帝京大学医学部の傾向分析2020
2020年度一般入試問題分析
英語
試験時間60分。長文はやや難度が高いものが含まれる。2017年度に出題形式に大幅変更があり、それまでの必須長文問題1題+5題中3題の選択問題という形式から全問必須問題となった。大問数は4題で実質問題量は変わらないが、4問中3問は長文であり時間内に正確に文章を読み解く読解力が求められる。長文は医学、生化学に纏わる題材を主として多様な題材が出題される。長文総合問題中でも文法・構文・語彙力を駆使して正答を導く問題が多く含まれるため、標準レベル以上の構文把握力、文法知識を必要とする。
大問 | 形式 | 難易度 | 内容 |
---|---|---|---|
1 |
記述・選択 |
★★☆☆ |
【長文総合】要旨要約、適語補充、内容一致、和訳 |
「VRを用いた痛みの緩和法」についての英文。やや高度な語彙や表現が用いられており、全体的に要旨をつかんでから細かい部分を考えるなど工夫して読まないと当惑してしまいそう。選択式の設問は判断しやすいはずなので、問題を落ち着いて取り掛かって欲しい。 |
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2 | 選択 | ★☆☆☆ |
【長文】適語補充 |
「食事中の会話」についての様々な観点に関する英文。 |
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選択 | ★★★☆ |
【長文読解】内容一致文完成 |
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「過誤記憶症候群」に関する英文。内容一致問題は概ね正誤を判断しやすいが、一部微妙な設問がある。全問正解を目指すよりは、時間を節約して欲しい問題。 |
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4 | 選択 | ★☆☆☆ |
【語句整序】文法・語法 |
典型的な構文、語法を用いた英文を完成させる。 |
数学
数・物・化・生・国から2科目で試験時間120分。難易度、分量ともに例年通りである。時間配分には気をつけたい。教科書応用レベルの内容が大半である。日程による大きな差もない。必要な対策は教科書応用レベルの内容を完璧にすることが重要で、まずは教科書の節末・章末レベルの内容を確実にし、その後は入試基礎レベルの内容も併せて演習していくのがよいだろう。
大問 | 形式 | 難易度 | 内容 |
---|---|---|---|
1 | 答のみ | ★☆☆☆ |
【小問集合】2曲線間の面積、加法定理 |
(1)3次関数とその接線で囲まれた部分の面積、(2)放物線の2接線のなす角度。基本的な内容であり、2問とも完答する必要がある。 |
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2 | 答のみ | ★☆☆☆ |
【三角関数】三角関数の合成、倍角・半角の公式 |
(1)合成を利用して三角関数の値の範囲を求める問題、(2)倍角・半角公式を利用しての式変形、(3)置き換え利用の2次関数の最大値。基本的な内容であり、すべて完答する必要がある。 |
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3 | 答のみ | ★☆☆☆ |
【小問集合】空間ベクトルの内積、直線の方程式 |
(1)空間図形における垂線の足(ベクトルの内積)、(2)2つの放物線の共有点を通る直線の方程式(束)。基本的な内容であるが、(2)は共有点を求めてしまうと計算が遅くなるので束の考え方を利用したい。 |
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3 | 答のみ | ★★☆☆ |
【小問集合】確率の基礎計算、結び・交わり・包含関係 |
(1)複数枚のコインの表裏の出る確率、(2)複数の条件がある集合の要素に関する問題。(2)は慣れてないとやりにくく、ここで冷静にどれだけ点数を稼げるかが鍵となる。 |
化学
数・物・化・生・国から2科目で試験時間120分。出題はやや易〜標準レベルのものがほとんどだが、計算問題も程よく出題されているため時間的な余裕はない。また、2020年度入試では有機化学でRS表記法が出題されていたが、このような一部目新しい内容が出題されることもある。こういった問題でも焦らずに問題文に書かれていることをよく読み、落ち着いて解答できるよう試験に対する心構えも必要。いずれにせよ教科書をしっかり理解し、資料集などで理解を深め汎用問題集を繰り返して解くことで、基本的な内容の取りこぼしがないように普段から意識しておこう。
大問 | 形式 | 難易度 | 内容 |
---|---|---|---|
1 | 記述 | ★★★☆ |
【酸と塩基、電離平衡】中和滴定、逆滴定、滴定曲線のpH |
酸と塩基に関する総合問題である。問1は平易だが問2、問3は経験値がないと時間内に解き切るのは難しい。 |
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2 | 記述 | ★★☆☆ |
【ケイ素化合物】ケイ素の結晶、セメント、光ファイバー |
ケイ素に関する出題である。無機分野の中では手薄になりがちな単元ではあるが、内容は平易である。 |
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3 | 記述 | ★☆☆☆ |
【芳香族化合物】フェノールの誘導体 |
フェノールの誘導体に関する出題である。アルコールとフェノール類の違いや有機化合物の分離など、幅広く出題されている。また、問3⑤では配向性に関する出題があった。 |
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4 | 記述 | ★★☆☆ |
【合成高分子化合物】ゴム |
ゴムに関する出題である。NBRの定番の計算問題も出題されており、点数は落とせない。 |
生物
数・物・化・生・国から2科目で試験時間120分。一部に用語や人名を答える問題が出されることがあるが、番号で答える選択式の問題がほとんど。ただし近年は20〜40字の論述が1題出題されている。計算も数問含まれる。大問ごとのテーマに関する文章を最初に読ませてから問いに答える形式が典型。問1は空欄にあてはまる適切な語を語群から選ぶ形式が多く、問2以降で下線部や実験に関して問われる。標準的な出題が多いが、計算問題や実験考察問題などで解きにくい出題も。標準的な幅広い知識を身に着け、計算や30字程度の短い論述練習をしておくとよい。
大問 | 形式 | 難易度 | 内容 |
---|---|---|---|
1 | 記述 | ★★☆☆ |
【生物の体内環境の維持】 |
免疫、生体防御とタンパク質についての出題。計算あり。 |
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2 | 記述 | ★★☆☆ |
【生命現象と物質】 |
遺伝子発現の仕組み、遺伝子の調節についての出題。 |
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3 | 記述 | ★☆☆☆ |
【生物の体内環境の維持】 |
自律神経とホルモンの協調、ホルモンと内分泌腺についての出題。 |
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4 | 記述 | ★★☆☆ |
【生物の環境応答】 |
バイオテクノロジー、植物ホルモンによる成長の調節についての出題。 |
物理
数・物・化・生・国から2科目で試験時間120分。全分野から出題されるが、大問のうち2題が「力学」の場合がたびたびある。難易度は「標準」レベルだが、「やや易」や「やや難」レベルの問題が含まれることがあるため、「素点が最も高い日の成績が採用される」本学においては「アタリ日」と「ハズレ日」が存在する。本学への志望度が高い受験生は3日間すべてを受験すべき。時間に対する分量はやや多いので、スピーディかつ正確に解く力が必要。対策として「標準」レベルの典型題を網羅的にこなし、過去に頻出の「重心運動と相対運動」を個別にフォローしよう。
大問 | 形式 | 難易度 | 内容 |
---|---|---|---|
1 | 記述 | ★★☆☆ |
【力学】円運動 |
円形レール上での非等速円運動についての出題。 |
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2 | 記述 | ★☆☆☆ |
【力学】運動量と力積 |
運動量変化と力積についての出題。 |
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3 | 記述 | ★★☆☆ |
【波動】鏡やレンズの性質 |
眼の矯正についての出題。 |
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4 | 記述 | ★★★☆ |
【電磁気】コンデンサーの接続 |
コンデンサー回路の無限回スイッチ切り替えについての出題。 |
受験者数および合格者数推移
受験者数 | 一次合格者数 | 二次正規合格者数 | 合格最低得点/満点 | 得点率 | |
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2020年度 | 7,768名 | データなし | データなし | 215/300 | 71.7% |
2019年度 | 6,923名 | 非公表 | 198名 | 212/300 | 71.7% |
2018年度 | 7,697名 | 非公表 | 161名 | 217/300 | 72.3% |
2017年度 | 7,695名 | 非公表 | 181名 | 213/300 | 71.0% |
医師国家試験合格率推移
全体 | 新卒 | |
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2020年度 | 79.4% | 86.2% |
2019年度 | 78.1% | 83.1% |
2018年度 | 84.2% | 91.1% |
2017年度 | 74.8% | 80.2% |