医学部コラム
医学部推薦入試に受かる人とは?推薦タイプ別に対策まで解説!
基本情報
2024/06/27(木)
(最終更新日2024/06/27)
医学部を受験するには、一般選抜入試を目指す他に推薦入試を利用する方法があります。国公立大学・私立大学を問わず多くの医学部で推薦入試が実施されており、一般選抜入試とは異なった対策が必要です。そこでこの記事では、医学部の推薦入試にはどのような種類があるのか、推薦入試の内容と対策、どのような人が受かるのかなどを解説します。
目次
1.医学部推薦入試にはどんな種類がある?
1-1.指定校推薦
1-2.地域枠推薦
1-3.公募型推薦
1-4.総合型選抜
1-5.卒業生子女枠
1-6.国際バカロレア(IB)推薦
2.医学部推薦入試の試験内容と対策
2-1.書類審査
2-2.大学入試共通テスト
2-3.小論文
2-4.面接
3.医学部の学校推薦型選抜に受かる人の特徴
3-1.医学部の学校推薦型選抜に受かるための対策
4.医学部の総合型選抜に受かる人の特徴
4-1.医学部の総合型選抜に受かるための対策
5.医学部推薦入試に向けて準備しよう
医学部推薦入試にはどんな種類がある?
医学部の推薦入試は文部科学省が入試区分を変更したことに伴い、2021年度より従来推薦入試と呼ばれていた区分は「学校推薦型選抜」、AO入試と呼ばれていた区分は「総合型選抜」に名称が変更されました。学校推薦型選抜に含まれるのは指定校推薦・地域枠推薦・公募型推薦です。学校推薦型選抜と総合型選抜以外には、卒業生子女枠、国際バカロレア(IB)推薦などがあります。ここからは、それぞれの推薦入試の特徴を解説します。
指定校推薦
指定校推薦は、大学が特定の高校に対して推薦枠を設けている制度です。指定校推薦は多くの場合私立大学で設定されています。該当する高校から大学への過去の進学状況などをもとにして、推薦枠の有無や数が決められることが多い傾向にあります。指定校推薦を受けるためには、学校長の推薦が必要とされます。基準となるのは高校3年間の学業成績と委員会や課外活動、遅刻や欠席の数など普段の生活態度です。
難関大学の入試では調査書に書かれる成績概評の標準がA(評定平均4.3~5)以上となっています。指定校枠は学校ごとに限りがあるため、基準を満たしていれば指定校推薦が取れるわけではなく、まずは高校内で指定校枠を取りたい希望者間での争いに勝たなければなりません。逆にいえば、指定校推薦は学内選考を突破すると合格する可能性がかなり高くなる推薦方式といえます。
地域枠推薦
地域枠推薦は医学部特有の推薦方式です。医学部を卒業した後に、医師が不足していることが問題となっている町や離島などで、指定された年数就業することが条件となっています。出願条件は大学によって異なるものの、大学医学部がある地域の高校に通っていたこと、本人や親族が該当地域の出身であることなどが条件となっている場合が多いようです。居住条件が定められていない場合は、全国どこからでも受験できます。
地域枠推薦のメリットは、在学中の奨学金を貸与してもらえたり学費が免除になったりすることです。地域枠推薦は、2023年度時点で医学部のある80大学中71大学で実施されており、地域枠等総数は医学部入学定員9,261人に対して1,770人を占めました。
公募型推薦
公募型推薦は、指定校推薦のように通っている高校に推薦枠がなくても出願できます。大学の出願条件を満たしており、高校の推薦基準を満たしていれば応募が可能ですが、学校長の推薦状が必要になります。
この他に、大学が望む人物像であることを条件とした「特別推薦」もあります。特別推薦の評価基準はスポーツや部活動、学外での活動などです。多くの大学では書類審査、学科試験、小論文などを実施しますが、大学入学共通テストの受験を必要とする大学もあります。私立大学の中には、浪人1年目までは公募型推薦が利用できるところもあるので、自分の志望校が該当するか調べてみるとよいでしょう。
総合型選抜
総合型選抜は、従来「AO入試」と呼ばれてきた選抜方式です。この推薦方式は、自己推薦でチャレンジできます。総合型選抜は、学業成績より受験生の人間性や将来性が重視されることがポイントです。なお、この選抜方式を採用している医学部はあまり多くはありません。
募集は9月1日以降に実施され、合格発表は年内に行われるところが多いですが、年明けになる場合もあります。課外活動、部活動、英検、TOEIC、TOEFLなどで好成績を修めていることが評価の対象です。高校の学校長の推薦状が必要ない代わりに、自己推薦書や評価書を提出します。
卒業生子女枠
卒業生子女枠とは、対象となる大学を卒業した人の子どもや孫に出願資格が与えられる推薦方式です。卒業生子女枠を設けている大学はあまり多くなく、日本大学、東京女子医科大学、昭和大学、金沢医科大学、東邦大学、兵庫医科大学などが挙げられます(2024年5月現在)。合格した際には、入学を確約することが条件とされていることが多いようです。
試験では、適性検査や面接などが実施されます。卒業生子女枠は、高校の評定平均は関係なく応募できる点がポイントです。また、地域枠推薦と同様、卒業後は大学が指定する病院で数年間勤務することが条件となっている場合があります。自分の親族が卒業した大学が卒業生子女枠を設けており、同じ学校を志望している場合は出願を検討してみるとよいでしょう。
国際バカロレア(IB)推薦
国際バカロレア(IB)推薦とは、万国共通の大学入学資格とされる「国際バカロレア(International Baccalaureate)」を用いた推薦方式を指します。国際バカロレアは、グローバル社会に対応する優秀な人材の育成を目的とした教育カリキュラムです。国公立大学、私立大学を問わず、多くの医学部入試で採用されつつあるため、今後はさらに募集人数が増加するであろうと考えられています。
選抜方式は学校によって異なるものの、IBスコア、指定の科目の学業成績、英語の資格を問われることが多い傾向があります。大学によっては、大学入学共通テストを受験させたり、個別に学力試験を課したりするところもあります。
医学部推薦入試の試験内容と対策
医学部推薦入試の内容は学校ごとに異なるため、志望校ではどのような試験内容が実施されているのかをチェックし、必要な対策を行っておくことが大切です。ここからは、医学部推薦入試で実施されることが多い書類審査、大学入学共通テスト、小論文、面接について、試験内容と対策を紹介します。
書類審査
書類審査とは、推薦入試の選考に当たって、受験生が提出した各種書類の内容をもとに審査が実施されることをいいます。推薦入試で評価の対象となるのは、「調査書」「推薦書」「志望理由書」「自己推薦書」「外部試験資格の証明書」などです。「調査書」「推薦書」は受験生の在籍校が用意し、「志望理由書」「自己推薦書」「外部試験資格の証明書」は受験生自身が用意します。
「調査書」に記載されるのは高校入学時から願書提出時までの学習態度や欠席・遅刻日数、委員会や部活動等の学校生活、評定平均などです。調査書は推薦入試だけでなく一般入試でも提出します。「志望理由書」は受験生が大学側のアドミッション・ポリシーに合致しているかを判断するための書類です。「自己推薦書」は自分を推薦する理由を記した書類のことで、志望理由書を書かない場合は自己推薦書に志望理由を書きます。「外部試験資格の証明書」は、英検やTOEIC、TOEFLのスコアなど資格試験の証明書です。
公募推薦で合格を目指す場合は委員会や部活動に積極的に取り組み、模範的な学生生活を送るとともに、英検などの資格取得にも取り組みましょう。
大学入試共通テスト
医学部に入学してからは、膨大な知識習得が必要となります。そのため、入学を許可するためには一定水準以上の学力を持ち合わせていることが条件である、というのが大学側の考え方です。そのため、私立大学では大学が実施する学力テスト、多くの国公立大学では大学入学共通テストが推薦入試における合否の判定基準となっています。
大学入学共通テストの得点を基準に設定している大学では、一定の得点以上を取得していなければ、その段階で推薦入試は合格できません。大学によっては大学入学共通テストの結果を最終合格の判断基準としているところもあります。その場合、合格発表の日程は翌年2月です。また、合否結果に直接影響はしないものの、大学入学共通テストの受験を推薦入試の条件としている大学もあります。いずれにしても、大学入学共通テストでは、できるだけ高得点を目指すことで入試結果が有利になります。
小論文
小論文は、私立大学、国公立大学を問わず、多くの医学部の推薦入試で実施されています。小論文では、医師としての資質や適性が評価ポイントです。小論文は、何らかのテーマが提示され、そのテーマに対する意見を述べるという形式で出題されます。テーマの出題法はバラエティーに富んでいますが、長文を読解させて書かれていた内容に対して意見を述べるという方式が多いです。
医学部入試では、医学や医療系のテーマが選ばれることが多く、時事的な内容が問われることもあります。ただし、医療系以外のテーマから出題される場合もあるため、油断は禁物です。著名な哲学者や文化人の著書が題材として選ばれたり、絵や写真をもとに小論文を書かせたりする独特のスタイルの大学もあります。日頃から幅広い分野に関心を持ち、自分なりに意見をまとめる訓練をしておきましょう。
面接
面接試験は、ほぼ全ての医学部推薦入試で実施されています。医学部の面接は、医学部にふさわしい人物であるかを見極めるためのものです。近年、医療にもホスピタリティやサービスが求められるようになっていることから、医師の人間力やコミュニケーション能力の高さが重要視されています。人の命に関わる職業である以上、相応の知識を持ち合わせていることは大前提としてあるものの、学力だけでなく人間力を測る面接に力を入れる大学は少なくありません。
面接では志望理由が聞かれるため、なぜ医師を目指したいと思っているのか、その大学に進学したいと思ったのかを明確にしておきましょう。また、自分の将来像についても考えをまとめておく必要があります。自分が学びたいことや将来像と大学のカリキュラムに整合性があることが大切です。
医学部の学校推薦型選抜に受かる人の特徴
医学部の学校推薦型選抜に受かる人にはいくつかの特徴があります。まずは学校の評定平均が高いことです。既に述べたように、医学部に入学するためには、一定水準以上の学力を有していることが最低条件となっています。評定平均は高校入学時から高校3年生の1学期までの成績が対象となるため、入学時から将来を見据えて毎日コツコツと頑張って学習を積み重ねることが大切です。
また、地域枠推薦の場合は、卒業後に大学の所在地にある医療機関で一定期間にわたって勤務することが合格の条件となっています。地域枠で合格した場合は辞退することができないため、将来的に働きたい地域にこだわりがないことがポイントです。
医学部の学校推薦型選抜に受かるための対策
学校型推薦選抜では、高校の評定平均が最も重要な指標となります。そのため、高校入学時から学校の授業にしっかり取り組んでおくことが必要です。日々の予習・復習を習慣づけて欠かさず行いましょう。大学の出願基準の評定平均値より、少しでも上を目指せるよう努力を重ねていきます。
推薦入試では大学入学共通テストの結果が合否の判定基準になることも多々あるので、大学入学共通テストへの準備もしっかりと行っておきましょう。少しでも高得点が取れるよう、万全の対策を行っておきます。加えて、小論文、面接も多くの大学の推薦入試で実施されるので、対策を抜かりなく行っておきましょう。志望校の入試方式に合わせた対応を行うことが大切です。
医学部の総合型選抜に受かる人の特徴
医学部の総合型選抜に受かる人の特徴はいくつかあります。まずは、大学のアドミッション・ポリシーに合致していることが大切です。一般選抜入試でも面接は行われますが、基本的には学力試験が大きな判断要素となります。それに対し、推薦入試は書類審査や面接などを通して、大学が求める人物であるかというふるいにかけて受験生を選び出します。そのため、研究医になりたいのか臨床医になりたいのかなど、医師としての明確なキャリアプランを持っている人は有利です。
また、総合型選抜は学業だけでなく、将来性や人間性が重視されます。高校時代の部活動や課外活動での活躍や、TOEIC・TOEFLでの高いスコアは、高評価につながるでしょう。
医学部の総合型選抜に受かるための対策
総合型選抜は受験生の将来性や人間性が重視されるとはいえ、基本的には高い学力が必要とされます。そのため、他の医学部受験生と同様、受験勉強をしっかりと行っておくことが大切です。推薦入試で医学部合格を狙う場合でも、一般選抜入試で合格できるのと同レベルの学力を有していなければなりません。
加えて、学習意欲、コミュニケーション能力、医師にふさわしい資質を備えているかを判断するために、小論文、面接、グループディスカッションなどが推薦入試では課されます。小論文は書いた文章が志望校の採点基準を満たしているかを学校の先生や予備校の先生に見てもらいましょう。面接やグループディスカッションも予備校などを利用して対策しておきます。
医学部推薦入試に向けて準備しよう
医学部推薦入試は学力が最重視される一般選抜入試とは異なり、学力に加えて受験生の人間性や将来性も判断基準になります。推薦入試で問われる内容は学校ごとに異なるため、合格を目指すには志望校の入試内容に合わせた対策が欠かせません。
医学部進学予備校メビオでは「2024全国医学部推薦型選抜 実施要項一覧」を公開しています。志望校の推薦入試に向けてしっかり対策を進めるために、まずは推薦入試の実施要項を確認してみてください。