医学部コラム
医学部の特徴まとめ(福岡大学・久留米大学・川崎医科大学編)
基本情報
2022/08/18(木)
(最終更新日2022/07/24)
1.福岡大学医学部の特徴
1-1.少人数のテュートリアル教育
1-2.充実した臨床修練
1-3.奨学金情報
2.久留米大学医学部の特徴
2-1.チーム医療のための協同学習
2-2.医学教育コア・カリキュラムの導入
2-3.奨学金情報
3.川崎医科大学医学部の特徴
2-1.入学後早期から始まる基礎医学教育
2-2.充実した臨床実習
2-3.奨学金情報
福岡大学医学部の特徴
福岡大学は1934年に創立された福岡高等商業学校が始まりです。医学部医学科は1972年に増設され、翌年に福岡大学病院も開設されました。
「思想堅実」「穏健中正」「質実剛健」「積極進取」を建学の精神とする全人教育が特徴です。創立75周年には「人をつくり、時代を拓く」というスローガンも作られています。
【キャンパス所在地】福岡市城南区七隈八丁目19-1
【URL】https://www.kurume-u.ac.jp/
【6年間の学費】3,773万8,260円
【医師国家試験合格率】94.1%(2021年度新卒・既卒含めた実績)
少人数のテュートリアル教育
医療に必要な知識を単に記憶して詰め込むだけでは、質の高い医師を育成できません。そこで福岡大学医学部では「医学教育モデル・コア・カリキュラム」で基本的な内容を効率的に学ぶとともに、問題解決能力や自学自修の姿勢を培うことに重点を置いたテュートリアル教育を取り入れています。
テュートリアル教育は従来の講義とは異なり、7~8人程度の少人数グループに分かれて自ら調べ、考えたり討論したりする形式です。テューターと呼ばれる担当教員は教育効果を高める適切なアドバイスは与えますが、間違った方向に行きそうなときの軌道修正以外は介入しません。
充実した臨床修練
5年次になると医師の指導のもと、実際に医療チームの一員として診療に加わるクリニカルクラークシップ(診療参加型臨床実習)が始まります。福岡大学医学部は福岡大学病院と福岡大学筑紫病院、福岡大学西新病院と3カ所の修練場所があります。
福岡大学病院は地域の中核・拠点病院として、救命救急センターや総合周産期母子医療センターなどを備えた総合病院です。福岡大学筑紫病院は地域医療支援病院や地域がん診療病院、小児救急医療の拠点病院として、主に急性期医療に貢献しています。福岡大学西新病院は地域包括ケア病床を備えているなど、それぞれ特徴のある病院での研修が可能です。
奨学金情報(修学資金制度)
福岡大学では2年次以降、前年度の成績が優秀で、品行方正な学生に対して30万円授与される「福岡大学特待生」があります。
また、人物、学業成績ともに優秀かつ経済的理由で学業の継続に支障をきたす学生に対して、福岡大学独自の奨学・授業料等減免制度が設けられています。
返還義務がない給付型奨学金として用意されているのは、最高20万円給付される「福岡大学課外活動給費奨学金」、給付額30万円の「福岡大学未来サポート募金給費奨学金」などです。さらに、2022年度には最長6年間授業料の半額を免除する「入試成績優秀者奨学金 FUスカラシップ」が新設されました。
貸与型奨学金の「福岡大学有信会奨学金」は最終学年次に50万円貸与されます。(卒業後10年以内に返還)そのほか、「緊急給付型経済支援による授業料等減免」や「大規模災害及び感染症拡大の影響による授業料等減免」など、緊急性のある状況での授業料減免制度も設けています。
※出典https://www.fukuoka-u.ac.jp/support/life/scholarship.html
久留米大学医学部の特徴
久留米大学は1928年設立の九州医学専門学校を母体とし、発展した歴史ある私立総合大学です。設立以後、複数の学部・学科を増設し、現在では6学部13学科と4つの大学院研究科、18の研究所・センターを有しています。「国手の矜恃(ほこり)は常に仁なり」という建学の精神が現在の教育や研究の指針につながっています。
【キャンパス所在地】福岡県久留米市旭町67番地(旭町キャンパス)
【URL】https://www.kurume-u.ac.jp/
【6年間の学費】3,637万8,000円
【医師国家試験合格率】77.8%(2021年度新卒・既卒含めた実績)
チーム医療のための協同学習
現代の医療現場では、多種多様な医療関連の職種がそれぞれの専門性を生かしてチーム医療を提供しています。そのため、久留米大学医学部では問題解決型グループ学習を1年次に導入し、協同学習に力を入れています。
久留米大学医学部では、建学の精神に沿った仁ある医師(仁医)を育成するためにもコミュニケーションは大事だと考えており、積極的に仲間と協力して学習する機会を設けています。協同学習によって単に知識や技術だけではなく、チーム医療を実践するうえで必要とされるチームワークやコミュニケーション能力を体験的に学ぶことが可能です。
医学教育コア・カリキュラムの導入
医学教育コア・カリキュラムは、文部科学省が「多様なニーズに対応できる医師の養成」を目的として策定した、医学の教育目標です。久留米大学医学部の学生も2年次以降、医学の基礎的な部分を本格的にコア・カリキュラムで学んでいきます。
医学の分野は多岐にわたり、現代では細分化もされ、学ぶべき知識や技術は膨大です。コア・カリキュラムでは、特に必須とされるテーマに対して、従来の縦割り講座による講義ではなく、さまざまな講座の教官が参加して横断的に講義が行われます。
奨学金情報(修学資金貸与制度)
久留米大学では返還が不要の給付型奨学金と返還が必要な貸与型奨学金の制度を独自に設けています。久留米大学奨学金(給付)は、健康で学業成績と人格が良好な学生に対して給付される奨学金です。
家計の急変によって授業料等の納付が困難と認められた人に限られ、実際には奨学金そのものが給付されるのではなく、各納期ですでに納付したものとして取り扱われます。給付額は学部または学科において定められ、医学部医学科の採用者数は2人以内です。
久留米大学奨学金(貸与)は人物・学業ともに優れながら経済的理由で修学困難な学生を対象とし、年間10~270万円(10万単位)が貸与されます。医学部の対象は24人以内で1年分を一括貸与されます。
※出典https://www.kurume-u.ac.jp/site/gakusei-bun/gakuseika-support-shogaku02.html
川崎医科大学医学部の特徴
川崎医科大学は「人間(ひと)をつくる 体をつくる 医学をきわめる」という3つの理念を掲げ、1970年に開学しました。良医を世に送り出して社会福祉に貢献し、医学の進展に寄与することを使命としています。この理念を達成するために、川崎医科大学ではキャンパスの自然はもちろん、各種施設や優秀な教職員、全寮制の生活など、さまざまな面から環境を整備しています。
【キャンパス所在地】岡山県倉敷市松島577
【URL】https://m.kawasaki-m.ac.jp/
【6年間の学費】4,550万円
【医師国家試験合格率】90.6%(2021年度新卒・既卒含めた実績)
入学後早期から始まる基礎医学教育
川崎医科大学医学部では、1年次から基礎医学教育が開始します。例えば、9月からスタートする「人体の構造と機能1」は、解剖学と生理学と統合した科目です。カリキュラムには解剖実習も含まれており、人体の構造と機能を統合しつつ、理解を深められます。
入学後の早期から基礎医学教育を開始することで、医学を学びたいという医学生のモチベーションに応えるとともに、臨床医学への意欲につなげるのが狙いです。5年次になると外科系教員による臨床解剖実習も行われ、臨床医学の視点から人体構造の理解を深め、解剖知識を身につけます。
充実した臨床実習
川崎医科大学医学部では臨床実習を重視したカリキュラムも特徴的です。1~3年次には社会福祉法人「旭川荘」で臨床実習が実施され、障害を持つ人と直接触れ合います。看護実習を通して多職種連携を実感できるのも貴重な体験です。
3年次までに基本的臨床手技や身体診療、医療面接などのスキルを身につけ、4年次からは診療参加型臨床実習(クリニカル・クラークシップ)が開始します。
クリニカル・クラークシップは実際に診療チームの一員として診療に加わる、より実践的な臨床実習です。診療参加型臨床実習の開始前には共用試験(CBT)と客観的臨床能力試験(OSCE)、実習終了後にはPost-OSCEを受験します。
奨学金情報
川崎医科大学医学部では、日本学生支援機構や地方公共団体・民間等による奨学金を受けることが可能です。またそれ以外に、奨学金に該当するものとして大学独自の特待生制度があります。具体的には、学業はもちろん人物にも優れながら、経済的理由で修学が難しい学生に対して独自に特待生制度を設けて修学支援を行うものです。
1~5年次に成績が優秀であれば、翌年度に特待生として支援を受けることが可能です。特待生になれれば学生表彰規定に基づき、川崎学園育英会より授業料相当額の奨学金が給付されます。