本人以上に我慢強く!! 一緒に弱点と向き合い続けた1年。
Eさんの場合(2016年卒)
大阪医科大進学。
他に、杏林大医学部、日本大医学部、金沢医科大、川崎医科大、福岡大医学部、久留米大医学部合格。
負けん気が強く、こうと決めたら一直線に突き進むタイプのEさん。勉強にもその性格がよく表れていて、どの科目でもとにかく「速く解きたい!」「負けたくない!」という思いが先行するあまり、正確な処理ができないことが最大の悩みでした。数学ではとくにその傾向が強く、クラスで一番に作業は終わるものの、いつも正答率はいまいち。
こうした悩み、じつは進学校出身の生徒にはありがちです。多くの進学校では、カリキュラムが受験に向けてかなり前倒しになっているため、授業も速いし、クラスメイトたちの手も速い。そういう雰囲気にのまれて、ついつい丁寧な理解や作業をおざなりにしてしまう癖がついてしまうのです。
Eさんの場合、講師が解説しているときに、自分の作業に没頭するあまり大事な部分を聞き逃してしまう、ということがはじめのうちはよくありました。また、方針をひとつ思いつくと、その方針が正しいか、また正しいとしても最短かどうか、といった検証をしないまま、ひたすら答えにたどり着くことに熱中してしまう、ということもたびたび。
では、Eさんはこうした弱点をどうやって克服していったか。
――――残念ながら、劇的なドラマはありません。私たちがやったことはただひたすらに辛抱強く、Eさんの良くないところを指摘し続けること。
「できた!」「計算ミスしてる!」
「できた!」「もっとよく考えて! 論理が甘い!」
こんなやりとりを何度繰り返したかわかりません。一度固まってしまった勉強のスタイルを修正するのはとても大変。注意する側もされる側も、とにかく我慢強くやっていくしかないのです。Eさん自身、自分の問題点をちゃんと理解しているつもりなのだけれど、いざ作業を始めてしまうとやはり焦ってしまう。思い通りにできない自分に、悔し涙を見せることもありました。
けれども、秋頃から徐々にEさんの取り組みに変化が見え始めます。何度も指摘を受けながら、粘り強く自分自身の弱点と向かい合い続けた結果、「解き急がない」姿勢がようやく身についてきたのです。落ち着いて論理を積み重ねることができるようになれば、いよいよEさんの処理力の見せどころ。数学の力は確実に伸びていきました。
さらに焦りをなくして力を十分に発揮できるよう、英語では、受験日程で最初に試験を受けることになる大学の過去問演習を繰り返しました。「まずは初戦に勝って自信をつけよう!」という作戦です。もともと英語が得意だったEさんは、初めからそこそこの点数を取ることができましたが、そこで満足せず、安定して8割を超えるようになるまで演習を続けました。