医学部を受験する際に、大学によっては志望理由書の提出が求められます。志望理由書には3つのことが書けていることが理想的です。書くべき内容とその考え方について知っていきましょう。

医学部は授業、実験、実習のみならず試験も厳しく、なかなかキャンパスライフをエンジョイとはいきません。あまりに厳しくて途中で挫折してしまう学生も見受けられます。大学が受験生に志望理由書を提出させるのは、受験生が本当に医学に興味があり、努力して医師になりたい熱意があるのかどうかを判断する材料にするためです。かなりの長文を要求される大学もありますが、私立大学の場合、200字程度のことが多いようです。長くても短くても、必要な情報が簡潔に記載されていなければなりません。

どうして医師になりたいのかという、「医師志望理由」を書きます。理由が明確に伝わるように、しっかり考えて書きましょう。「自分の希望は他の医療従事者ではなく、医師でなければならない」という強い熱意が伝わるような理由を考えてください。もちろん現時点での目指す医師像は将来変わってしまう可能性もありますが、将来どんな医者になりたいかを今からしっかり考えておきましょう。本当に医師になりたいと思えば、自ら調べて自分の将来目指す医師像というものがだんだんと夢に向かって出来上がってくるものです。

自分の夢を実現するためにその大学に入る必要があるということを書きます。つまり、数ある医学部の中でその大学を選んだ理由を述べる「大学志望理由」です。この部分が不十分だと、試験官に「医師になりたいのは伝わるが、他の大学でもいいのでは」という印象を与えてしまいます。また、志望理由には自分のなりたい医師像と受験校の教育方針が合致している必要があります。したがって、大学志望理由を書くためには、少なくとも、受験する大学の学是、教育方針、理念、あるいは大学病院の運営方針、診療科の充実度などを調べておく必要があります。大学のオープンキャンパスや説明会には積極的に参加し、大学担当者からその大学の情報を入手しておくのもよいでしょう。

将来の自分の目指す医師像を達成するため、大学に入ったら具体的にどのような勉強や活動を行いたいか、どのような大学生活を送りたいかを記載します。このイメージが明確になっているほど、医師になりたい、受験校に入りたいという強い熱意を持っていると判断されます。「授業終了後に研究の手伝いをして最新の医学研究に触れたい」、「チームワークを学ぶために体育会系のクラブ活動にも参加したい」、「大学外の活動として、例えば医療ボランティアの手伝いをしたい」など、具体的に記載しましょう。

例）私は将来、外科医として働きたいと考えています。子供の頃に読んだ外科医の漫画にあこがれを抱いていたのが始まりですが、今はますますその思いが強くなっています。その理由は、外科医の技術のおかげで社会復帰できたという経験があるからです。私は高校でのクラブ活動時に、関節損傷を含む骨折をしてしまいました。しかし、手術を受けたおかげで不可能と思われた選手としての復帰をすることが出来、外科医の先生に感謝と憧れを抱くようになりました。そして、いつの日か私も、怪我で不自由を余儀なくされている人たちを私の手で日常生活に復帰出来るようにする医師になりたい、と思うようになりました。

貴大学は、全国的に見ても外科の手術件数が多く、積極的に先進医療を取り入れた外科手術を行うことで有名です。先輩から聞いた話ですが、臨床実習でも学生をしっかりサポートしてくれることや、学内のアットホームな雰囲気にも魅力を感じています。ぜひとも貴大学で医学を学びたいと思っています。

大学合格後は、勉強はもちろんですがクラブ活動もしたいと思っており、外科系志望なので体力をつけ、チームワークを学ぶために体育会系の活動に参加したいと考えています。クラブ活動では先輩後輩のつながりを大切にし、医師になった後のネットワーク作りにも役立てたいと思います。

以上が、私が医師を志望し、貴大学を志望する理由です。大学在学中からしっかりと勉強し立派な医師になりたいと思います。

大学は、受験生の価値観や考え方、本人のやる気を判断する手段として志望理由書を必要とします。合否判定で重視される志望理由書には3つの項目 「目指す医師像とその理由」「受験校を選んだ理由」「大学合格後の計画」を簡潔にわかりやすく本音を書いてください。大切なのは、これらの3つの項目にずれがないということです。全体の流れに矛盾がなく、過去と現在を結ぶ線上に受験校があるように、一貫性のある志望理由書に仕上げてください。