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海外医学部への留学の実態は?日本の医学部とどう違うの?

基本情報

2019/12/16(月)

(最終更新日2022/06/30)

近年、日本人の学生が徐々に海外医学部に進学するケースが増えてきました。ここでは、海外の医学部は日本の医学部とどのように違うのか、海外の医学部に進学した後にどのように日本の医師免許を取得するのか、詳しく紹介していきます。

海外の医学部への進学

海外の医学部に進学するといっても、実態がわからなければ進学候補として選ぶのも難しいでしょう。まずは、海外の医学部へ進学するために必要な基本情報を紹介します。

海外の大学で学んで医師になる

海外の医学部と聞くと、日本で医師として働けるかどうかが気になります。実は日本の医師国家試験は、海外の医学部を卒業していても受験資格を得ることができます。ただし、ここで注意しなければいけないのが、厚生労働省の審査を受ける必要があるという制約があることです。

厚生労働省は海外の医学部の教育水準や就学年数、卒業時の成績などの書類審査、日本語を用いての診療能力を調査し、それらが基準を満たした場合、日本での医師国家試験の受験資格を与えます。事務局などの窓口が日本国内にある医学部の場合は、基本的に厚生労働省の審査を通過できます。

万が一、書類審査しか認定基準を満たさなかった場合でも、医師国家試験予備試験の受験資格を得て受験を行い、1年以上の実地研修を経験した者には医師国家試験の受験資格が与えられるので、チャンスは十分にあります。

予備試験は2回の試験に分かれていて、1回目の試験では基礎医学(正常な人体の仕組みや病気の成り立ちに関する医学)からの出題が、2回目の試験では臨床医学(治療に関わる医学)から出題されると決まっています。2回目の試験では実地の試験があり、それぞれの試験を突破すると医師国家試験の受験が可能になります。実際に医師国家試験の予備試験の受験を求められるケースはそこまで多くないので、まずは海外の医学部を卒業して受験資格を得ることができるように、勉強を継続する必要があります。

学費が安く、海外で活躍できる

海外の医学部に進学する時に多くの学生が気にするのが進級の厳しさです。日本の大学より卒業の難易度が高いうえに、基本的に英語で医学を学ばなければならないので、語学力に不安がある人は進学をためらってしまうかもしれません。実際に海外の医学部では、留年率も退学率も日本での医学部に比べるとともに高くなっています。

しかし、海外の医学部は入学試験の科目数が少ないほか、入学難易度も国によっては日本よりも低くなっています。基本的に日本よりも学費が安いのも魅力の一つといえるでしょう。

また、外国での医師免許の取得も可能です。EU圏内の医師免許を得ることで、EUで医師として活躍できます。また、英語で医学を学ぶということはアメリカの医師国家試験の受験に必要なUSMLEの受験にも非常に有利に働きます。EUだけでなくアメリカで働けるチャンスが大きいのは、海外医学部の大きな強みでしょう。

デメリットもあるので注意!

海外の医学部に進学した際、デメリットがあるのも事実です。特に日本に戻って働きたいと考えている人には要注意です。

海外の医学部を卒業した後に日本の医師として働くためには、まず初期臨床研修を受けなければなりません。このため、海外の医学部に在籍しながら、日本の研修医のマッチングシステムに登録を行い、研修病院に面接に出向かなければならないのです。

また、日本の専門医の取得の際には、大きな総合病院か大学の医局に入局する必要があるのも厄介なポイントです。一般的に大学の医局に入局する際には、もともと自分が卒業した大学の医局に入局することが多く、他大学の医局に入局して専門医の取得を目指す場合の受け入れについては、医局の判断に委ねられます。

このように、海外の医学部に進学後、日本で医師として勤務を希望する場合は、日本の医療制度までしっかりと見据えて考えておく必要があるのです。

海外の医学教育の実態は?

進級の厳しさは日本以上

前述のとおり、海外の医学部で学ぶとき最も厳しいと感じるのは進級の厳しさでしょう。留年したり、卒業ができなかったりして退学するケースも少なくありません。最低修業年限で卒業できるかどうかは、学生がテスト・実習できちんとパフォーマンスを発揮することが大切です。

また、日本では医大生向けの映像授業の利用ができますが、海外の医学部ではこのようなサポートを得ることが難しく、日本の医大生のように効率よく学ぶ機会が保証されているとは限りません。日本よりも進級の条件が厳しいことに留意しておきましょう。

外国語で医学を学ぶのは大変?

外国語で医学を学ぶというのはかなり高いハードルです。医学を学ぶためには、高校で学ぶサイエンスの知識を英語で説明できることが必要です。今まで日本語で教育を受けてきた学生にとって、基本的な生物学や化学の用語を身につけるのはそれだけで時間がかかります。

特に生物の分野は専門用語が多く、日本語でも理解しなければいけない情報が数多くあるので、進学を検討する時には生物学・化学などのサイエンス分野をしっかりと英語で理解するようにしましょう。

医師として働く際の問題点

実際に医師として働く際にも、いくつかの問題に直面します。医療の制度自体が日本と海外では大きく違うので、社会医学に関連した内容については、働く国に合わせて学び直す必要があります。また、遺伝的な背景も異なってくるので発癌しやすいガンの割合や、発症しやすい病気がそもそも日本人と外国人との間で異なります。医師として働く時には日本と海外との違いを意識して学び直す必要があるのです。

卒業後には日本で働けるの?

医学部を卒業したら医師にはなれる!

海外の医学部を卒業した後に日本の医師国家試験に合格すると、出身大学に関わらず日本で医師として働くことができます。その後、初期臨床研修や後期研修を受けることで日本の大学を卒業した医師と同じように勤務できます。

医局に入局できれば日本でもキャリアアップが期待できる

日本で医師として働く場合、専門医を取得することが一般的ですが、そのためには大学の医局に入局するか、後期研修医を受け入れている大きな総合病院で勤務を続ける必要があります。海外の医学部出身者でも、このような研修を行っている機関で働くことができればキャリアアップも期待できます。医局に入局するのはハードルが高いかもしれませんが、大きな総合病院の後期研修を受けるのはそこまで高いハードルではありません。

海外医学部の体験研修や外国人留学生コースを持つ予備校YMS

海外の医学部を受験する際に、まず医師という職業を知り、海外の医学の実情や医学部という特殊な環境をよく理解する必要があります。海外の医学の実情を知るためにはYMSなどの予備校が行っている海外の医学部での研修や、YMSが発行している雑誌「lattice」を活用して医学部についての情報集めを行うことが大切です

また、日本の医学部への進学を検討している外国人学生向けの留学支援もYMSでは行っているので、情報交換の場としても有効活用できます。

まとめ

海外の医学部受験は情報を集めるのも難しく、実態を把握するのに時間がかかってしまうかもしれません。紹介したように、大きなメリットとデメリットの両方をしっかりと考え、より自分が描く将来の医師像に合った大学を慎重に選ぶことが大切です。

医学部に入るということは医師として働くことに直結します。医学部卒業後のことまで見据え、より自分に見合った大学受験をするように心がけましょう。
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