医学部コラム
中国地方の医学部(国立・私立)
基本情報
2023/03/03(金)
(最終更新日2023/03/03)
中国地方の国立大学医学部
広島大学医学部
所在地:広島市南区霞一丁目2番3号
公式サイト:https://www.hiroshima-u.ac.jp/med
医師国家試験合格率(2022年実績・新卒者のみ):98.3%
6年分の学費:349万6,800円
広島大学 医学部の沿革
広島大学医学部は1945年に開校された広島県立医学専門学校が起源です。広島県立医科大学の時代を経て、1953年には広島大学の医学部となりました。現在の医学部には医学科と保健学科の2学科があります。広島大学医学部ではチーム医療を担う人材の育成に力を入れているとともに、研究医を目指す学生のためのカリキュラムや国際交流事業も充実しているのが特徴です。
広島大学 医学部の特徴
1年次は教養教育が中心ですが、医・歯・薬学部を擁するメリットを活かし、IPE(多職種連携教育)として合同の早期体験実習が実施されています。4年次後半から開始する臨床実習は附属の大学病院だけではなく、県内の病院で行うことも可能です。すべての診療科で行われる実習の中には、実際に救急車に同乗して救急医療システムを学ぶ救急車同乗実習もあります。
研究医の養成では、4年次に学内の研究室に配属される医学研究実習が設けられています。基礎研究医を目指す学生のためのMD-PhDコースでは、1年次から研究室の見学が可能です。国際交流協定を締結している国は10カ国を超え、4年次の医学研究実習や6年次の臨床実習を海外で行えるチャンスもあります。
岡山大学医学部
所在地:岡山市北区鹿田町2丁目5番1号
公式サイト:https://www.okayama-u.ac.jp/user/med/
医師国家試験合格率(2022年実績・新卒者のみ):94.3%
6年分の学費:349万6,800円
岡山大学 医学部の沿革
岡山大学医学部は、1870年に設置された岡山藩医学館が起源です。第三高等中学校医学部や岡山医学専門学校、岡山医科大学などの時代を経て、1949年には岡山大学医学部となりました。岡山大学医学部では「脱ガラパゴス!―医学教育リノベーション―」と称し、国際認証評価に対応した臨床実習を中心とする医学教育への改革を推進しています。2015年には医歯薬融合型教育研究棟が竣工し、「MOMO Sim」と呼ばれるシミュレーションフロアでシミュレーション教育が行える環境も整いました。
岡山大学 医学部の特徴
1~5年次にかけて医師に必要な資質を主体的に考えるプログラムとして「プロフェッショナリズム1~5」を設け、学びの動機付けができるよう工夫されています。1年次の早期や3年次に1週間、県内および近隣の医療機関でプライマリ・ケアや地域包括ケアを学ぶ地域医療体験実習があります。
5年次からの選択制臨床実習では学内だけではなく、学外や海外も含めてコースの選択が可能です。また、3年次には3カ月間の研究室配属で研究に従事できる医学研究インターンシップがあるなど、医学研究のためのプログラムも特色があります。
山口大学医学部
所在地:山口県宇部市南小串1-1-1
公式サイト:http://www.med.yamaguchi-u.ac.jp/
医師国家試験合格率(2022年実績・新卒者のみ):95.3%
6年分の学費:349万6,800円
山口大学 医学部の沿革
山口大学は長州藩士の上田鳳陽によって1815年に設立された山口講堂が起源です。医学部の歴史は1944年に設立された山口県立医学専門学校から始まり、山口県立医科大学の時代を経て、1949年に山口大学が創設された際山口大学医学部となっています。山口大学医学部では臓器・系統別に編成されたコースやユニット制カリキュラムなど、充実した独自のカリキュラムが特徴です。
山口大学 医学部の特徴
2018年にはAIシステム医学医療研究教育センターが設立され、多階層シミュレーションやビックデータ詳細解析を医学や医療に活かす先進的な取り組みが行われています。医学部での医師育成においても、現代的なAI教育やデータサイエンス教育が取り入れられていることが特徴です。
高度学術医(アカデミックドクター)を育成するため、学部・大学院教育を一貫した「高度学術医コース」が設けられているのもユニークなポイントです。準備段階として2・3年次から研究室に出入りできる「Open Science Club」、3年次に「高度自己修学コース」などが設けられています。4年次からは本格的に「SCEAコース」または「AMRAコース」で学部在学中から大学院の授業を履修できる体制が整っています。
鳥取大学医学部
所在地:鳥取県米子市西町86番地
公式サイト:https://www.med.tottori-u.ac.jp/
医師国家試験合格率(2022年実績・新卒者のみ):92.5%
6年分の学費:349万6,800円
鳥取大学 医学部の沿革
鳥取大学は1945年設立の米子医学専門学校を起源とし、米子医科大学の時代を経て1949年に鳥取大学が開学した際に鳥取大学医学部となりました。現在の医学部には医学科と生命科学科、保健学科の3学科があります。
鳥取大学 医学部の特徴
鳥取大学医学部では「患者中心の医療を実践し、最先端の医学を創造できる医師を養成する」という考えのもと、地域医療教育とともに高度専門教育や国際医療にも力を入れています。ヒューマンコミュニケーションや基礎手話、基礎医学体験など、「コミュニケーション・イノベーション教育」と呼ばれる人間性涵養教育に重点を置くカリキュラムが特徴です。モデル・コア・カリキュラムを中心としながら、学生が自主的に選択できるコミュニケーション・イノベーション教育がバランスよく配分されています。
一方で、2009年に設置された鳥取大学染色体工学研究センターは、人工染色体・幹細胞操作技術の医療応用技術や抗体医薬開発など、基礎医学の分野で世界的な実績があります。さらに、大学間協定や部局間協定を結ぶ提携大学を全世界に広げており、夏期や春期の休みを利用した短期研修や臨床研修プログラムへの参加も可能です。
島根大学医学部
所在地:島根県出雲市塩冶町89-1
公式サイト:https://www.med.shimane-u.ac.jp/
医師国家試験合格率(2022年実績・新卒者のみ):96.1%
6年分の学費:349万6,800円
島根大学 医学部の沿革
島根大学医学部は1975年に設立された島根医科大学を前身とし、2003年に旧島根大学と統合して新たに島根大学医学部となりました。島根大学医学部では「地域医療人の養成」を特色とする教育が特徴の一つです。1年次から地域医療に関わる講義や早期体験実習、地域医療体験実習を通して、実際に地域医療で活躍する総合診療医の教えを受けられる体制が整えられています。4年次から始まる診療参加型臨床実習(クリニカル・クラークシップ)では、大学病院実習だけにとどまらず、地域医療実習として県立中央病院や中山間地・離島の地域医療機関でも行われています。
島根大学 医学部の特徴
国際的視野を身につけるための実践的な医学英語教育が6年間一貫して行われ、医学英語教育高度化プログラムを展開しているのも特徴です。具体的にはEラーニングの積極的な活用や、英語学習支援スペースの活用などがあります。医学部独自のアドバンスト・イングリッシュスキルコースでは、一人ひとりのレベルやニーズに合った科目を自由に履修しながら英語力を磨くことが可能です。1・2年次対象のニュージーランド研修から6年生対象の医療研修まで、海外研修プログラムの充実も図られています。
中国地方の私立大学医学部
川崎医科大学医学部
中国地方にある私立大学医学部は岡山県にある川崎医科大学だけで、島根県や鳥取県、広島県、山口県にはありません。ここからは中国地方に唯一ある私立大学医学部の川崎医科大学について紹介します。
川崎医科大学医学部
所在地:岡山県倉敷市松島577
公式サイト:https://m.kawasaki-m.ac.jp/
医師国家試験合格率(2022年実績・新卒者のみ):94.0%
6年分の学費:4,736万5,000 円
川崎医科大学 医学部の沿革
川崎医科大学は「人間(ひと)をつくる 体をつくる 医学をきわめる」の3つの理念を掲げ、有能にして社会の要請に応える医師を養成することを目的として1970年に開学しました。コミュニケーションツールとしての日本語能力を磨く「日本語リテラシー」の科目が、「良医」教育の礎として1年次に行われています。2年次にはチーム医療で大切な協調性や高いコミュニケーション能力を養う「情報活用と組織行動」の科目もあります。
川崎医科大学 医学部の特徴
川崎医科大学の特徴は、入学後の早期から基礎医学教育を開始することです。1~3年次の臨床実習では社会福祉法人での実習で障害を持った人との触れ合いや看護実習を通し、多職種連携を体験する機会が設けられています。4~6年次の診療参加型臨床実習も含め、臨床実習を重視した教育をします。
研究マインドを培うため、2年次の「医学研究への扉」では研究室に5週間配属され、学内約100課題と学外10課題(9大学)の中から自分の研究課題を選択して研究します。優秀な研究をした学生は日本医学教育学会などで演題を提出するチャンスもあり、研究の面白さや重要性を実感できる機会となっています。