医師を目指した文学少女。 その苦悩と葛藤の顛末。
Cさんの場合(2016年卒)
帝京大医学部進学。
他に、金沢医科大、藤田保健衛生大医学部合格。
――「小さい頃は世界中の本が全部読めると思っていた」――というCさん。幼い頃から本が大好きで、英語にもたくさん触れてきたといういわゆる「文系タイプ」の人でした。 みなさんの中にも、「自分は文系タイプだから、理科や数学ができない……」と感じている人はけっこういるのでは? けれども、そういった自己評価は単なる思い込みにすぎなかったり、あるいは、努力の成果がまだ目に見える形で表れていないだけ……なんてこともあるものです。
Cさんの場合、高校の間はとにかく数学から逃げ続けていたため、ほぼゼロからのスタートでした。けれども「浪人した以上は、数学と向き合う!」と覚悟を決めて臨みました。得意な英語の授業を減らして苦手な数学の授業を追加。メビオでは、こうした一人ひとりの得手不得手にできる限り配慮して時間割を作っています。その成果もあって、秋頃にはCさんの数学の力が着実に伸びてきていることを講師陣は感じていました。しかしそれがなかなか数字に表れません。いわば「水面下」で力をつけている状態。本人にとっては辛い状態です。受験も近づいてきて焦るCさんを講師は「大丈夫、受験には絶対間に合うから」と励まし続けます。ここで信じてもらえるかどうかは、1年間培ってきた信頼関係がカギ。メビオの授業は1コマ3時間半と長丁場ですが、その時間の中で、生徒と講師の確かな人間関係が築かれます。講師の言葉を信じて頑張ってくれたCさんは、この年、数学が難化したと言われる藤田保健衛生大医学部も見事合格!!
また、Cさんは物理の苦手意識も非常に強かったため、浪人をきっかけに「物理→生物」へと転向しました。もともと知識欲旺盛で、国語的な読解力に優れていたCさん。生物ではその才能が華々しく開花し、初心者ながら、実力テストや模試では常に平均点以上の高得点をキープします。そうして、受験期には生物は十分に点数の取れる科目になっていたため、帝京大学の試験科目の選択では、敢えて生物を選択しての合格!!
Cさんがもう一つ苦労したのが面接対策でした。「勉強が辛くなったときには読書をする!」というほど文学を愛するCさん。そうした文学へのとめども尽きぬ思いと、医学部を志望することとの間にどう折り合いをつければよいのか、思い悩んでいたのです。自分の医学部志望動機をどう語ればよいのか悩む生徒は毎年たくさんいます。そういった生徒に対してわれわれは、夏・秋・冬と季節ごとの面接練習を通して、生徒が自分のことをうまく語りだせるようなきっかけを探します。生粋の文学少女であるCさんの場合は、やはりヒントは「文学」にありました。一冊の小説(医師であり作家でもあったイギリスのA・J・クロ―ニンの「城砦」という小説)をきっかけに、Cさんは自分の志望理由を自信を持って語れるようになったのです。
こんなふうにして、苦手の数学を克服し、初めての生物を1年でマスターして、面接練習では自分の中の迷いに決着をつけたCさん。好きなだけ本が読める大学生活をどうか満喫してください!!