岩手医科大学の傾向分析2019
岩手医科大学2019
2019年度一般入試問題分析
英語
試験時間60分。全問マーク式。大問7題とその形式は2018年度と変化なし。大問1は伝統的な長文空所補充形式だが,医学系の文章に変化して取り組みやすくなった。それ以外の大問もセンター試験の形式を踏襲しているが,問題が洗練され取り組みやすくなっている。全体に時間的な余裕はないので,現場での思考を要する大問1,4,6に必要以上に時間をかけずに,全問を解ききることができるように解く順序,時間配分に注意したい。
大問 | 形式 | 難易度 | 内容 |
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1 | マーク | ★★☆☆ |
長文総合:適語補充 |
診断時における女性への偏見に関する英文。空所5つに対して8つの選択肢から選ぶ問題が2セット。1つは品詞を中心とした問題でもう1つは語彙を中心とした問題。 |
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2 | マーク | ★★☆☆ |
発音・アクセント:語彙力 |
発音3問とアクセント3問の計6問。同じ発音・アクセントを選ぶ形式の問題。 |
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3 | マーク | ★★☆☆ |
適語補充:文法・語法・熟語 |
5問。幅広い分野から出題されている。 |
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4 | マーク | ★★★☆ |
会話:適文補充 |
会話文中の空所3個に対して9 個の選択肢から選ぶ形式の問題。状況読み取りは平易だが選択肢がややマイナーな表現を含んでいるので,現場での思考が必要。 |
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5 | マーク | ★★☆☆ |
短文:要旨・要約 |
4問。文章中から不要な1文を取り除いてまとまりの良い文を作るセンター試験大問3Aと同じ形式の問題。 |
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6 | マーク | ★★★☆ |
語句整序:和文なし |
3問。7語句の整序で1個おきに3個の空所に入る語句を選ばせる形式の問題。動詞の語法を中心に組み立てる問題が多く,さらに内容も考えなければならない。 |
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7 | マーク | ★★☆☆ |
長文総合:同義語,内容一致,段落挿入 |
放射線医師の誤診に関する英文。10問。素直な設問で,段落挿入も迷うところはない。 |
数学
大問3題60分。すべてマーク形式である。ここ2年は小問集合はなくすべて大問であり,空間図形,数Ⅲの微積分が頻出分野である。また,それに次いで数列,確率の出題頻度が高い。特にここ数年はやや状況のつかみにくい空間図形の問題(空間ベクトルの問題)がよく出題されている。また,数Ⅲの微積分では計算量が多い問題が出題されることが多い。昨年度は数Ⅲの微積分に限らずどの問題も計算量が多く,60分という制限時間ではすべてを解ききることはほぼすべての受験生にとって不可能であったと思われる。取れる部分をいかに落とさずにやれるかが合否を分けるだろう。合格最低点は公表されてはいないが,かなり低いと予想される。
大問 | 形式 | 難易度 | 内容 |
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1 | マーク | ★★★☆ |
確率:連立漸化式 |
変則サイコロと確率漸化式 |
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2 | マーク | ★★★☆ |
図形と計量:空間ベクトルの内積 |
四面体の体積の最大値 |
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3 | マーク | ★★★☆ |
積分法:軌跡と方程式,双曲線,グラフの移動 |
双曲線と面積 |
化学
前年度と比較して試験時間が2科目90分→2科目120分と変化したことで,総マーク数も24→37と増加し分量が増加した。しかし計算問題の比重は下がったため答を出す煩雑さは少なくなり,その分知識の精度がより高く求められる出題となった。特に3つの文章の正誤や3箇所の穴埋めの組み合わせを問う出題はここ数年の岩手医科大学で必ず出題される形式であり,知らない知識が一つあるだけで正答できなくなってしまうので,はまりこんではいけない。どの分野の出題においてもこの形式の出題があり,よほど知識の精度が高い受験生でなければ高得点は望めないので,時間を掛けずに取るべきところをミスなく取り切る要領の良さが求められる。
大問 | 形式 | 難易度 | 内容 |
---|---|---|---|
1 | マーク | ★★☆☆ |
小問集合:コロイド,結晶格子,混合気体,熱化学,電池・電気分解,酸・塩基,水素イオン濃度 |
理論分野に関しての小問集合で,マーク数は計10個,計算問題は3問で標準レベルだが,知識問題に関しては3つの文章の正誤や3箇所の穴埋めの組み合わせを問う出題があり,求められている知識自体は標準レベルであることが多いものの,正答するには精度が要求される。 |
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2 | マーク | ★★★☆ |
小問集合:水素,15族,気体の製法,鉄,金属各論,工業化学 |
無機分野に関しての小問集合で,マーク数は計11個ですべて知識問題だった。うち5個は3つの文章の正誤や3箇所の穴埋めの組み合わせを問う出題で,求められている知識には過リン酸石灰の組成などややマニアックなものも含まれたため,得点しづらい。 |
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3 | マーク | ★★★☆ |
小問集合:元素分析,異性体,構造推定,ベンゼンの発見,糖類の還元性,タンパク質,医薬品 |
有機分野に関しての小問集合で,マーク数は計16個,知識問題および考察問題が含まれた。知識問題ではベンゼンの発見や,解熱鎮痛剤の使用に関する歴史的経緯を知っていなければ解けない出題もあり,得点しづらい。 |
生物
マーク数29。「等尺性収縮」や「スヌーズ」など高校生物では習わないような用語や,見慣れないグラフなどが散見され難しく感じるかもしれないが,説明文を読んだり,グラフの縦軸横軸をしっかり見るなどができれば内容的には標準レベル。また,それ以外の問題に関しては,易しい問題も含まれているのでその辺りで取りこぼすことは避けたい。文章を読むのが遅かったり,グラフの解釈に時間がかかったりする受験生にとっては時間的も苦しくなってくると思われる。対策としては,基礎的な学力を高めるのはもちろんのこと,普段から問題文をしっかり読む訓練や,グラフのプロットの意味することを意識した勉強を心掛けてほしい。
大問 | 形式 | 難易度 | 内容 |
---|---|---|---|
1 | マーク | ★★☆☆ |
生物の環境応答:筋肉と筋収縮 |
動物の反応と行動:筋収縮。 |
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2 | マーク | ★★☆☆ | 生物の体内環境の維持:自律神経系,自律神経とホルモンの協調 |
生物の体内環境:恒常性。 | |||
3 | マーク | ★★☆☆ | 生殖と発生:形成体と誘導 |
やや易しめの問題。動物の発生:上皮間充織相互作用。 | |||
4 | マーク | ★★☆☆ | 生命現象と物質:好気呼吸とそのしくみ,酸素を用いない呼吸 |
代謝:異化。計算問題あり。 | |||
4 | マーク | ★★☆☆ | 生命現象と物質:肺炎双球菌と形質転換,ファージの増殖 |
遺伝子とその働き:T2ファージの実験。計算問題あり。 |
物理
試験時間:2019年度から2科目120分 配点:100点/400 出題形式:大問3 全問マーク式 出題範囲:物理基礎・物理。設問数26(18年度25)17年度からマーク式。マーク式になったのにともなって,初年度は短い説明文を選択させる問題が出題されたが,それ以降はなし。熱の問題では、グラフを選択する小問あり。大問1,3は受験生には見慣れた設定の問題。受験生が一旦立ち止まって考えなくてはならない問題は電磁気の後半のみ。2016年度以前より問題そのものの難易度は上昇したが、医学部入試としては標準的。試験時間が長くなった一方、マーク数は25から26と微増。2科目で120分の試験時間をちょうど使い切るくらいの分量か。マーク式に変更するに当たって1990年代くらいの古いセンター試験を参考にしている印象がある。原子の分野からの出題頻度の高い大学だが、今年度は出題が無かった。
大問 | 形式 | 難易度 | 内容 |
---|---|---|---|
1 | マーク | ★★☆☆ |
力学:運動の法則 |
台の角に滑車。滑車にかけられた糸につながれた2物体。前半,台は固定。後半,台は等加速度運動。慣性力。 |
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2 | マーク | ★★★☆ |
電磁気:電磁誘導と誘導起電力,電流が磁界から受ける力 |
前半,正方形のコイル,正三角形のコイルがが一定の速度で磁場を通過。後半,初速度を与えた後は外力を加えず,減速する正方形コイルの問題。後半は受験生には見慣れぬ設定だが,誘導がなされているので,それに従えば正答が得られる。 |
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3 | マーク | ★★☆☆ |
熱:気体の状態変化,様々な運動に関する探究活動 |
気体の状態変化。温度が一定の状態で,シリンダーの上下を入れ替える問題は,メビオ物理標準問題集で演習済み。最後の問題は,熱サイクルのP-V図の選択問題。 |
受験者数および合格者数推移
受験者数 | 一次合格者数 | 二次正規合格者数 | 合格最低得点/満点 | 得点率 | |
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2019年度 | 2,834名 | 551名 | 249名 | 非公表 | - |
2018年度 | 3,253名 | 656名 | 186名 | 非公表 | - |
2017年度 | 3,496名 | 645名 | 187名 | 非公表 | - |
医師国家試験合格率推移
全体 | 新卒 | |
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2019年度 | 74.1% | 81.2% |
2018年度 | 77.3% | 81.7% |
2017年度 | 76.8% | 82.2% |