岩手医科大学の傾向分析2020
2020年度一般入試問題分析
英語
大問1の選択肢が各設問1つずつ減ったことと、第7問で文挿入が無くなったこと以外、大問7題の構成とその形式は2019年度とほぼ同様。大問1は伝統的な長文空所補充形式だが、医学系の文章に変化して以降、以前より取り組みやすくなっている。それ以外の大問もセンター試験の形式を踏襲しているが、問題が洗練され取り組みやすくなっている。全体に時間的な余裕はないので、現場での思考を要する大問1、4、6に必要以上に時間をかけずに、全問を解ききることができるように、解く順序、時間配分に注意したい。
大問 | 形式 | 難易度 | 内容 |
---|---|---|---|
1 | マーク | ★★★☆ |
長文総合:適語補充 |
円形脱毛症を引き起こす遺伝子に関する英文。文章中の空所5個に対して7個の選択肢から選ぶ形式の問題が2セット。 |
|||
2 | マーク | ★☆☆☆ |
発音・アクセント:語彙力 |
発音3問とアクセント3問の計6問。同じ発音・アクセントを選ぶ形式の問題。 |
|||
3 | マーク | ★★☆☆ |
適語補充:文法・語法・熟語 |
5問。幅広い分野から出題されている。 |
|||
4 | マーク | ★★★☆ |
会話:適文補充 |
会話文中の空所3個に対して9個の選択肢から選ぶ形式の問題。状況読み取りは平易だが選択肢にややマイナーな表現が含まれている。代名詞や指示語などを丁寧に読み取ると同時に現場での思考も必要。 |
|||
5 | マーク | ★★☆☆ |
短文:要旨・要約 |
4問。文章中から不要な1文を取り除いてまとまりの良い文を作る昨年度までのセンター試験大問3Aと同じ形式の問題。 |
|||
6 | マーク | ★★★☆ |
語句整序:和文なし |
3問。7語句の整序で1個おきに3個の空所に入る語句を選ばせる形式の問題。動詞の語法を中心に組み立てる問題が多く、さらに内容も考えなければならない。 |
|||
7 | マーク | ★★☆☆ |
長文総合:同義語,内容一致,段落挿入 |
3問。7語句の整序で1個おきに3個の空所に入る語句を選ばせる形式の問題。動詞の語法を中心に組み立てる問題が多く、さらに内容も考えなければならない。 |
数学
データの分析が出題されたのが目新しい。穴になりやすい分野なので大きく差がついたと思われる。全体に分量が多く制限時間内に全問に手を付けるのが困難なのは例年通りだが、総量はやや減少か。大問2のように取り組みやすい問題が含まれておりボーダーは若干上がると思われる。数Ⅲの微積分の計算量が多いのは相変わらず。今年度は双曲線がら
みの求積問題が出題されているがやはり完答は難しい。出題範囲は様々だが数Ⅲの微積分は頻出で、計算練習を積んでおくことは必須。やや高度な積分計算にも触れておきたい。
大問 | 形式 | 難易度 | 内容 |
---|---|---|---|
1 | マーク | ★★☆☆ |
データの分析:データの散らばり、データの相関 |
15人についての2種類のデータについて、諸量を求める問題。分散や相関係数の処理に手慣れているかどうかで差がつく。 |
|||
2 | マーク | ★★☆☆ |
図形と方程式:対数不等式、領域と最大・最小、常用対数・桁数・小数 |
対数で表された方程式を置き換えにより円に帰着させ、その条件下において、与えられた式の最大値、最小値を求める問題。最後は桁数や整数問題にまでテーマが広がる。 |
|||
3 | マーク | ★★★☆ |
平面上の曲線:軌跡と方程式、双曲線、面積の応用 |
放物線の2接線のなす角が一定となるときの、2接線の交点の軌跡についての問題。軌跡は双曲線となる。最後の面積に至るまで、非常に計算量が多い。 |
化学
前年度と比較して総マーク数が37→25と減少した。計算問題の比重は低いまま、精度の高い知識と思考力が求められる出題であった。特に3つの文章の正誤や3箇所の穴埋めの組み合わせを問う出題はここ数年必ず出題される形式であり、知らない知識が一つあるだけで正答できなくなるので、はまりこんではいけない。どの分野の出題においてもこの形式の出題があり、よほど知識の精度が高い受験生でなければ高得点は望めないので、時間を掛けずに取るべきところをミスなく取り切る要領の良さが求められる。
大問 | 形式 | 難易度 | 内容 |
---|---|---|---|
1 | マーク | ★★★☆ |
小問集合:同位体、化学平衡、状態図、中和滴定、電気分解、熱化学、ルシャトリエの原理 |
理論分野に関しての小問集合で、マーク数は計7個。計算問題3問のうち2問は標準レベルの典型題だが、残る1問は難問でほとんどの受験生は方針すら立てられなかったのではないか。知識問題に関しては3つの文章の正誤や3箇所の穴埋めの組み合わせを問う出題ばかりだった。正答するには知識の精度に加えて思考力が要求された。 |
|||
2 | マーク | ★★☆☆ |
小問集合:リン、ケイ素、鉛、鉄、気体の製法と性質、遷移元素 |
無機化学に関しての小問集合で、マーク数は8個。うち6個は3つの文章の正誤や複数箇所の穴埋めの組み合わせを問う出題で、求められている知識は標準〜やや難レベルのものであっても得点しづらい設問となっていた。 |
|||
3 | マーク | ★★☆☆ |
小問集合:元素分析、異性体、脂肪族化合物、芳香族化合物、糖類、タンパク質 |
有機分野に関しての小問集合で、マーク数は計10個、知識問題および考察問題が含まれた。知識問題ではインスリンの一次構造を初めて決定した科学者の名前が出題されていたり、不飽和度を考慮して選択肢を絞らなければならない馴染みの薄い手法が出題されていたりと、得点しづらい。 |
物理
16年度以前に比べると問題の難易度は上昇しているが、マーク式に移行してからは、難易度も安定し、受験生にとって取り組みやすい出題が多くなった。作業量は増加傾向にあるので、ミスによる時間のロスを避けたい。20年度は久々に岩手らしい回路の出題があった。典型問題を最後まで解き切る練習をしておこう。高得点を狙うためには、作業ミスによる時間ロスが致命傷となりかねない。過去問演習を通じて自分がミスなく進むことのできるペースを見つけておきたい。
大問 | 形式 | 難易度 | 内容 |
---|---|---|---|
1 | マーク | ★★☆☆ |
力学:万有引力、惑星の運動 |
問題数8。万有引力・ケプラーの法則の問題。最後の問題は受験生に見慣れぬ設定だが、直前に周期を問うており、現象をイメージできていれば回答できる。 |
|||
2 | マーク | ★★☆☆ |
電磁気:電気回路、コンデンサーの接続 |
問題数9。すべて具体的な数値が設定されている。 |
|||
3 | マーク | ★★☆☆ |
波動:音のドップラー効果 |
問題数8。ドップラー効果。音波の到達時刻の問題。速度に斜め成分のあるドップラー効果の問題は、難易度、分量の調整のためか、いろいろ設問を作成できそうな設定に対して、基礎的な内容だけを問うている。 |
生物
内容は標準的であるが「活動電流によって生じる周辺部の膜電位の変化」や「ヒトの発生にともなうグロビンの発現変化」など高校生物では習わないようなテーマやグラフなどが散見され、内容以上に難しく感じてしまう受験生も多かったかもしれない。それらを除くと、基本〜標準レベルの問題が中心なので、それらで確実に得点したい。問題文が長くグラフの意味を正確に理解するのに時間を要するため、余裕はないと思われる。対策として、正確な知識はもちろん、実験内容を理解する練習をしておきたい。
大問 | 形式 | 難易度 | 内容 |
---|---|---|---|
1 | マーク | ★★☆☆ |
生物の環境応答 |
ニューロンの興奮、興奮の伝導についての出題。計算問題あり。 |
|||
2 | マーク | ★★☆☆ |
生物の体内環境の維持 |
酸素の運搬についての出題。計算問題あり。 |
|||
3 | マーク | ★★☆☆ |
生殖と発生 |
発生と遺伝子の関係についての出題。 |
|||
4 | マーク | ★★☆☆ |
生物と遺伝子 |
体細胞分裂についての出題。計算問題あり。 |
|||
4 | マーク | ★★☆☆ |
生命現象と物質 |
遺伝子発現の仕組み、バイオテクノロジーについての出題。計算問題あり。 |
受験者数および合格者数推移
受験者数 | 一次合格者数 | 二次正規合格者数 | 合格最低得点/満点 | 得点率 | |
---|---|---|---|---|---|
2020年度 | 2,317名 | 546名 | 140名 | 188/400 | 47% |
2019年度 | 2,834名 | 551名 | 249名 | 非公表 | - |
2018年度 | 3,253名 | 656名 | 186名 | 非公表 | - |
2017年度 | 3,496名 | 645名 | 187名 | 非公表 | - |
医師国家試験合格率推移
全体 | 新卒 | |
---|---|---|
2020年度 | 91.6% | 95.5% |
2019年度 | 74.1% | 81.2% |
2018年度 | 77.3% | 81.7% |
2017年度 | 76.8% | 82.2% |