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医学部の序列ランキング! 医師として将来やキャリアに及ぼす影響まで解説

基本情報

2024/12/19(木)

(最終更新日2024/12/20)

全ての医学部は、設置された年代別にいくつかのグループ分けがなされており、そのグループのランクのことは、いわゆる「医学部の序列」と呼ばれています。医学部を目指していて志望校を決定しようと考えている人の中には、具体的にどのような序列があるのか気になる人もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では医学部における序列の意味や、国公立・私立大学別の序列、就職先・将来性と序列の関係性について解説します。

医学部における序列とは

日本国内の大学で医学部を置いているのは、令和元年度の段階で国立大学が42大学、公立大学が8大学、私立大学が31大学で、防衛医科大学校を合わせると全部で82校です。医学部には、公のものではありませんが序列(ヒエラルキー)が存在しています。医学部における序列は、設置されてからの歴史の長さや医学業界に対する貢献度に応じて位置付けられています。

そのため、医学部が設置されてからの年月が短ければ、序列は低くなりがちです。しかし、序列が低い大学だからといって、医学部として劣っているということではありません。また、序列は入試の難易度として認識されている、いわゆる偏差値ランキングと一致するものではないことも覚えておきましょう。

医学部の序列ランキング(国公立編)

国公立大学医学部の序列は、旧帝大グループ、旧制医科大グループ、旧医専グループ、新設医大グループの4種類があります。それぞれのグループに属する大学と特徴を紹介していきます。

旧帝大グループ

旧帝大グループとは、戦前に設立された旧帝国大学の俗称です。旧帝大グループの歴史はとても古く、医学部は1886~1939年に設置されました。旧帝大グループに属しているのは、北海道大学・東北大学・東京大学・名古屋大学・京都大学・大阪大学・九州大学の7国立大学です。

日本で最初に医学部が設置されたのは東京大学でした。その後、東京大学医学部を卒業した医師が教鞭を取る形で、各地の大学にも医学部が設置されていきました。旧帝大グループは、医学部だけでなく法学部や工学部などの他学部においても国内の国公立大学の序列でトップに位置しています。中でも東京大学と京都大学は、国公立大学の医学部で難易度最高峰の大学として双璧をなしています。

旧制医科大グループ

旧制医科大グループに属する大学は、前身が医科専門学校だった大学です。1919年に大学令が施行されたことに伴って、1921~1925年に医科大学として認可されています。旧制医科大グループに属する大学は、国公立大学が千葉大学、新潟大学、金沢大学、岡山大学、長崎大学、熊本大学、公立大学が京都府立医科大学です。これらの大学は、旧帝大グループに次いで歴史の長い大学といえます。

旧制医科大学グループの特徴は、附属病院に採用される医師の割合において、自大学出身者が多くを占めていることです。2022年のデータによると、金沢大学は82.1%、京都府立医科大学は54.0、新潟大学は46.7%が自大学出身者からの採用となっています。

旧医専グループ

旧医専とは旧制医学専門学校のことで、名称が長いため省略して呼ばれています。1930年代の後半に日中戦争が拡大したことにより、その当時医師として従事していた人数では十分に兵士の健康管理や治療に当たることが難しい状況でした。そのため、臨床医の養成を目的とした旧制医学専門学校が設立されました。旧制医学専門学校が設立されたのは、主として1940年代です。

旧医専グループには、国立大学が弘前大学、群馬大学、東京医科歯科大学、信州大学、岐阜大学、三重大学、鳥取大学、神戸大学、広島大学、山口大学、徳島大学、鹿児島大学の12校、公立大学は札幌医科大学、福島県立医科大学、横浜市立大学、名古屋市立大学、大阪市立大学、奈良県立医科大学、和歌山県立医科大学の7校が属します。

新設医大グループ

戦後の社会は高度経済成長が進む一方、定住している開業医がいない地域があるなど、都市部と地方で医療格差が生じました。そこで、1970年代に地域格差を是正することを目的として「一県一医科大」という構想のもとに設立されたのが新設医大グループです。

新設医大グループには国立大学17校と、医師である幹部自衛官を養成するために1973年に設立された防衛医科大学校が含まれます。新設医大グループに属する国立大学は、旭川医科大学、秋田大学、山形大学、筑波大学、富山大学、福井大学、山梨大学、浜松医科大学、滋賀医科大学、島根大学、香川大学、愛媛大学、高知大学、佐賀大学、大分大学、宮崎大学、琉球大学の17校です。なお、大学の所管は文部科学省ですが、防衛医科大学校は現防衛省が所管となっています。

医学部の序列ランキング(私立編)

私立大学医学部の序列は、私立御三家グループ、私立旧設グループ、私立新御三家グループ、私立新設医科グループ、2000年以降の新設医科大学の5種類あります。それぞれのグループに属する大学と特徴を紹介していきましょう。

私立御三家グループ

私立御三家グループと呼ばれる大学には慶應義塾大学、東京慈恵会医科大学、日本医科大学が属します。いずれも旧帝大と同様に、長い歴史を誇る大学です。これらの大学は、1920~1926年に設立されました。慶應義塾大学は江戸時代後期に福沢諭吉が開校し、医学部は1920年に開設されています。東京慈恵会医科大学の前身は1881年に創立した成医会講習所、日本医科大学の前身は1876年に創立した済生学舎で、いずれも大正期に医学学校として改組されました。

私立御三家グループは、臨床を主目的として設立された大学です。慶應義塾大学は歴史の長さと多くの実績により、医療における幅広いネットワークを持っており、東京慈恵会医科大学、日本医科大学は国家試験の合格率が高いことが特徴として挙げられます。

私立旧設グループ

前身が私立医学専門学校で、戦後に大学に昇格したグループです。主に1947~1950年に設立されました。私立大学においては御三家に次ぐ位置付けです。岩手医科大学、順天堂大学、昭和大学、東京医科大学、東京女子医科大学、東邦大学、日本大学、大阪医科薬科大学、関西医科大学、久留米大学の10校が該当します。前身の医学専門学校は、多くが1910~20年代に設立されています。

この中で、日本大学は1942年に専門部医学科から旧制大学医学部に昇格しました。私立旧設グループの大学は、戦後復興に多大な尽力をした医師が多く輩出されていることが特徴です。私立旧設グループに属する大学は、多くの受験生から人気を集めています。

私立新御三家グループ

私立御三家は先ほど述べたように、慶應義塾大学、東京慈恵会医科大学、日本医科大学ですが、最近では日本医科大学の代わりに順天堂大学を含めて私立新御三家と呼ばれるようになっています。

順天堂大学は医師国家試験の合格率がとても高い水準であることが特徴です。令和4年から過去5年にさかのぼって医師国家試験の結果を見てみると、全国平均より合格率が4ポイント以上上回る結果を毎年残しています。順天堂大学で国家試験の合格率が高い理由の一つとして、1年次から医学に関わる研究をスタートできる「基礎医学研究者養成プログラム」というカリキュラムが挙げられます。順天堂大学は、医学研究に興味を持っている受験生からの人気を集めています。

私立新設医科グループ

私立新設医科グループは、戦後の人口増加に伴い医療需要が拡大したことにより、1970年代の10年間に「1県1医大」を目標に新設された大学が該当します。私立新設医科グループに属するのは自治医科大学、獨協医科大学、埼玉医科大学、北里大学、杏林大学、帝京大学、東海大学、聖マリアンナ医科大学、金沢医科大学、愛知医科大学、藤田保健衛生大学、近畿大学、兵庫医科大学、川崎医科大学、福岡大学、産業医科大学の16校です。

このうち自治医科大学は、全国の地方自治体が共同で設立しました。自治医科大学は総務省管轄の大学です。産業医科大学は産業医の養成を目的として設立され、厚生労働省が運営費用を助成しています。

2000年以降の新設医科大学

2000年以降に新設された医科大学としては、2016年に設立された東北医科薬科大学と2017年に設立された国際医療福祉大学の2校が該当します。東北医科薬科大学は、東日本大震災の被災地の復興を目的とした「東北地方における医学部新設の特例措置」に基づいて設置された大学です。東北医科薬科大学の医学部が認可されたのは2015年で、国内の医学部としては37年ぶりに認可されたことが話題となりました。

国際医療福祉大学は、日本初の医療福祉の総合大学として設立された大学です。最初の卒業生が2023年に医師国家試験を受験し、合格率は全国平均を6.8ポイントも上回る99.2%と全国2位と非常に高い水準をマークしました。

序列が将来やキャリアに及ぼす影響

国公立大学、私立大学それぞれの序列を見てきましたが、これから医学部を目指そうと考えている人にとっては、医学部の序列が将来やキャリアにどのような影響を及ぼすのかが気になるのではないでしょうか。そこで、序列が高い大学に進学した場合、就職や出世などにどう関わってくるのかを解説します。

就職・出世しやすい

医学部を卒業した後に病棟勤務医を目指している場合、序列の高い大学の方が有利かもしれません。というのも、序列の高い大学は大学の所在地以外の都道府県にも関連病院を持っていることが多いからです。そのため、多くの選択肢の中から就職先を選べます。

また研究医を目指したい場合も、序列の高い大学に進学する方が有利な可能性があります。序列の高い大学は、文部科学省が所管する「科学研究費」の助成を多く受けられる傾向があります。研究を極めたいと考えている人にとっては、高度な研究ができる環境が用意されているというのは、とても魅力的なのではないでしょうか。好きな研究を存分に続けられる環境が整っているだけでなく、教授などの要職に就く機会にも恵まれやすいというメリットもあります。

独自のネットワークがある

独自のネットワークが充実している点も、序列の高い大学に進学するメリットだといえるでしょう。これまでも述べてきたように、序列の高い大学は医学業界での歴史が長く、貢献度が高い大学です。

例えば、私立御三家の一つである慶應義塾大学医学部は、独自のネットワークを持っていることが強みとされています。大学病院の他に関連病院が約100、教育中核病院が35もあり、教育的立場としてはとても恵まれた環境です。学生時代には、慶應義塾大学病院の他に関連病院、教育中核病院の協力を得ながら、先進医療から地域のプライマリケアまで充実した学びが期待できます。また卒業後も関連病院と大学病院を行き来する中で、実践的技術を学べる点も魅力です。

信頼感がある

医師としての経歴という側面で見たときに、序列の高い大学出身であれば患者さんからの信頼を得やすくなるでしょう。序列の高い大学は歴史が長いため、多くの人々に大学の名前が知られているからです。

知名度の高い大学出身であることと、医師としての実力や功績は必ずしもリンクするとは限りません。しかし、人は有名なものに対して一定の安心感や信頼感を覚えやすいことも事実です。そのため、序列が高く名が通っている大学を卒業したという経歴があると、世間一般から信頼を得やすくなります。自分の経歴に箔がつくという意味では、大学の序列は重要だといえるでしょう。

志望校は序列やヒエラルキーを考慮すべき?

ここまで見てきたように、医学部には序列やヒエラルキーがあるのは事実です。しかし、志望校を決める際に大切なことは序列の高さではなく、大学に入って何を学びたいか、どのような医師になりたいかです。それぞれの大学が設立された背景により、学べることや特徴は異なります。自分がなりたい医師像を目指しやすかったり、学びたいことを実践できたりする大学があるはずですので、序列に惑わされ過ぎないようにしましょう。ただし、序列の高い大学には就職やネットワークの面でメリットがあることも事実なので、それも含めて志望校を決定していきます。開業医を目指す場合は、序列やヒエラルキーはそれほど関係ありませんが、序列が高い大学卒である場合は経歴に箔がつき、世間から信頼を得やすいでしょう。

志望校を決めたら予備校利用も検討してみよう

医学部には歴史的意義に基づいた序列があり、全ての大学はいくつかのグループに分類されます。ただし、序列と実際の入試の難易度は、必ずしも一致するものではありません。志望校を決める際は、大学の知名度が気になるかもしれませんが、大切なことは自分が何を学びたいのか、どのような医師になりたいかです。自分の希望に沿った大学を志望校として選択しましょう。志望校が決まったら、夢に向けての合格切符を手にするために、医学部受験のノウハウが豊富な予備校の利用を検討してみてはいかがでしょうか。

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