私立大学医学部は各学校によって入試の出題傾向が異なるため、入試の出題傾向を知り、出題傾向に合わせて十分な対策を取ることが重要です。本記事では、聖マリアンナ医科大学医学部の入試情報、科目別の出題傾向や勉強法など、受験に向けて知っておきたい情報を紹介します。

聖マリアンナ医科大学は、1971年4月に、敬虔なカトリック信者である明石嘉聞（かもん）博士によって東洋医科大学として始まりました。1973年に聖マリアンナ医科大学と名称を変更し、1974年に大学附属病院、1977年には大学院､1979年には看護専門学校が開学します。現在では開学以来50余年が経過し、3つの附属病院と1つのクリニックを運営、開学以来4,610人の医師を育成し、社会に送り出しました。

【所在地】神奈川県川崎市宮前区菅生2-16-1
【学生数】695名（※2023年5月1日時点）
【公式サイト】https://www.marianna-u.ac.jp/univ/
【アドミッション・ポリシー】
聖マリアンナ医科大学は、キリスト教的人類愛に基づき、病める人々の心と体の痛みがわかり、かつ、医学・医療の実践者としての確かな専門知識、豊かな感性ならびに高い能力を有している医師の育成に力を注いでいます。

聖マリアンナ医科大学は以下のような学生を求めています。

1. 医師を目指す明確な目的をもつ人
2. 医師になるための品格と倫理観をもち多様な文化を受容できる人
3. 医師になるための知性と科学的論理性をもつ人
4. 豊かな感性をもち病める人々の心と体の痛みがわかる人
5. 自分の意見を明確に述べることができるとともに自己を省察し他人の意見に耳を傾けることのできる人
6. 誠実で協調性に優れ広い視野をもつ人

聖マリアンナ医科大学が学生に求める学力は以下の通りです。
医師には生涯「自ら学ぶ力」が必要である。そのために、高校では医学を学ぶ上で基盤となる数学、理科をしっかりと学んでおくこと。その際は、表面的・断片的な知識の詰め込みでなく、体系的な知識と確かな応用力を身に付けるよう心がけることが必要である。
また、本学では英語が4年次まで必修科目として配当されており、実践的に英語を読み、書き、話すことができるようカリキュラムが組まれている。入学後の英語学習に必要となる、表現力や語彙力を高めておくようにすること。
さらに、本学では小論文試験および面接試験を課し、人物を多面的に評価している。小論文試験では、文章の読解力および表現力、論理的思考力を重視し、面接試験では、将来良き臨床医となるために必要な積極性、協調性、社会性を中心に評価している。

【6年間の学費】35,152,000円
【奨学金情報】
聖マリアンナ医科大学特待生
聖マリアンナ医科大学奨学基金
聖マリアンナ医科大学奨学金
学業成績等優秀学生奨学金
保護者会短期留学支援奨学金
明石嘉聞記念奨学金
保護者会奨学金
日本学生支援機構奨学金
静岡県医学修学研修資金（聖マリアンナ医科大学特別枠）
その他の奨学金
国の教育ローン（日本政策金融公庫）
高等教育の修学支援新制度

聖マリアンナ医科大学の試験科目・募集人数・受験料・出願期間、入試日程・会場アクセス、受験者数・合格者数など詳細情報はこちら

医学部に入るためには高校1年生のうちから以下のことに取り組むことが重要です。
まずは高い学力を身につけるために、授業に真剣に取り組み、定期的な復習を行いましょう。英語や数学に特に力を入れることが必要です。 また、医学に関連する本やウェブサイトを読んで知識を広めることも大切です。 さらに、ボランティア活動や病院見学など医療現場に触れる機会を増やし、医師の仕事や現実を理解することも意義があります。 英語力を向上させるために英会話や英語の読解力を磨くこともおすすめです。

高校2年生の場合は、以下のことに取り組むことが重要です。
まずは学力向上に注力し、特に英語や数学を重点的に学びましょう。 予習や復習を欠かさず行い、定期的なテストや模試で自己の理解度を確認しましょう。 また、学校の進路指導や受験情報を活用して、医学部受験に必要な科目や内容を把握しましょう。さらに、医療に関連するボランティア活動や研修プログラムに積極的に参加し、医療現場の実践的な経験を積むことも重要です。 英語力を高めるために英会話やリーディングにも時間を割きましょう。最後に将来の進路や大学選びについての情報収集を始め、必要な準備や対策を進めることも大切です。

高校3年生の場合は、以下に注力することが特に重要です。
まずは受験勉強に集中し、医学部入試に必要な科目や範囲を徹底的に理解しましょう。 過去問題や模擬試験を解いて実践力を養い、苦手分野を克服する努力を惜しまないようにしましょう。また、志望校の出願要件や受験情報を確認し、必要な書類や面接対策の準備を行いましょう。同時に、継続的なボランティア活動や病院見学など医療現場での経験を積み、自身の意志や目的を深めてください。英語力の向上も忘れずに取り組み、英語のリーディングやリスニング、英作文の練習を行いましょう。

傾向分析

聖マリアンナ医科大学医学部の英語はコミュニケーション英語I・コミュニケーション英語II・コミュニケーション英語III・英語表現I・英語表現IIからの出題です。試験時間は90分、配点は100点です。大問が3題出題される形式が2022年度から続いています。
大問1は記述式の長文問題、大問2は選択式の長文問題、大問3は選択式の会話文問題という構成です。大問1は適語補充、要旨・要約、大問2は適語補充、内容一致、大問3は適文補充形式の文法正誤問題になっています。

受験対策・勉強法

聖マリアンナ医科大学医学部の英語長文は医学を含めて科学に関するものが多いものの、語彙は標準レベルで、基本的な理解が試される試験です。英語の基礎を徹底して身につけましょう。また、文章の内容説明を100～150字程度の記述で求める設問が多い傾向です。特定の部分の和訳を求めるのではなく、文脈や論理展開の理解を問う問題もあるので、普段から段落構成や論理構造を考えるトレーニングを積んでいきましょう。大問3の適切な応答を選ばせる問題は、表現に関する知識と常識的な判断力の両方が求められる問題で、練習が必要です。

傾向分析

聖マリアンナ医科大学医学部の数学は数I・数A・数II・数B（確率分布と統計的推測は除く）・数IIIから出題されます。試験時間は90分、配点は100点です。
数学は毎年4題が出題される形式が続いており、2023年度も大問4題が出題されました。出題形式は2021年度のみ英語と数学あわせて150分という試験形式でしたが、2022年以降は以前の形式となっています。大問1～3は答えのみ、大問4は答えのみと証明を含む記述式で出題されました。

受験対策・勉強法

聖マリアンナ医科大学医学部では数学IIIの微分積分、整数問題、数列、ベクトルが毎年出題されています。データの分析もよく出題されており、この分野を頻出問題としている大学は少ない傾向なので、場合によっては特別に対策する必要があるでしょう。
数学はさまざまな分野から出題されているため、ヤマをはるのではなく、幅広い分野を満遍なく学習することが求められます。また、基礎的な入試問題に対応できるようにするため、幅広く数多くの問題に取り組みましょう。大問4は数学A、数学Bを中心とした証明問題が出題されているので、証明問題の演習もおこなっておきたいところです。

傾向分析

聖マリアンナ医科大学医学部の理科は、化学・物理・生物の中から2科目選択です。化学は化学基礎・化学から出題されます。試験時間は2科目で150分、配点は2科目で200点、1科目で100点です。
化学は2020年度を境に出題傾向が変化しました。2020年度までは大問3～4題でしたが、2021年からは大問2題の出題が続いています。2020年度までは有機化学からの出題が半分以上で高分子化合物の出題数も多かったのですが、2021年度、2022年度は高分子化合物が出題されていません。しかし、2023年度には高分子化合物の出題が復活しています。

受験対策・勉強法

聖マリアンナ医科大学医学部の化学は生物並みに記述問題が多い傾向です。論述問題は字数制限がなく「2行以内で」など行数制限がついていることが多いため、普段から少し長めの論述練習をしておきましょう。2023年に復活した高分子化合物の問題は以前と比べて難易度が下がり、標準的で取り組みやすい問題でした。また、標準的な論述問題や描図問題も数問出題されています。

傾向分析

聖マリアンナ医科大学医学部の理科は、化学・物理・生物の中から2科目選択です。物理は物理基礎・物理から出題されます。試験時間は2科目で150分、配点は2科目で200点、1科目で100点です。
物理は大問5題が出題されています。大問1は空所補充問題の小問で、残りの4題は分野ごとの大問になっています。記述式でグラフを中心とした作図も出題されます。答えだけではなく、解答の過程を書く問題も多い傾向です。時間に対して問題の量が多いのでスピーディーさが求められます。

受験対策・勉強法

聖マリアンナ医科大学医学部の物理は、出題分野の偏りはなく、原子物理からも出題されるなど、全範囲からバランスよく出題されます。小問集合では用語が出題されることが特徴です。教科書の隅に書かれているようなことも出題されるため、細かいところまでよく読んでおきましょう。公式の導出問題も出題されるので、定義や公式を自分の言葉で説明する、図で表す、他の公式とのつながりを考えるなど、理解につなげられるようにしておきましょう。

傾向分析

聖マリアンナ医科大学医学部の理科は、化学・物理・生物の中から2科目選択です。生物は生物基礎・生物から出題されます。試験時間は2科目で150分、配点は2科目で200点、1科目で100点です。
生物は大問3題が出題されます。全問記述式で、前期・後期と出題形式は同様です。計算問題、論述問題、描図問題、実験考察問題とさまざまな形式で出題されます。論述問題は文字数が指定されているのではなく、行数が指定されていることも特徴です。

受験対策・勉強法

聖マリアンナ医科大学医学部の生物は、知識問題でマニアックなことはあまり問われないので、教科書や問題集に書かれている内容を完璧に押さえておくことが大切です。用語の説明問題もあるので、用語の定義を他人に説明できるようにしておきましょう。
また、論述問題への対策は必須です。日頃から生命現象について説明するなど、自分の言葉で表現できるよう練習を積んでおきましょう。大阪医科薬科大学などの私立医学部や国公立の過去問演習は、記述式の練習にもなるでしょう。

傾向分析

聖マリアンナ医科大学医学部では小論文が二次試験としておこなわれます。試験時間は60分で、配点は50点です。指定文字数は毎年変化し、2023年度は前期・後期ともに800～1,000字の字数指定でした。
2023年度の前期は、心停止後または脳死下での臓器提供による移植医療について、文章を読んだうえで自分の考えを述べる問題が出題されています。後期は6種類の世界文化遺産から1種類を選び、意義、文化・社会的役割について述べるよう求められました。

受験対策・勉強法

聖マリアンナ医科大学医学部の小論文のテーマは、医療系・科学系をはじめとして多彩です。医療系・科学系については医療の基礎知識を身につけておきましょう。医師になったときにどのような対応をするかを問われる問題もあるので、医師としてどう考えるのかもまとめておく必要があります。小論文の課題文字数は毎年変わるため、与えられた文字数で考えを過不足なく述べられるよう、さまざまな文字数のパターンで練習しておくとよいでしょう。

2023年度の聖マリアンナ医科大学医学部入試は、いずれの科目も出題形式に前年度と比べて大きな変更は見られませんでした。次年度の受験に向けては、近年の出題傾向をもとに対策を立てることが重要です。2023年度の聖マリアンナ医科大学医学部入試における科目ごとの講評と全体統括については、こちらで詳しく解説しています。

聖マリアンナ医科大学医学部は、キリスト教精神に基づき生命の尊厳と人類愛を基調とした医学教育をおこなっています。最新の科学技術を駆使することだけでなく、いのちある者を思いやる温かい心を持つ医師の育成が目標です。
聖マリアンナ医科大学医学部では、関連する項目を1つのブロックとして一週間単位で集中して学ぶブロック型カリキュラムを導入しています。学修内容が一つにまとまることにより、事前学習に取り組みやすい、知識を統合整理しやすく着実な知識の積み重ねが図れる点が魅力です。

聖マリアンナ医科大学医学部の偏差値は、30年前と比較すると大きく上昇しました。最近の偏差値は慶応義塾大学や早稲田大学の理工学部を上回るレベルです。また、2023年度の一般選抜の入試倍率は、前期が25.93倍、後期が85.83倍でした。前期も高倍率ですが、後期は非常に狭き門となっています。偏差値が上昇したことに加えて入試倍率も高いことから、難易度はとても高いといえるでしょう。

聖マリアンナ医科大学医学部に合格するためには、自分の得意分野や不得意分野を把握し、抜けや漏れがないように満遍なく着実な対策が必要です。これまで紹介してきた勉強法を取り入れて、受験に向けてしっかり対策しましょう。

聖マリアンナ医科大学医学部の受験を考えているなら、実際の入試形式を忠実に再現したメビオの大学別模試がおすすめです。現時点での自分の到達点を知り、受験勉強に活かしていきましょう。

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