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埼玉医科大学の傾向分析2020

2020年度一般入試問題分析

英語

例年難易度の不安定な傾向を示し、途中に登場するやや難解な問題で立ち止まると時間的に苦しくなるパターンが続いてきたが、今年度入試問題は押し並べて平易であり、あまり時間的圧迫を受けないため、この傾向が継続するなら高得点の闘いになることが予想される。問題レベルは平易なものの、問題量はやや多めなため80分間集中を切らさないことが肝要。日頃からある程度の分量の問題を演習することで量で攻めてくる大学の問題に対する耐性を身につけたい。

大問 形式 難易度 内容
1A マーク ★☆☆☆

文法・語法:文法・語法、語彙力

イディオム・分詞・時制・5文型・分詞構文・動詞語法からなる短文小問7問。押し並べて平易な問題。

1B マーク ★☆☆☆

語句整序

イディオム・分詞・時制・5文型・分詞構文・動詞語法からなる短文小問7問。押し並べて平易な問題。

2 マーク ★☆☆☆

長文総合

OECD加盟国内の睡眠時間に関する報告に続くBrendaとJohnの二者対話文。
問3の選択肢がやや曖昧であること、問7の正解にはやや細かい内容の読み取りが必要なことを除けば全体的に平易。

3 マーク ★★☆☆

長文総合:適語補充、内容一致

功利主義に関するベンサムとミルの思想についてで、内容が追えれば正答を導くことは難しくない。

4A マーク ★☆☆☆

長文総合

楕円と円に関する長文で、文意が読めれば平易。問7は三平方の定理を用いて正答を導く。

4B マーク ★☆☆☆

長文総合:適語補充、内容一致

光の屈折に関する文で、内容は平易。

5 マーク ★☆☆☆

長文総合:適語補充、内容一致

偶然をきっかけに予期せぬものを発見するセレンディピティに関する英文。こちらも文意を追えれば難しくない。

6 マーク ★☆☆☆

長文総合:適語補充、内容一致

医師と患者の良好な関係の構築に関する英文。文章は最も長くなるが、内容自体は平易。

数学

2019年度に比べて難易度に大きな差はみられない。問題量も例年並みで変化がなく、ここ数年安定している。微積分、図形が頻出であり、第 4 問は場合の数または確率である(ただし2020年度後期は数Ⅲの出題であった)。難易度自体は特別高いわけではないので、これらの分野については教科書章末問題レベルまで完璧に仕上げたい。

大問 形式 難易度 内容
1 マーク ★★☆☆

小問集合:対数方程式、結び・交わり・包含関係、面積の応用

問1は2文字を含む対数の方程式。問2は要素の個数のとり得る値の範囲。問3は等脚台形の面積の最大値の出題であった。
(2)はやりなれていないとすぐにはできないだろう。
(3)は角度を変数と捉えられれば計算が楽になる(長さを変数にとると、計算が少し大変になる)。

2 マーク ★★☆☆

積分法:回転体の体積、二次関数の最大・最小

最後の問3の回転体の体積は基本的な考え方に基づくだけだが、時間内に計算するのが大変であろう。問1問2は落とせない。

3 マーク ★☆☆☆

空間のベクトル:空間ベクトルの演算・成分、二次関数の最大・最小

正四面体の頂点などを結んで作られる三角形の面積の最小値に関する問題。計算がやや煩雑だが、各辺の長さや内積を求めていくだけなので、完答が必須である。

4 マーク ★★☆☆

確率:確率の基礎計算、条件付き確率

トランプの数字の和に関する確率の問題。さいころでもよくある設定の問題で、必ず完答したい。

化学

昨年度前期試験に比べると理論分野の計算問題を中心に易化し、マーク数も43から33へと減少した。取り組みやすくなったとはいえ、理論分野の比重が大きいのが近年の特徴でもあり、大問2のような頻出問題ではあるが、問題文をよく読まないと間違えやすい出題など、読解力・思考力があるかどうかがわかるような設問が随所に配置されているためあなどれない。そのため、典型問題の解法に熟知しておくのはもちろんであるが、試験時間が短い分、時間配分や問題の取捨選択にも気を配れるようにしておきたい。

大問 形式 難易度 内容
1 マーク ★☆☆☆

非金属元素:ハロゲン、オキソ酸、逆滴定

非金属元素に関する出題である。記号がア〜ク、A〜Jまであるため対応を見誤らないようにする必要はあるが、内容は平易である。完答を目指したい。

2 マーク ★★☆☆

化学平衡:ルシャトリエの原理、濃度平衡定数と圧平衡定数

化学平衡に関する出題。設問に入る前に反応A〜Eの反応熱をすべて計算で求めないといけないのが手間であった。
また、問1では縦軸が「反応物の残存量」になっていたことに気づいたかどうかで大きく点差が開く。

3 マーク ★★☆☆

溶液の性質・糖類・酸化還元反応:浸透圧、二糖類、アスコルビン酸

浸透圧および糖類、アスコルビン酸に関する出題である。アスコルビン酸を用いた酸化還元滴定は一度は解いたことがあるだろう。
問2の浸透圧の計算がやや難であるが、全体としては標準的である。

生物

昨年度は大問5題の出題であったが今年度は過去3年間と同様に6題の出題に戻った。ただしマーク数は昨年度54であったのに対し今年度は45と少なめであるが問題の分量は例年通り。計算問題が出題されおり、手際よく解答していく必要があった。知識問題は基礎から標準的なものが多いので、そこでは手早く確実に得点しておきたい。グラフを解析する問題では、選択肢の文章などから比較的判断し易いものが多いので焦らずに正解したい。典型的な考察問題や計算問題は手際よく解けるようにしておく必要がある。

大問 形式 難易度 内容
1 マーク ★★☆☆

生物の環境応答

神経細胞(ニューロン)、筋肉と筋収縮についての出題。

2 マーク ★☆☆☆

生物の進化と系統

進化の仕組み、生物進化の歴史についての出題。

3 マーク ★★☆☆

生命現象と物質

伴性遺伝と限性遺伝、3…n遺伝子雑種についての出題。計算問題あり。

4 マーク ★★☆☆

生命現象と物質

遺伝子発現の仕組み、DNAと突然変異についての出題。計算問題あり。

5 マーク ★★☆☆

生命現象と物質

酵素とはたらき、酵素活性の阻害と調節についての出題。

6 マーク ★★☆☆

生物の多様性と生態系

物質循環とエネルギーの流れ、窒素同化についての出題。計算問題あり。

物理

設問は30問前後。時間に対する設問数が多いため時間内での完答は難しい。大問3題のうち2題は「力学」と「電磁気」。残る1題は2019年度後期の例外を除けば、直近6年間の前・後期で「波動」と「熱」から互い違いに出題されている。その規則性が続くとすれば21年度の前期では「熱」から、後期では「波」から出題される。難関大学で出題されることの多い「やや難」レベルの大問が毎年1題は含まれる。それらの問題では解ける設問だけを処理し、その他の「標準」レベルの大問に時間をかけるなどの工夫が必要。

大問 形式 難易度 内容
1 マーク ★★☆☆

力学:斜方投射、運動量の保存

分裂の絡んだ放物運動についての出題。

2 マーク ★★★☆

電磁気:電場と電気力線、コンデンサーの接続

多重極板の電荷分布についての出題。

3 マーク ★★★☆

波動:光の回折・回折格子、光の反射・屈折・分散・偏光

反射型回折格子についての出題。

受験者数および合格者数推移

  受験者数 一次合格者数 二次正規合格者数 合格最低得点/満点 得点率
2020年度 1,873名 非公表 64名 320/500 64.0%
2019年度 1,484名 非公表 61名 286/500 57.2%
2018年度 1,951名 366名 72名 306/500 61.2%
2017年度 2,082名 375名 68名 300/500 60.0%

医師国家試験合格率推移

  全体 新卒
2020年度 95.9% 99.2%
2019年度 84.9% 85.2%
2018年度 87.2% 87.6%
2017年度 79.7% 79.8%