医学部コラム
医師の夢をあきらめない!医学部編入について徹底解説
基本情報
2021/12/28(火)
(最終更新日2024/01/16)
医学部の合格には、正規合格と繰り上げ合格があります。繰り上げ合格があることで、正規合格はできなくても医学部に入学できる可能性が生まれてくるのです。
医学部を受験する場合は繰り上げ合格があることを見越して、志望校を選定することも必要です。この記事では、繰り上げ合格とはどのような仕組みなのか、さまざまな角度から紹介します。
目次
1.医学部編入制度とは
1-1.選考時期は?
1-2.実施大学は?
2.医学部編入制度の成り立ち
2-1.医学部編入に必要な資格・条件
3.編入試験の内容は?
3-1.生命科学とは?
4.医学部編入試験のメリットとは?
4-1.受験科目が少ない
4-2.国立大学に入れる可能性がある
5.医学部編入の流れ
6.医学部編入の難易度は?
7.多くの国立大学で実施される医学部編入
医学部編入制度とは
医学部編入制度とは、医学以外の学問を専攻して4年制大学を卒業した人(または卒業見込みの学生)が、医学部に編入して医学教育を受けられる制度です。
医学を学ぶことに対して明確な目的意識や強い志を持っていれば、医学部以外の学部に進学し卒業した(卒業予定)人も、医師になる夢を諦める必要はありません。
選考時期は?
医学部への編入時期は2年次前期と3年次前期に分かれており、半数以上の大学が2年次前期に編入することになっています。選考時期は大学にもよりますが、国公立大学の場合は4~7月に出願、8~9月に一次・二次試験、9月に合格発表が行われることが一般的です。
私立大学は国公立大学よりもスタートが遅く、9~10月に出願、10~12月に試験、年内に合格発表が行われるという流れになっています。試験の日程は大学によって異なるため、日程が重ならなければ複数の大学の編入試験を受験することも可能です。
実施大学は?
2021年8月現在で27校の国公立大学で編入制度を実施しています。国公立大学に比べると、私立で実施している大学は北里大学や獨協医科大学などわずかです。
また前述の通り、ほとんどの大学が2年次編入としています。人気の名古屋大学は2022年度から2年次編入へ変更されるほか、定員もこれまでの5名から4名に縮小する方針なので注意しましょう。
なお、編入後はそれまで通っていた大学で取得した一般教養科目は単位認定されるのが一般的です。そのため、入学後すぐに医学に関する勉強に専念できるでしょう。
医学部編入制度の成り立ち
医学部の編入制度はどのような経緯で作られたのでしょうか。
医学部編入制度は、1975年に大阪大学医学部が全国の医学部に先駆けて実施したのが始まりです。2000年頃には当時の文部省から、良医育成のため一度大学を卒業してから社会経験を積んだ人を積極的に医学部に編入させる方針が打ち出されました。これにより、編入制度を始める大学が一気に増加します。
日本で医師を目指すためのもっともメジャーな方法は、高校卒業後すぐに医学部に入学し、医学教育を受けるものです。若いうちに医学の道に進むことによって、医師として現役でいられる年数が長くなり、しっかりと経験が積める点がメリットです。
一方のアメリカでは、4年制大学を卒業した後にメディカルスクールに入学し医学教育を受けるスタイルが主流です。医師になる前に医学を始めとしてさまざまな学問を学び、人としての成熟度を高めた後に医師になれる点が特徴です。
日本の医学部編入制度はアメリカと日本のメリットをうまく融合させたシステムといえるでしょう。
※参考:21世紀の命と健康を守る医療人の育成を目指して(21世紀医学・医療懇談会第4次報告)
医学部編入に必要な資格・条件
多くの大学では、学士号を取得した人または学士号の取得見込み者を編入試験の対象者としていますが、中には4年制大学に2年以上在籍(見込み者を含む)して指定の単位を取得した人や、短期大学や高等専門学校を卒業した人(卒業見込み者含む)も対象にしている大学もあります。また、医学部編入には年齢制限は設けられていないことが一般的なので、社会経験を積んだ後に医師を目指すことも可能です。
大学によっては出願の際にTOEICやTOEFLのスコアの提出を求めるなど、他に要件を設けている場合もあるため出願の際には必ず募集要項を確認しましょう。
編入試験の内容は?
医学部学士編入試験は科目がほぼ固定されており、科目も少ないため狭く深い勉強が必要です。
試験のパターンは主に次の3つに分けられます。
- 英語+生命科学
- 英語+生命科学+物理化学
- 英語+生命科学+物理化学+数学
編入試験では、大学入学共通テストは受けずに大学固有の試験のみを受けます。このほかに課されるものとして志望動機書・面接・小論文もしくは課題論文があり、これらは特に重視されることもポイントです。
小論文のテーマは生命倫理や医療問題など、医療に関係する社会問題がテーマに選ばれることが多く、時事問題へ関心を持つことも必要とされます。
生命科学とは?
医学部編入試験において大変重要な科目として位置づけられている生命科学は、高校の履修科目にはありません。多くの医学部編入試験で必須科目とされているため、医学部編入試験に合格するためにはしっかりとした準備が必要とされます。
生命科学とは、高校の生物を土台として生命に関する部分をより深めたものです。中でも重要度が高いのは細胞生物学、生化学、分子生理学、生理学で、この他に遺伝学、発生生物学、免疫学など幅広い分野から出題されます。
医学部編入試験のメリットとは?
一般入試で医学部を目指す場合と比べて医学部編入試験を受験すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここからは、医学部編入試験を受けるメリットを紹介します。
受験科目が少ない
一般入試で受験する場合と比べて、編入試験は受験科目が少ないことが特徴です。国公立大学を一般入試で目指す場合は、大学入学共通テストで5教科7科目を課す大学が多いため、オールマイティに勉強しなくてはなりません。また、合格を勝ち取るためには約90%の正答率が必要といわれています。
一方、編入試験は受験科目が少ないので勉強の負担は少なくなるでしょう。編入試験の試験科目には英語が課されることが多く、英語が得意な人にはかなり有利です。
国立大学に入れる可能性がある
編入試験が実施されているのは主として国立大学です。国立大学の6年間の学費は約350万円であるのに対し、私立大学の6年間の学費は安いところで約2000万、高いところでは4000万円を超えています。そのため、家計に負担がそれほどかからない国公立大学を志す人が多く、国公立大学は高倍率になりがちです。
一般入試で国公立大学を目指す場合はかなりの競争率を乗り越える必要がありますが、編入試験であれば国公立大学に入学できる可能性が出てきます。
医学部編入の流れ
一般的な医学部編入試験の流れは以下の通りです。
- 願書提出
一次選考として書類審査を行う大学は、大学側が求める要件を満たしていなければ願書提出を受け付けてもらえません。
大学によって推薦書が必要な場合があります。 - 学科試験
試験内容は大学によって異なります。
文系出身者も狙いやすい大学もあるので、受験科目を調べてみましょう。 - 小論文・面接
個人面接を行う場合もありますが、特定のテーマが与えられて集団討論をする大学もあります。
面接では医学に対する熱意や志望理由を聞かれます。 - 合格通知
- 多くは2年次から編入
医学部編入の難易度は?
医学部編入は一般入試と比べて定員が少ないため、競争率は10~20倍のことが多く、中には50倍を超えることもあるなど狭き門です。学科試験の難易度はおおむね大学受験レベルや大学の教養課程で学ぶレベルと同程度になっています。
難問奇問はほかの受験生も解けない場合が多いので、解ける問題を確実に得点していくことがポイントです。英語は大学受験で求められる英語レベルをはるかに上回る内容が出題される場合もあるため、専門的な対策が必要とされます。
多くの国立大学で実施される医学部編入
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