講師が連携し、合格に足る総合力を養成・補強。再受験を決意し、1年で進学。
I君の場合(2015年卒)
近畿大医学部進学。
大学の文系学部を卒業後、一般企業に勤めていたI君が一念発起して医学部受験を決意したのは28歳の時でした。英語以外はほぼ学習歴がないため、実力判定テストでも「1年での合格は無理かもしれない」と感じる講師もいました。
授業が始まると、数学だけでなく理科の負担が予想外に大きいものでした。生物は高2まで履修した後、 独学で少しかじった程度。基礎的な問題にさえ手が出ません。「現実の事象には背後に複雑な繫がりがあり、暗黙の了解事項を知らないと厳しい。今後の学習で少しずつ見えてくるはずだから地道にやっていこう」と諭した生物の西尾は、「苦労するだろうがI君は伸びる」と直観。「自分の頭で突破しようという姿勢」があるがゆえのジレンマは、後に知識が整理された時に大きな強みになるだろうと感じたからです。
しかしプラスに思える「自ら突破しようとする姿勢」が数学においては、新しく習った考え方やテクニックの定着に大変な苦労を強いることもありました。それでも彼は一切手を抜かず、 持てる知識をフル活用して正答に辿り着くまで必死に格闘していました。数学の木村稔は「他の生徒が諦めるなか、彼だけが粘る姿は印象的だった」と語っています。真摯さに突き動かされた木村は、 I君の質問を受けるため休日返上でメビオに来ることが多くなりました。
I君は、彼と似たタイプの生徒が集まる「英語に比べ数学の配分を増やしたクラス」で本科前期をスタート。さらに化学の個人授業を加えました。メビオでは、成績だけでなく適性に応じたクラス分けを行います。そして1年を通して講師たちが科目を超えて情報を共有していくなかで、夏期講習の青写真が描かれ、実力テストの結果も踏まえ、新たにクラスが組み直されていきます。さらに夏期講習の様子と8月の実力テストの結果から、今度は入試を見据えて本科後期のクラスが編成されます。I君の場合は、得意の英語をさらに減らし、数学・化学が多い時間割に組み直しました。引き続き個人授業がある化学は、通常の2倍の時間を費やすことになりました。今まで触れたこともなかった化学は、苦手意識が拭えず四苦八苦し続けましたが、晩秋には成長がはっきりと感じられるまでになっていました。一方通常の半分に減らした英語は、授業内容の取捨選択が必要になってきます。 そこで担当の上田昭夫は、英語が得意なI君が興味を持てるよう工夫を凝らし、濃密な授業を心がけていきました。
そして受験期。彼の変わらぬストイックな態度は、ふと弱気になってしまう年下のクラスメイトの気持ちをポジティブな方向へ導きました。「I君が頑張っているから私ももう少し頑張ろう」という気持ちが生まれ、クラスが一体となって「合格しよう」という雰囲気ができあがっていきました。「自分の頭で突破していこう」という姿勢は、講師陣だけでなく周りの生徒も巻き込みながら、夢の実現へと突き進む力となっていったのです。結果、I君は第一志望の近畿大医学部に正規合格を果たしました。