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福岡大学医学部各科目の講評および全体総括

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入試

メビオ講師コラム

2023/02/03(金)

2023年2月2日(木)に福岡大学医学部の入試がありました。

2月2日は他に東海大学医学部の解答速報もありましたので,メビオ校舎は夜遅くまで講師たちの熱がこもっていました。

福岡大学医学部の2022年度の合格最低点は246点です。志願者数は昨年2135人に対して,今年は2127人と,ほぼ変わらずでした。

それでは早速講師陣の声を紹介いたします。

英語

大問Ⅰの英文和訳は,難解な語句や表現もなく,内容を理解するのはさほど難しくありませんが,下線部第2文は2つの節内にそれぞれ挿入文や形容詞句が含まれ長文化しており,自然な日本語に訳出するのにやや手間取るかもしれません。

大問Ⅱの長文内容一致問題は「風力発電施設を利用して水素エネルギーを作る技術」に関する英文でした。本文は語彙も平易で,選択肢についてもあまり難しいところはなく正解を導くのは比較的容易でした。

大問Ⅲの文法語法四択問題は,昨年に続き「適している」選択肢を選ぶ形式でした。一部選びにくい選択肢も含まれていますが,全体としては標準であったと言えます。

大問Ⅳの発音アクセント問題には若干変化が見られました。例年,母音の発音について「同じもの」を問う問題が出題されていましたが,今年度は「異なるもの」が問われました。しかし,そのおかげで正解を選びやすかったでしょう。福岡大学入試に備えてしっかりと対策をしてきた受験生にとっては高得点も望めます。

大問Ⅴの語句整序については,文法・語法・イディオムをしっかり学んでいる受験生には解きやすかったはずです。

全体的には昨年並みの難易度でしょう。目標は75%

数学

昨年度に比べると問題が難化しています。

[Ⅰ]は解きやすい問題が多いのですが,[Ⅱ]の(i)(ii)はそれぞれ後半の設問が難しく,空所補充ということもあって得点しにくいです。また,[Ⅲ]は前半部分を突破するのに高い計算力が必要で,後半にたどり着けなかった受験生が多そうです。

[Ⅰ]を完答に近いところまで仕上げた上で,それ以外(特に[Ⅲ])でどれだけうまく立ち回れたが鍵となりそうです。

目標は60%というところでしょう。

物理
〔Ⅰ〕[力学:円錐振り子](標準)
円錐振り子に関する標準的な問題です。回転数と周期や角速度の関係を間違いなく扱う必要があります。基本事項がきちんと身についていれば完答することは可能です。
〔Ⅱ〕[熱:熱サイクル](標準)
熱サイクルの標準的な問題です。熱力学第一法則と状態方程式を使いこなせれば完答することも可能です。
〔Ⅲ〕[電磁気:交流](やや難)
前半は,直流回路の問題。問題文に書いてある情報を注意深く読む必要があり(2) はつまずき易い問題です。後半は,交流における抵抗・コンデンサー・コイルの基本的性質をしっかり押さえている必要がある問題で完答するのは難しいでしょう。特に,後半では直列共振についてしっかり理解している必要があります。(3),(4) をなんとか答えて欲しいところですが,手が出なかった受験者も多かったのではないでしょうか。

2023 年度は2022年度よりも難化しました。大問1および大問2の難易度はそれほど高くはありませんが,大問3の正答率はかなり低いでしょう。目標得点率は75%

化学
大問1 [小問集合](やや易)
酸化還元反応,身近な化学現象,合成高分子化合物についての小問。計算問題も,答えを出すのに時間を取られるような設問もなく,短時間でクリアして先に進んだ受験生が多そうです。
大問2 [ケイ素](標準)
ケイ素の製法,性質,光ファイバーやシリカゲルなどのケイ素化合物に関する総合問題でした。シリカゲルの製法は入試頻出の内容です。またケイ素の結晶構造はダイヤモンド型の結晶として学んでいる受験生が多かったことでしょう。知識問題中心だったので時間はかからなかったはずです。
大問3 [熱化学](やや難)
問3以降で苦戦した受験生は多かったのではないでしょうか。小手先だけでは正解を出すのは難しく,きちんと熱化学方程式を書いて解く必要がある問題でした。また,問4の(ⅱ)もよく読んで考えないと引っ掛かりがちな問題でした。
大問4 [エステルの構造推定](標準)
エステルの構造推定をテーマに,脂肪族分野の基本的な知識をくまなく網羅できていたかどうかが問われました。この設問での失点をどれだけ低く抑えられたかは合否の分かれ目の一つになりそうです。

大問1の問2や大問3には新課程への移行を意識したような出題が見られ,そこに解きづらさを感じた受験生はいたかもしれません。残りの問題に関しては標準的な内容の出題で得点しやすい内容ででした。

総合的な難易度としては2022年度から大きな変化はなく,一次合格には80%を狙いたいです。

生物
〔Ⅰ〕[タンパク質の構造と機能](標準)
実験の解釈・グラフの読み取りができたかどうかで差がついたでしょう。
〔Ⅱ〕[ヒトの免疫応答](やや易)
オーソドックスな出題なので,計算ミスなど,取りこぼしがなければ満点を狙えます。
〔Ⅲ〕[ヒトの体内環境](易)
非常に易しいので,満点を取っておかなくてはならないです。
〔Ⅳ〕[動物の環境応答](易)
非常に易しいので,満点を取っておかなくてはならないです。
〔Ⅴ〕[生物の進化](やや難)
標準的ではあるものの,進化の仕組みや全体像がきちんと見えていないと解答しにくい設問が多く,進化の学習にこれまでどれだけ時間をさくことができたかで差がついたでしょう。

大問Ⅴが難しかったです。「なかなかそこまでは手がまわらない」と思われる知識が集中的に問題になっており,ほとんど得点できなかった受験生が多く,差はつきにくそうです。逆に,大問Ⅲ・Ⅳはかなり易しいので満点を狙う必要があり,ここでも差はつかないでしょう。残った大問Ⅰの考察問題と,大問Ⅱの計算問題でいかにミスをしなかったか,という勝負になりそうです。大問Ⅴが非常に得点しにくいため,目標は80%です。

全体講評

理系科目に変化が見られました。特に理科は3科目とも典型的でない問題が出題され,受験生の思考力,判断力を試そうという意図が感じられます。とはいえ,得点しやすい問題も沢山ありますので,そちらで失点をいかに少なくするかで得点率は大きく変わりそうです。

1次合格突破ラインは260点前後と予想します。

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