医学部コラム
医学部には学費免除がある?実施大学や学費減免の条件などを徹底解説!
基本情報
2021/12/24(金)
(最終更新日2024/04/12)
社会的ステータスが高く、高度な専門知識を持つのが医師です。将来は医師として活躍したい人や、子どもを医師にしたいと考える保護者は後を絶ちません。しかし、医学部の学費は高いという認識から「両親に負担をかけられない」「我が家では子どもをサポートするのが難しいのでは」と考える人も多くいます。
この記事では家計の負担を最小限にしつつ、医学部を卒業するための情報をまとめています。医学部の学費免除についても詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
目次
1.医学部の学費
2.学費免除の条件とは?
2-1.奨学金と特待生の違い
3.条件付きで学費が免除・減額される大学・組織
3-1.防衛医科大学校(省庁大学校)
3-2.産業医科大学(私立)
4.その地域で働くことを条件とした医学部地域枠推薦
5.国公立大学は経済的な理由と学力を基準に学費の減免措置
5-1.国公立なら実質学費免除?高等教育の無償化政策
6.成績優秀なら狙える?私立大学の特待生制度などの学費免除
6-1.順天堂大学
6-2.北里大学
7.学費免除の医学部は結構多い!
医学部の学費
医学部は専門職の教育機関であることから、その他の大学や学部・学科と比較すると「学費がとても高い」というイメージが浸透しています。しかし実際には、大学によって大きな差があるのが現状です。
特に国公立大学の医学部と私立大学の医学部では学費にかなり開きがあります。
- 国公立大学医学部の学費の目安:
入学金+授業料+その他費用を合わせた初年度の学費総額は150万円前後。6年間在籍した場合の総額は350万円程度。 - 私立大学医学部の学費の目安:
入学金+授業料+その他費用を合わせた初年度の学費総額は750万円前後。6年間在籍した場合の総額は2,000~3,000万円。
国公立大学の学費はどの大学も大体同程度ですが、私立大学は大学ごとにかなり違いがあります。
学費免除の条件とは?
医学部を目指すからには、親子共に相当の出費を予想していることでしょう。とはいえ、学費がネックとなり優秀な人材を迎えられないのは、医療の世界にとって大きな損失です。医学部によっては、必要条件を満たすことで実質的に学費が免除されるケースがあります。
指定された職務に就くことで学費が免除される大学、医師不足を解消するための特別枠を設けている大学など、大学によってさまざまな制度があるのでしっかりと把握しておきましょう。
奨学金と特待生の違い
奨学金と特待生の違いは、主にその目的です。
奨学金は本来経済的な問題で進学が難しい学生をサポートすることが目的です。特に医学部の場合は学費も高額なので進学のハードルが高いといえます。最もメジャーなものは、「日本学生支援機構(JASSO)」の奨学金制度です。その他、大学が独自に行っている奨学金制度、徳洲会グループなど民間による奨学金制度も存在します。
対して特待生制度は優秀な学生に入学してもらうことが目的なので、成績が特に関係してきます。後述しますが、主に私立大学の医学部には特待生制度があることが多く、ほとんどは入学試験時の成績を基に選考が行われています。
条件付きで学費が免除・減額される大学・組織
医学部への進学を検討するにあたり、学費の支払いに不安がある家庭は少なくありません。とはいえ、条件付きで医学部の学費が実質的に免除・減額される大学・組織も存在します。
ここでは条件を満たすことで学費の免除や減額が認められる3つの大学・組織を例に、各制度の詳細を解説したいと思います。設立された主旨も含めて把握しておきましょう。
防衛医科大学校(省庁大学校)
防衛医科大学校とは、1973年に防衛省によって設立された全寮制の組織です。こちらは大学とは異なり、入学すると特別職国家公務員となるので入学金及び授業料等はかかりません。また、在学中は毎月約11万円の給与が発生し、年2回(6月・12月)賞与も支払われます。
しかし入学金や授業料がかからないのは、将来の自衛隊における医官や幹部候補の育成などを目的としているからです。そのため卒業後9年間にわたり自衛官として勤務することを求められ、もし任官を拒否した場合は経費(学費相当分)を返還する必要があります。
※2021年7月現在
※内容は変更になる場合があるため必ず大学の公式サイトでご確認ください
産業医科大学(私立)
産業医科大学は、医学や看護学の振興・人材の養成を目的に1978年に設立された私立大学です。
公益財団法人「産業医学振興財団」が修学資金を貸与する制度を設けており、卒業後に貸与を受けた期間の1.5倍の期間産業医などの職務に就くことで、全額返還免除となる仕組みです。
これにより、6年間でかかる学費は1,130万円程度と私立大の中では経済的に嬉しい額となっています。
※2021年7月現在
※内容は変更になる場合があるため必ず大学の公式サイトでご確認ください
その地域で働くことを条件とした医学部地域枠推薦
「医学部地域枠推薦」とは全国各地の国公立医学部・私立医学部が設けている推薦入試枠で、その地域の医師不足を解消する目的があります。この制度を導入しているのは全国にある医学部の8割以上で、医学部の定員に占める地域枠の割合も増加傾向です。
推薦枠の受験においては、「大学と同じ県内の高校出身者であること」が条件となっている大学もありますが、現在では全国から出願できる大学も増えています。
地域枠推薦の場合も奨学金が貸与され、卒業後に規定の年数その地域で働くことで返済免除になるシステムがほとんどです。貸与金額は大学によりますが、中には授業料だけでなく生活費も貸与する大学もあります。
国公立大学は経済的な理由と学力を基準に学費の減免措置
国公立大学の多くは、家庭の事情によって学費の支払いが困難な学生にさまざまな対策をとっています。また、東日本大震災や熊本地震など直近に起こった地震や台風、豪雨の被災者を対象としている大学がほとんどです。
経済的な事情で進学を断念する前に、自分に合う制度を探してみることをおすすめします。
国公立なら実質学費免除?高等教育の無償化政策
2020年4月以降、文部科学省による高等教育無償化の制度がスタートしました。経済的な理由で子どもたちが進路を諦めることがないよう、低所得者世帯に向けて設けられた制度であり、また少子化による人材不足の解消も目的としています。
高等教育無償化の対象となるのは、「住民税非課税世帯」と「それに準ずる世帯」です。免除額には上限がありますが、私立大学よりも学費が安価な国公立大学においては、実質的に「学費ゼロ」で進学することも可能です。
成績優秀なら狙える?私立大学の特待生制度などの学費免除
私立大学では、特待生などの成績優秀者に対して学費を免除する制度を設けていることがあります。ここでは、順天堂大学・北里大学・国際医療福祉大学の3大学を例に、特待生制度の概要や学費が免除される条件を解説していきます。成績などの条件は厳しいかもしれませんが、大学選びの選択肢が広がることでしょう。
順天堂大学
順天堂大学医学部には本拠地のある関東地方はもちろん、全国から入学希望者が殺到します。成績に基づく学費減免・免除制度は「A特待生」と「B特待生」があり、いずれも医学部の入学試験で、学力や人柄が優秀だと認められた人に適用されます。
- A特待生:2年間の授業料・施設設備費・教育充実費を免除(計448万円)。6年間で最大1,880万円を減免。
- B特待生:初年度のみ授業料・施設設備費を免除(計90万円)。
その他、各県の「医師育成奨学金制度」など、条件によって返還が免除される貸付制度も充実しています。
※2021年7月現在
※免除額は変更になる場合があるため必ず大学の公式サイトでご確認ください
北里大学
首都圏の中でも人気の高い北里大学医学部では、入学時の成績優秀者に対して2種類の特待生制度を設けています。
- 第1種:入学金・授業料・施設設備費・教育充実費を免除。全学費(約4,000万円)を免除。
- 第2種:入学金・一部授業料を免除(6年間で最大約2,000万円)。
また「在学時特待生」として、1年生から5年生の各10人程度の成績上位者に対し、翌年度の授業料のうち200万円の納入を免除する制度もあります。
※2021年7月現在
※免除額は変更になる場合があるため必ず大学の公式サイトでご確認ください
学費免除の医学部は結構多い!
将来有望な人材を育てることを目的に、多くの大学の医学部が学費の減免制度を導入しています。学費が高いイメージのある私立大学でも、学費の負担を減らすチャンスは多数あります。
国公立の医学部は学費の安さや定員数の多さが魅力的ですが、通いやすさやカリキュラムを考えて私立大学に興味を持つこともあるでしょう。学費の問題で選択肢から私立大学を外してしまう前に、学費免除や奨学金の制度を調べることをおすすめします。
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