医学部受験一筋医学部進学予備校メビオ

久留米大学医学部の傾向分析2020

2020年度一般入試問題分析

英語

試験時間90分。正文・誤文選択や和文英訳・英文和訳がなくなり、代わりに不要文削除・要約英訳・要約和訳が追加された。この追加に戸惑った受験生は多かったと思われるが、医師の患者へ情報伝達するための要約力が求められているのだろう。実際に書いてみないと「何を書くべきか・書かざるべきか」が見えてこないので、他大学の問題でもよいから要約問題をたくさんこなし、文章推敲の訓練を積んでおこう。語数・字数制限がある場合、「1行で大体〇〇語・字」という感覚を自分で把握できるようになっておくとよい。

大問 形式 難易度 内容
1

マーク

★☆☆☆

【適語補充】語彙力、文法・語法

英文のみが与えられ、4つの単語の中から文意に合うものを選択する問題。2019年度より10→12問と2問増え、2020年度も問題数は維持となった。

2 マーク ★★☆☆

【短文】要旨・要約

計2問。2020年度推薦入試より追加された、まとまりの良い文を作るために不要な1文を取り除く、センター試験大問3Aと同じ形式の問題。

3 マーク ★★☆☆

【長文その他】語句整序

お金の獲得・損失に関わる状況に直面した際の選択実験に関する英文。2019年度より問題数が3→4問と1問増え、大問1同様に問題数は維持となった。

4 マーク ★☆☆☆

【長文総合】内容一致

機械学習による脳震盪からの回復期間の予測に関する英文。適語補充等はなく、全て内容一致の問題が6問。本文の具体的な内容としっかりと照合して吟味することが重要である。

5 マーク ★★☆☆

【長文総合】内容一致、適語補充

代謝酵素の立体構造の解明に関する英文。内容や文構造は特に難解なものではないが、医学用語、生物用語が多用されており、医学部英単語への対策が必要である。

6 記述 ★★★☆

【短文】要約英訳、要約和訳

本年度からの新形式。課題文自体は取り組みやすいが、英訳は20語程度、和訳は50字程度に収めることが必須。設定字数・語数内に纏めるのが難しく要約力を問われる。

数学

試験時間90分。昨年に引き続き易しく、その上、問題量はやや減った。空所補充形式がマーク形式に変更された(推薦入試でもマーク形式に変更)。どの分野からもまんべんなく出題されている印象だが、特に図形と方程式、数列、数Ⅲの微積分、確率の分野からは頻出。データの分析からの出題も目立つようになってきた(2020年前期は無し)。基本題の取りこぼしは命取りである。満遍なく基礎を身に付けておきたい。問題量に比して制限時間は割と長めなので、解けてしまっても見直しをしてミスなく解答を仕上げることを習慣づけよう。

大問 形式 難易度 内容
1 マーク ★★☆☆

【二次関数】二次方程式・二次不等式の応用

文字定数を含む2つの2次方程式についての問題。いずれも基本的である。

2 マーク ★★★☆

【場合の数】数え上げの原則

(1)は基本的だが、(2)(3)は丁寧に数え上げることができるかが問われる。差がつくだろう。

3 答のみ ★☆☆☆

【図形と方程式】領域と最大・最小

不等式で表された領域において2次式の最小値を求める、典型的な問題である。円が領域に接する条件を求める際に点と直線の距離を利用することになる。

4 答のみ ★☆☆☆

【数列】3項間の漸化式

(1)は3項間漸化式の問題。(2)は等比数列の和の公式を利用すればよい。いずれも基本的である。

5 マーク ★☆☆☆

【空間のベクトル】空間ベクトルの演算・成分

空間ベクトルの内積と三角形の面積に関する問題。(2)の内積計算は効率よく計算しなければならない。また、面積を求めるときには線分の比を利用するとよい。いずれも典型的な問題で落とせない。

6 マーク ★☆☆☆

【微分法】方程式の解の個数

対数関数を普通に微分して増減表、グラフを考えるだけである。x → +0 のときの極限の値を書いてくれていないのがやや不親切だが、見当はつくだろう。

化学

理科2科目120分。どの設問も易〜標準レベルで高得点勝負になったことが予想される。特に大問1、2、4は典型題ばかりが並んだ。知識量、計算力、論理的思考力と様々な点が試されるが、いずれも高度な内容に取り組む力よりも基礎的な力の定着度合いの確認という意味合いが大きいだろう。対策として、教科書レベルの事項をいかに完璧にマスターできているかという点にこだわって学習したい。私立医学部の入試問題に度々取り上げられる内容からの出題も少なくないので、大学問わず私立医学部の過去問に幅広く取り組んでおくことは有効だろう。

大問 形式 難易度 内容
1 記述 ★☆☆☆

【小問集合】理論・無機・有機

理論、無機、有機から5題出題。全て基本的な問題で必ず得点したい。(4) は前問までと同様に選択肢が与えられていたにもかかわらず、答は「化学式で答えよ」となっていたことに注意したい。

2 記述 ★★☆☆

【電気分解】

電気分解の問題。並列と直列における電気量の関係が理解できていれば難しくない。計算も割り切れる数値が与えられており安心できる。しいて気をつけるべき点を挙げるなら「B から気体が出るまでにA から発生した気体の量」というところぐらいである。論述あり。

3 記述 ★☆☆☆

【2族元素の単体と化合物】

2族元素の問題。空欄補充などの知識問題が中心で、問われている知識のほとんどは教科書に記載されている。アルカリ土類金属単体がアルカリ金属単体より融点が高く密度が大きい理由については教科書に載っていないが、文章を読めば答えられる。逆滴定による二酸化炭素の定量問題も標準的なものであったが、溶液50 mL のうち20 mL だけ取って滴定している点だけは注意してほしい。論述あり。

4 記述 ★☆☆☆

【元素分析、C4H10O の構造推定】

分子式の決定問題。スタンダードな問題だった。物質、および構造式なのか名称なのかを間違えないように、落ち着いて完答を目指したい設問であった。論述あり。

生物

理科2科目120分。説明会でのアナウンスどおり、例年出題されていた数学的な素養を問う問題は姿を消した。また、これまでは80〜100字くらいの論述問題が1・2問出題されていたのが、20字前後の問題5問と、やや傾向が変化したと言えるだろう。全体的に基礎的な知識を問う設問ばかりなので、ミス以外での点差はつきにくい。目標は80%だろう。

大問 形式 難易度 内容
1 記述 ★☆☆☆

【生物の体内環境の維持】

免疫、免疫の応用・疾患についての出題。論述問題の解答を制限字数の中に収めるのにやや苦労するものの、内容はごく基本的なものばかりなのでしっかり得点しておきたい。

2 記述 ★☆☆☆

【生物の体内環境の維持】

ホルモンと内分泌腺、自律神経とホルモンの協調についての出題。論述問題の解答を制限字数の中に収めるのにやや苦労するものの、内容はごく基本的なものばかりなのでしっかり得点しておきたい。

3 記述 ★★☆☆

【生命現象と物質】

物質輸送とタンパク質についての出題。高校生物の知識をこえた設問も見られるものの、その他の設問は標準的である。

4 記述 ★★☆☆

【生物の環境応答】

中枢神経系とそのはたらきについての出題。高校生物の知識をこえた設問も見られるものの、その他の設問は標準的である。

物理

理科2科目120分。難易度は昨年度並。標準的な出題が多く、ほとんどの問題をミスなく正答することが求められる。差がつくとすれば各大問の終盤だろう。久留米大学は問題用紙の最初に「解答欄に[ ]があるところはその単位をSI国際単位系による簡潔な形で記入せよ」と但し書きが毎年ある。各大問の問題文には単位に関する記述がないことに注意。受験生はこれを知っている必要がある。国立大学の2次試験によく見られる問題形式なので、国公立志望者には向いている。標準的な出題なので、過去問は1〜2年分も見れば十分。

大問 形式 難易度 内容
1 記述 ★☆☆☆

【力学】剛体のつり合い

I (4)やIIの計算にはやや注意を要するが、基本的な知識のみで解ける。落ち着いて完答したい。

2 記述 ★★☆☆

【波動】薄膜の干渉

薄膜干渉の標準的な問題。「θを用いずに答えよ。」などの指定に注意する必要がある。II(7)は正しく状況を判断して立式をすること。

3 記述 ★★☆☆

【電磁気】コンデンサー

直流回路のコンデンサに関する標準的な問題。極板間隔の変化や、スイッチ切り替えによる電場や静電エネルギーの変化などいずれも頻出の内容なので完答したい。

受験者数および合格者数推移

  受験者数 一次合格者数 二次正規合格者数 合格最低得点/満点 得点率
2020年度 1,823名 322名 120名 395/500 79%
2019年度 1,568名 394名 170名 334/450 74.2%
2018年度 1,871名 394名 168名 280/450 62.2%
2017年度 1,811名 405名 174名 326/450 72.4%

医師国家試験合格率推移

  全体 新卒
2020年度 84.4% 87.8%
2019年度 87.5% 88.8%
2018年度 83.3% 82.7%
2017年度 80.3% 82.3%

解答速報 公開直後にメールでお知らせ!

解答速報 公開直後にメールでお知らせ!