医学部コラム
医学部の特徴まとめ(聖マリアンナ医科大学・東海大学・産業医科大学編)
基本情報
2022/08/28(日)
(最終更新日2022/08/28)
1.聖マリアンナ医科大学 医学部の特徴
1-1.キリスト教の精神に基づく医学生の教育
1-2.ブロック型カリキュラムの導入
1-3.幅広い教養や知識の育成
2.東海大学 医学部の特徴
2-1.「ハワイ医学教育プログラム」(HMEP)
2-2.充実した海外留学制度
2-3.特別選抜(展学のすすめ)
3.産業医科大学 医学部の特徴
2-1.産業医の資格が取れる
2-2.独自の修学資金貸与制度実
聖マリアンナ医科大学 医学部の特徴
聖マリアンナ医科大学は、1971年に東洋医科大学という名前で創立、開学しました。1973年に聖マリアンナ医科大学と名称変更し、1974年には大学病院本院が開院、1977年に大学院、1979年に看護専門学校が開校しています。生命の尊厳に基づく人間愛にあふれた医療人の養成を使命として掲げている大学です。
【キャンパス所在地】神奈川県川崎市宮前区菅生2-6-1
【URL】https://www.marianna-u.ac.jp/
【6年間の学費】3,440万円(1年次が690万円・2年度以降が550万円であることから推算・他に学生自治会費・保護者会会費・同窓会費など別途必要)
【医師国家試験合格率】91.8%(2021年度新卒・既卒含めた実績)
キリスト教の精神に基づく医学生の教育
キリスト教の精神に基づく人類愛を基本理念としています。医学のプロフェッショナルとして高い専門知識や医療技術を身に付けることに終始せず、病める人の身体と心の痛みが分かる人間性と感性豊かな医療人の養成を目標としています。
医療技術は日進月歩です。さまざまな最新技術を活かしたハイテク医療に対応するためには、確かな技術力や知識、日々学び続ける姿勢を身に付けることが必須です。知識や技術の習得以上に、命あるものを思いやる温かな心と優れた人間性、幅広い教養を持ち合わせた医療人を育成することに力を注いでいます。
ブロック型カリキュラムの導入
聖マリアンナ医科大学では、関連した項目を1つのブロックとして扱い、1週間単位で集中的に学ぶブロック型カリキュラムが導入されています。ブロック型カリキュラムを導入するメリットは、学修内容を1週間単位まで小さくすることで事前学習が行いやすく、知識の統合整理に役立ち、着実に知識を積み重ねられることです。
幅広い教養や知識の育成
医学は自然科学の一分野であり、関連科目を学んでおくことで将来医師として治療や研究を行う際に役立ち、医学や医療を支える分野に関しても理解を深めることが可能です。
このため聖マリアンナ医科大学では、幅広い自然科学領域の科目を主に低学年で学ぶカリキュラムを構築しています。さらに、1~4年次には選択科目として語学系、人文社会系を中心としたリベラルアーツに関するさまざまな科目が開講されているので、自然科学系の知識だけに偏らず、幅広い教養と知識を得ることが可能です。医療人としての人間性、感性、社会性を身に付け、バランスの取れた人間形成を目指します。
東海大学 医学部の特徴
東海大学医学部は1974年に開設され、1975年に医学部付属病院が開院しました。2018年には医学部看護学科が開設されています。他の医学系大学と比べて大きな違いは、一般編入学枠が多数設けられていることです。その結果、さまざまな背景や文化を有する学生同士が互いに刺激しあい、人間性や社会性を形成していくことができます。
【キャンパス所在地】神奈川県伊勢原市下糟屋143
【URL】http://www.med.u-tokai.ac.jp/
【6年間の学費】3,530万6,200円(その他諸会費等別途必要)
【医師国家試験合格率】82.8%(2021年度新卒・既卒含めた実績)
「ハワイ医学教育プログラム」(HMEP)
東海大学医学部は、2016年度から一般社団法人JrSr(ジュニアシニア)が主催するハワイ医学教育プログラム(HMEP)に参画しています。主に日本の医学教育の国際標準化や日米の医学教育交流の促進を目的としたもので、その思いに賛同した国内外の医師や医療関係者が集結し、さまざまなプログラムを実施しています。
このプログラムの参加者の中から選抜メンバーとして選ばれた学生は、4~6年次の間に米国式臨床実習を受ける権利を得られると共に、卒業時に米国医師国家試験に臨めるスキルを身に付けるべく支援を受けることが可能です。
充実した海外留学制度
東海大学医学部は開設以来、世界に通用するグローバルな視点を持った医師を育成することを目標として掲げており、海外と積極的に交流を行ってきました。その流れを受けて1983年からは海外留学制度の充実を図り、留学先において学生医師として臨床実習を行える機会を設けています。
特別選抜(展学のすすめ)
東海大学医学部では「展学のすすめ」と題して、学士だけでなく短大卒や専門学校卒でも医学部を志した人が受験できるよう、広く門戸を開いています。さまざまな分野で活躍した経歴を医師として生かしていけるように、入試科目も文系理系を問わないものになっていることも特徴的です。
一度は社会人として働いた経験のある人や海外の大学に在学していた人、医学部以外の学部学科に在籍していて医師を目指す人など、多彩な人材が高いモチベーションを持って転入学しています。その結果、転入学生同士はもちろん、一般選抜で入学した学生にも良い刺激となっています。
産業医科大学 医学部の特徴
産業医科大学は、産業医の養成に特化した日本で唯一の医科大学として1977年に設立されました。大学は医学部医学科と産業保健学部(看護学科と産業衛生科学科)の2学部3学科で組織されています。福島原発の就労者を多年にわたって支援し、胆管がんと職業との関係を研究し続けるなど産業医学分野で高く評価されている大学です。
【キャンパス所在地】北九州市八幡西区生ヶ丘1番1号
【URL】https://www.uoeh-u.ac.jp/
【6年間の学費】3,049万円(修学金貸与制度を利用すると1,129万6,800円)
【医師国家試験合格率】94.3%(2021年度新卒・既卒含めた実績)
産業医の資格が取れる
産業医科大学のカリキュラムは、1~6年次まですべての学年で産業医学に関する教育が行われていることが特徴です。他の医学部などと同様に一般の病院臨床実習や座学なども並行して行われるため、医学に関する包括的な知識を得ることができます。
産業医科大学がその他の医学部と最も大きく異なる点は、卒業と同時に産業医の資格が取れることです。最初の2年は初期研修医として臨床研修を行い、3年目以降は産業医として研修を行うことで、より高度な技術と知識を身につけます。
産業医とは
産業医は、職場において労働者が健康かつ快適な環境で業務を行えるよう助言・指導する医師のことを指します。このため、産業保健の理念、労働衛生に関する専門的な知識を持ち合わせていることが必須となります。
厚生労働省の定めによれば、労働者が50人以上3,000人以下の事業場では1人以上、労働者が3,001人以上の事業場では2人以上の産業医を選任しなければなりません。また、労働者が常時1,001人以上の事業場と特定の業務を常時500人以上で行う事業場では専属の産業医の選任が必要です。
独自の修学資金貸与制度
産業医科大学医学部には、公益財団法人産業医学振興財団が修学資金を貸与する独自の制度があります。
修学資金は医学部生全員に対して貸与されます。具体的には、初年度の学費591万5,000円のうち379万7,200円、次年度以降の学費491万5,000円のうち307万9,200円が貸与されます。本来かかるはずの学費3,049万円から貸与される修学資金を差し引くと、6年間で実際に必要となる学費は1,129万6,800円となります。
貸与を受けた期間の1.5倍にあたる期間を産業医や労災病院の医師として勤務した場合、全額返還が免除されます。