算も最後まで解き切る訓練をしていきましょう。得意な分野は資料集で関連事項を調べたり、参考書を用いて深い内容まで知識を増やしたりしていくことが発展問題への対策です。
物理
傾向分析
物理は、物理基礎・物理から出題されます。理科は化学・物理・生物のうちから2科目を選択し、試験時間は2科目で120分、配点は1科目につき100点です。物理の大問は3題で構成され、大問1は小問集合、残りの2問は力学・電磁気・原子などを中心に出題されますが,2分野にわたる融合問題も多く出題されます。大問1問あたり6~9の小問が出題される年が多い傾向です。問題形式は主に記述式ですが、数値計算や描図問題、論述問題、物理用語を問うものも出題されています。
受験対策・勉強法
教科書は隅から隅まで熟読し、すべての例題や問題を解けるようにしておきます。教科書に載っている公式は使えるようにしておきましょう。標準的な入試問題は、スラスラ解答できるようにします。難易度の高い問題や柔軟な思考力を要するタイプの問題が出題されることが多いです。数値計算もミスなく処理できるようにしておきましょう。本番が近づいたら時間を計りながら過去問を解いて、どの順番で問題を解いていけば効率がよいかを考えていきましょう。慶應義塾大学の入試問題は時間に対して問題数が多いため、できる問題から解いていく効率のよさを身につけることも必要です。
生物
傾向分析
生物は、生物基礎・生物から出題されます。理科は化学・物理・生物のうちから2科目を選択し、試験時間は2科目で120分、配点は1科目につき100点です。生物は大問3題が出題され、大問1つにつき小問が10問以上出題されることがよくあります。出題形式は30~80字程度の論述・記述式問題がメインで、グラフや図を描かせる問題も出題されます。
受験対策・勉強法
高校で学んだ知識で解答できる問題や、実験考察問題で記載してある内容から推測できる問題をなるべく落とさないようにすることがポイントです。そのために、基礎知識をしっかりと身につけていきます。基礎が身についたら中級レベルの問題演習に多く取り組み、資料集で図表の知識を補いましょう。夏以降には上級レベルの問題集に挑戦していきます。過去問は夏休みに少なくとも1年分は解いて、出題傾向や難易度を把握しましょう。東京大や大阪大の過去問は実験考察の問題演習として有効です。
慶應義塾大学医学部の受験対策についてよくある質問
慶應義塾大学医学部の特徴は?
慶應義塾大学医学部は総合大学の強みを活かし、医療系3学部(医学部、看護医療学部、薬学部)での合同教育を行って学生のうちから交流を深めています。研究面においても医療系3学部の連携による高度な医療研究や、理工学部との連携による医学ロボットの開発など共同研究を実施しています。また文系学部とも連携し現代の医療・医学に関するさまざまな問題に多角的にアプローチしています。
慶應義塾大学医学部の難易度はどれくらい?
慶應義塾大学医学部は、私立大学理系学部のなかで最難関に位置します。国公立大学の難関医学部と比べても、東京医科歯科大学や千葉大学、東北大学の医学部を上回るレベルです。
慶應義塾大学医学部の受験対策や勉強法はどうすればいい?
慶應義塾大学医学部の合格切符を手にするためには、闇雲に勉強すればよいわけではありません。ここまで紹介してきた勉強方法をベースとしながらも、各科目における自分の得意分野・不得意分野や、現在の習熟度や理解度をはかりながら、対策していく必要があります。