医学部コラム
【講師監修】東京女子医科大学医学部の入試傾向と受験対策・勉強法を解説|医学部進学予備校メビオ
基本情報
2023/10/25(水)
(最終更新日2024/12/13)
東京女子医科大学医学部の受験を目指す人に重要なのは、入試の出題傾向を知ること、そして出題傾向に合わせて十分な対策を取ることです。この記事では、東京女子医科大学医学部の入試情報、科目別の出題傾向や勉強法など、受験に向けて知っておきたい情報をご紹介します。
東京女子医科大学医学部の概要
東京女子医科大学は、1900年に吉岡彌生が設立した東京女醫學校を母体としています。東京女醫學校は、当時まだ低かった女性の社会的地位を向上させ、経済的能力を与えることを目的として建学されました。創立者の吉岡彌生が学んだ男女共学の済世学舎は風紀が乱れ、女子の入学が拒絶されたことも、創立者が女子のみの医育機関を必要と考えるに至った動機の一つです。東京女子医科大学は、日本で唯一の女子医科大学として歩み続けています。
東京女子医科大学医学部の入試情報
【所在地】東京都新宿区河田町8-1
【学生数】674名 ※2022年4月1日時点
【公式サイト】https://www.twmu.ac.jp/univ/
【アドミッション・ポリシー】
自らの能力を磨き、医学の知識・技能を修得して自立し、「至誠と愛」を実践する女性医師および女性研究者となるために、学修者自身が問題意識をもち、自らの力で知識と技能を発展させていく教育を行います。 医師を生涯続ける意志を持ち、幅広い視野を身につけ、自ら能力を高め、問題を解決していこうとする意欲に燃えた向学者で、以下のような人材を求めます。
【求める学生像】
- きわめて誠実で慈しむ心を持つ人
- 礼節をわきまえ、情操豊かな人
- 独立心に富み、自ら医師となる堅い決意を持つ人
- 医師として活動するために適した能力を有する人
【6年間の学費】4,612万4,000円
【奨学金情報】
東京女子医科大学特別奨学生
小林育英会
財団法人颯田医学奨学金
楠田育英会
日本学生支援機構の奨学金
地方公共団体および民間の奨学団体による奨学金制度
東京女子医科大学医学部の試験科目・募集人数・受験料・出願期間、入試日程・会場アクセス、受験者数・合格者数など詳細情報はこちら
東京女子医科大学医学部合格に向けたロードマップ
高1生
医学部に入るためには高校1年生のうちから以下のことに取り組むことが重要です。
まずは高い学力を身につけるために、授業に真剣に取り組み、定期的な復習を行いましょう。英語や数学に特に力を入れることが必要です。 また、医学に関連する本やウェブサイトを読んで知識を広めることも大切です。 さらに、ボランティア活動や病院見学など医療現場に触れる機会を増やし、医師の仕事や現実を理解することも意義があります。 英語力を向上させるために英会話や英語の読解力を磨くこともおすすめです。
高2生
高校2年生の場合は、以下のことに取り組むことが重要です。
まずは学力向上に注力し、特に英語や数学を重点的に学びましょう。 予習や復習を欠かさず行い、定期的なテストや模試で自己の理解度を確認しましょう。 また、学校の進路指導や受験情報を活用して、医学部受験に必要な科目や内容を把握しましょう。さらに、医療に関連するボランティア活動や研修プログラムに積極的に参加し、医療現場の実践的な経験を積むことも重要です。 英語力を高めるために英会話やリーディングにも時間を割きましょう。共通テストの問題に触れるのも良いでしょう。最後に将来の進路や大学選びについての情報収集を始め、必要な準備や対策を進めることも大切です。
高3生
高校3年生の場合は、以下に注力することが特に重要です。
まずは受験勉強に集中し、医学部入試に必要な科目や範囲を徹底的に理解しましょう。 過去問題や模擬試験を解いて実践力を養い、苦手分野を克服する努力を惜しまないようにしましょう。また、志望校の出願要件や受験情報を確認し、必要な書類や面接対策の準備を行いましょう。同時に、継続的なボランティア活動や病院見学など医療現場での経験を積み、自身の意志や目的を深めてください。英語力の向上も忘れずに取り組み、英語のリーディング、簡単な英作文の練習を行いましょう。図やグラフを読み取るビジュアル問題に慣れるために、共通テストの問題を利用するのもよいでしょう。
東京女子医科大学医学部の科目別受験対策・勉強法
英語
傾向分析
英語は、「コミュニケーション英語Ⅰ」「コミュニケーション英語Ⅱ」から出題されます。60分の試験時間で配点は100点です。
大問4題が出題され、マークシート式の選択問題が中心です。問題数は時間の割に多く、英問英答形式で行われます。段落挿入、図やグラフを読み取り長文中の空所を補充するビジュアル問題、対話文に加え、大問1の長文問題では簡単な記述式の英文和訳、25語程度の自由英作文が出題されます。長文のトピックは人文社会、自然科学系まで幅広い範囲から出題されますが、医療系や食品・スポーツなど身近な話題が出題されることが多いです。
受験対策・勉強法
東京女子医科大学の英語は試験時間も60分と長くないので、状況を早くつかむ力や速読力の向上を目指す対策が必要です。図やグラフの内容を理解したうえで答える問題は過去問を解いて問題形式や特有の表現に慣れておく必要があります。段落挿入問題も出題されるので、定型的な英語のパターンに慣れておきましょう。自由英作文は簡単ですが、対策として日頃から身の回りのことに対する自分の考えを英文で表現する練習が必要で、その際に用いる定型表現を身に付けておきましょう。
数学
傾向分析
数学は、「数学Ⅰ」「数学Ⅱ」「数学Ⅲ」「数学A」「数学B(数列)」「数学C(ベクトル・平面上の曲線と複素数平面)」から出題されます。試験時間は60分で配点は100点です。
数学は大問が4題出題されます。解答方法は記述式ですが、記述スペースは簡易的なもので、解答の数値を書く欄が別に用意されています。第1問は小問集合になる年と大問である年が混在しており、第2問以降は大問となっています。頻出分野は、場合の数・確率、数学Ⅲの微積分、図形問題、数列などです。典型問題もあれば、解法が思いつきにくい応用問題もあり、出題内容に決まった型がないのが特徴です。
受験対策・勉強法
幅広い分野から出題されるので、チャートなどの標準的な問題集をなるべく早く終わらせるようにします。一通り終わったら2周目、3周目と繰り返して復習しながら過去問演習に取り掛かりましょう。出題傾向を把握し、自分に足りないところ、手持ちの問題集では足りないと感じたところを他の問題集で補っていきます。頻出分野ではときどき難しい問題も出されるので、余力があれば国公立大学レベルの問題にも取り組んでおくと良いです。また、記述式の解答の書き方も練習しておきましょう。
化学
傾向分析
理科は化学・物理・生物のうちから2科目を選択し、試験時間は2科目で120分、配点は1科目につき100点です。化学は、化学基礎・化学から出題されます。
化学は大問4~5題の構成になっており、大問1~2はマークシート方式、大問3~5は記述式の解答方式です。時間に対して問題数が多く、理論化学・無機化学・有機化学・高分子化合物など高校化学の幅広い分野から出題されます。基本~標準的なレベルの問題が多く、実験系の問題も頻出です。有機化学の構造を決定する問題は頻出分野なので、繰り返し練習して素早く解けるよう訓練しておきましょう。
受験対策・勉強法
東京女子医科大学医学部の化学は、1つの分野だけでなく複数の分野を理解していないと解けない問題が出題されます。幅広い分野からの出題に備えて、高校化学の全範囲の標準的な問題は解けるようにしておくことが重要です。高校で配布される教科書準拠の問題集を使い、基本的な問題はすべて解き、間違えた問題は正解できるまで繰り返します。また、基礎レベルの問題が解けるようになったら、発展的な問題にも取り組みましょう。発展問題を解き終えた後は過去問を使って出題傾向を探り、足りない部分は追加の問題集を使っていきます。
物理
傾向分析
理科は化学・物理・生物のうちから2科目を選択し、試験時間は2科目で120分、配点は1科目につき100点です。物理は、物理基礎・物理から出題されます。
毎年大問3題の構成で、電磁気と力学が1題ずつ、波動・熱力学のどちらかが出題される傾向です。標準~やや難しいレベルの出題になっています。解答を導き出すまでの過程を書かせる問題が頻出で、グラフを描く問題、用語の定義を説明する問題など物理の基礎知識や理解を問う問題が出題されます。
受験対策・勉強法
教科書に載っている公式は完全にマスターしましょう。例題を見たらすぐに解き方が分かるレベルに理解することが重要です。その後は入試レベルの物理の問題集を最低2周、できれば3周しておけば入試の標準問題が解けるようになります。途中式や図をきれいに書く練習もしておきましょう。物理の試験に使える時間配分を把握するために、過去問演習も行います。解答は添削してもらい、減点されない解答を目指しましょう。
生物
傾向分析
理科は化学・物理・生物のうちから2科目を選択し、試験時間は120分、配点は1科目につき100点です。生物は生物基礎・生物から出題されます。
大問数は年によって異なるものの、時間に対して適正な問題数なので、大きなつまずきがなければ少し余裕を持って終わらせられるでしょう。解答形式は前半がマークシート方式、後半が記述式です。文章で解答する問題も長文ではなく、一文で解答できる程度の長さになっています。
受験対策・勉強法
東京女子医科大学の生物は、問題文が長く読解に時間がかかるのが特徴です。問題文をしっかりと読み、読解力を鍛えましょう。実験考察問題が多く出題されるので、教科書に載っている実験考察問題はしっかり解けるようにします。特殊な問題は少なく、有名な問題が多く出題される傾向です。過去問は夏に1年分、秋には本格的に取り組みます。
東京女子医科大学医学部の受験対策についてよくある質問
東京女子医科大学医学部の特徴は?
東京女子医科大学医学部は、学生自身が問題発見と開発をおこなうテュートリアル教育を1990年に日本で初めて取り入れました。テュートリアル教育とは、学生の自己学習と6~8人グループでの討議を組み合わせた授業で、グループごとにテューターと呼ばれる教官が入ります。第1~4学年の授業のうち約4分の1がテューター教育です。
東京女子医科大学医学部の難易度はどれくらい?
東京女子医科大学医学部の難易度は、私立大学の医学部のなかでは易しめの位置付けです。ただし、私立大学医学部の難易度は軒並み上がっており、伝統および首都圏にあるという立地からも根強い人気があります。
東京女子医科大学医学部の受験対策や勉強法はどうすればいい?
東京女子医科大学医学部に合格するためには、自分の得意分野や不得意分野を把握し、抜け漏れがないように対策していくことが大切です。これまでこの記事で紹介してきた勉強法を取り入れるほか、自分の実力や課題を知るためにメビオ実力テストを受けると良いでしょう。