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獨協医科大学の傾向分析2020

2020年度一般入試問題分析

英語

全体の問題構成は2019年度と全く同じ。以前は、明らかに過飽和である語数の長文が出題されていたが、最近は常識的な語数になった。長文の内容は、これまでの都市論や社会科学といった医学部受験生にとって扱いにくいものから、比較的取り組みやすいものへとシフトしている。それでも制限時間内に全てを解ききることが可能な出題とは言いがたい。速読力・高い処理力が要求されるのはこれまで通り。時間配分への意識は非常に大切で、その中で正解できる問題を迅速かつ確実に解いていく必要がある。

大問 形式 難易度 内容
1A マーク ★★☆☆

長文総合:空所補充、内容一致

他人の考えを知ることの重要性に関する英文。内容的にも取り組みやすいが、哲学や人類学といった用語、内容に慣れていない受験生は、逆に扱いにくいと感じたかもしれない。

1B マーク ★★☆☆

長文総合:空所補充、内容説明、内容一致

動物における公平さの概念に関する英文。医学部入試で出題される内容としては、めずらしくない。
文中で述べられている実験の目的・内容・結果を丁寧に押さえることにより、正解にたどり着ける。

2A マーク ★★☆☆

会話:空所補充、内容一致

コマーシャルにおける音楽の効果に関する会話文。流れを押さえて、テキパキと解きたい。

2B マーク ★★★☆

文整序

話の流れが掴めてしまうとあっさり決まるが、代名詞、冠詞に着目して、4つの選択肢から合わないものを消去する戦略も有効。あまり深入りするのは禁物。

2C マーク ★★★☆

長文その他:適文補充

睡眠の免疫に与える影響に関する英文。6つの空所に対して、8つの選択肢の中から、適する英文を選ぶ。
じっくり時間をかければ、正解率を上げることができるが、簡単な問題ではない。最後にまわすべき。

3 マーク ★★☆☆

語句整序

語句整序10題。対応する和文があり、標準的なものが多い。

4 マーク ★★☆☆

文法・語法

英文完成10題。文法・熟語・構文把握が問われる。対応する和文があり、標準的なものが多い。

数学

数年前までは問題番号ごとに出題分野がほぼ決まっていたが、最近はその規則性は崩れつつある。形式上の変更は特にない。頻出分野は数Ⅲの微積分、場合の数と確率、幾何的問題、数列など。その他、数列、整数、2次曲線もよく出る。受験生が手薄になりそうなやや高度な題材もよく出ていたが近年は目立たなくなった。分量は非常に多く、とにかく「解ける」と思った問題から優先的に解くことが重要である。頻出の分野については、少なくとも典型題をスピーディに解く訓練をしておくことが重要である。

大問 形式 難易度 内容
1 マーク ★★☆☆

小問集合:極座標による表示、双曲線

(1) 長軸・短軸が座標軸に対して斜めである楕円(陰関数表示)に対して、極座標に変換することで原点からの距離の最大・最小値を求める問題。
極座標の扱いに慣れていないと戸惑ったかも知れない。

(2) 双曲線と直線の位置関係に関する問題。解と係数の関係を利用する。これは完答したい。

2 マーク ★★☆☆

指数関数・対数関数:指数不等式、対数不等式、領域と最大・最小

指数不等式、対数不等式を解いて点 (x, y) の存在範囲を求めた上で、最後に(1次式)=k とおきその最大値・最小値を求める問題。難しくはないが、計算量が多い。

3 マーク ★★★☆

確率:円順列

円順列に関する確率。漏れなくパターンを調べ上げる必要があり、慎重さを要する。特に(2)は誘導もなく、制限時間内に正解を導くのはかなり困難だろう。

4 マーク ★★★☆

平面上のベクトル:外接円・内接円、図形への応用

三角形の外心に関する平面ベクトルの問題。計算が大変な上に幾何的な考察力も必要で、制限時間内に完答するのは難しいだろう。

5 マーク ★★★☆

積分法:回転体の体積、無限等比級数の和、面積の応用

三角関数に絶対値やガウス記号を絡めた関数について、体積、面積、面積の無限和を求める問題。関数や領域を把握するのが難しく、完答は困難だろう。
ただ、(2)は単なる積分計算であり本問の設定と関係なく求められるので、ここは正解しておきたい。

化学

2020年度は小問集合10題+理論+無機+有機+有機という大問構成であった。(例年は理論2題、有機1題) 2科目100分であり時間配分が難しい。計算中心で難易度も上がりやすい理論分野の大問は後回しにするべきであろう。有機分野の大問も分かるところを手早く答えて、難問は後回しにすべきである。獨協医科大学の正誤問題の傾向として、判断の悩む選択肢が並ぶ中に1つだけ明らかな誤りを含むなど答えとなる選択肢の判断が付けやすいことが多いため、まずは全ての選択肢に目を通すようにすること。

大問 形式 難易度 内容
1 マーク ★★☆☆

小問集合:精製法、電気分解、周期表、ル・シャトリエの原理、無機各論、油脂の異性体、セルロース、SBR、実験手順

様々な分野にわたる知識問題で、マーク数は計10個。どれも基本的な問題である。選択肢から判断できる問題もあるので解き方を工夫すること。

2 マーク ★★★☆

溶液とその性質・酸塩基と中和:凝固点降下、溶解度、二段階滴定

炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムの混合物に関して二段階滴定や凝固点降下を計算させる出題である。計算が多いので後回しにするのがよいだろう。

3 マーク ★★☆☆

無機物質の性質と利用:ハロゲンの性質

ハロゲンに関する問題。知識問題は短時間で片づけることが出来るので、この大問を優先して解きたい。

4 マーク ★★☆☆

芳香族化合物:構造決定問題

芳香族化合物(C8H8O3)の構造推定問題は標準的であるが、マンデル酸の光学分割はよく考えないと解けない問題になっている。

5 マーク ★★☆☆

天然高分子化合物:生命体を構成する物質

DNA、RNA の塩基対に関する問題であるが、脱アミノ化による遺伝子変異の影響に関する問題はなじみがなく、てこずるであろう。

生物

各大問の内容はオーソドックスで取り組みやすいが、時間に対する問題量が多いため全体として難易度は標準レベルである。腎臓の計算やDNAの塩基・選択的スプライシングによって生じるmRNAの種類数の計算などの計算問題も含まれるが、標準的な問題なので確実に得点したい。空欄補充問題も一題一題の文章は長くはないが、足し合わせるとそれなりの分量になるので文章を読むスピードも要求される。対策としては、どの分野でも標準的な問題や典型的な実験考察問題を手際よく解けるようにしておきたい。

大問 形式 難易度 内容
1 マーク ★★★☆

生物の体内環境の維持

肝臓のはたらき、腎臓のはたらきについての出題。計算問題あり。

2 マーク ★★☆☆

生命現象と物質

酵素とはたらき、酵素活性の阻害と調節についての出題。

3 マーク ★★☆☆

生命現象と物質

遺伝子発現の仕組み、DNAの複製についての出題。計算問題あり。

4 マーク ★★☆☆

生殖と発生

植物の生殖細胞形成と受精、DNAと突然変異についての出題。

5 マーク ★★☆☆

生態と環境

生命表と生存曲線、個体間の相互作用についての出題。計算問題あり。

物理

昨年度に比べてわずかに難化。試験時間に対して問題数が多い。他の大学であれば小問を分けて誘導を行うような問題で、いきなり結論だけを問う問題が複数ある。設定は受験生に見慣れたものであっても、時間内に解ききるのは難しい。スピードのない受験生だと問題の内容、作業の筋道が見えるだけに深追いしてしまって、化学の時間を削ってしまいかねない。よっぽど物理が得意な受験生でなければ、完答を目指すよりも確実に合格に必要な点数を時間内で拾っていくことを意識したほうがよい。

大問 形式 難易度 内容
1 マーク ★☆☆☆

小問集合

設問数4。ケプラーの法則、ドップラー効果、RCの直流回路、α崩壊・β崩壊の回数。

2 マーク ★★☆☆

熱:気体の状態変化、剛体のつり合い

設問数5。気体の状態変化、力のモーメントのつりあい(輪軸の原理)。

3 マーク ★★☆☆

原子:物質波と電子線回折

設問数4。内部電位による屈折を考慮した電子線回折。

4 マーク ★★★☆

電磁気:電磁誘導、電気回路

設問数4。電磁誘導。問3は他の大学であれば複数の設問に分割するであろう問題。

5 マーク ★★★☆

力学:運動量の保存、円運動

設問数5。前半は衝突、相対運動。後半は質量を持つ円軌道の非等速円運動。v-tグラフを選択する問題あり。

受験者数および合格者数推移

  受験者数 一次合格者数 二次正規合格者数 合格最低得点/満点 得点率
2020年度 1,824名 381名 103名 非公表 -
2019年度 1,913名 391名 148名 非公表 -
2018年度 1,602名 381名 150名 非公表 -
2017年度 1,378名 304名 103名 非公表 -

医師国家試験合格率推移

  全体 新卒
2020年度 88.5% 89.1%
2019年度 84.1% 86.8%
2018年度 83.6% 83.6%
2017年度 78.6% 82.9%