帝京大学医学部の傾向分析2019
帝京大学医学部2019
2019年度一般入試問題分析
英語
試験時間60分。長文はやや難度が高い。その他の問題は平易~標準的レベル。2017年度に出題形式に大幅変更があり,それまでの必須長文問題1題+5題中3題の選択問題という形式から全問必須問題となった。大問数は4題で,実質問題量は変わらないが,2018年度入試では長文中語形変化,下線部和訳,指示語説明が,2019年度入試では下線部和訳が記述式として出題されている。長文は医学,生化学に纏わる題材を主として多様な題材が出題される。長文総合問題中でも文法・構文・語彙力を駆使して正答を導く問題が主流なため,標準レベル以上の実力養成をする。
大問 | 形式 | 難易度 | 内容 |
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1 |
記述(一部選択) |
★★☆☆ |
長文総合:語彙力,文法・語法,正誤, アクセント,要旨・要約,内容一致,和訳 |
日本全国地域別癌発症率詳細に関する英文。レベルは例年標準からやや難。内容一致の選択肢には慎重な吟味を要するものも含まれる。和訳問題は標準的。 |
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2 | 記述(選択) | ★★☆☆ |
長文総合: 内容一致 |
英国御用達のホテルおよび,2つの商店に関する英文を読み,続く5つの選択肢の内容真偽を行う。 |
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3 | 記述(選択) | ★★☆☆ |
長文総合: 内容一致 |
電子メディアの子供への影響に関する英文。問(1)~(4)=内容把握問題。(5)=主題選択。長文レベル,設問レベル共に易~標準。 |
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4 | 記述(選択) | ★★☆☆ |
語句整序: 和文あり |
5問。各問は相互に関係性がない。全体としては標準レベルだが,(5)のように変則的要素が含まれることもある。 |
数学
試験時間は2科目で120分である。2019年度入試は数学①②ともに大問数は4題であり,ほぼすべての大問が小問数題で構成されている(一部例外あり)。解答形式はすべて結果のみ記入する空欄補充形式であった。出題は各分野からバランス良く出題されており,教科書+α~入試基礎レベルの内容が多い。 対策について,基礎がしっかりとしていると点数が非常に取りやすい問題構成となっているので,まずは教科書の章末問題レベルまでを徹底しておきたい。教科書の内容を一通り終えた後は,教科書+α~入試基礎レベルくらいの問題演習を全分野にわたって行っていくとよい。
大問 | 形式 | 難易度 | 内容 |
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1 | 答のみ | ★★☆☆ |
二次関数: 絶対値を含む二次関数,2曲線間の面積 |
絶対値を含む二次関数と直線で囲まれた部分の面積 |
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2 | 答のみ | ★☆☆☆ |
小問集合: ベクトルの内積,倍角・半角の公式 |
(1)絶対値・内積の条件から面積を求める (2)3倍角の公式の応用 |
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3 | 答のみ | ★☆☆☆ |
小問集合:対数の性質・計算, 指数関数のグラフ,整数の性質の活用 |
(1)やや複雑な対数の計算 (2)指数関数の最小 (3)一次不定方程式 |
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3 | 答のみ | ★☆☆☆ |
小問集合: 3項間の漸化式,順列・階乗の計算 |
(1)三項間漸化式 (2)順列 |
化学
全問記述式の試験(2科目120分)である。帝京大学医学部の一般入試は試験日自由選択制となっており,3日間受験することも1日だけ受験することもできる。出題はやや易~標準レベルのものがほとんどであり,計算問題の比率も少ないため,教科書をしっかり理解していれば,8割程度は解ける問題になっている。一部目新しい内容が出題されることもあるが,問題文に書かれていることをよく読めば十分に解答できるので,焦らずに冷静に落ち着いて解く力も要求される。したがって,まずは教科書をしっかり理解し,資料集などで理解を深め,汎用問題集を繰り返して解くことで,基本的な内容の取りこぼしがないように普段から意識しておこう。
大問 | 形式 | 難易度 | 内容 |
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1 | 記述 | ★★☆☆ |
電池: イオン化傾向,標準電極電位 |
第1問はイオン化傾向と電池に関する出題であった。標準電極電位に関する設問は,見たことがないと少し戸惑ったかもしれないが,問題文をよく読めば,解答できる。 |
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2 | 記述 | ★☆☆☆ |
炭化水素: アルカン,アルケン |
第2問はアルカン,アルケンの反応と異性体に関する出題であった。いずれも頻出,教科書レベルである。 |
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3 | 記述 | ★★☆☆ |
無機物質: 陰イオンの定性分析 |
第3問は陰イオンの定性分析に関する出題であった。金属陽イオンの定性分析はよく見かけるが,陰イオンの定性分析は演習したことがないと少々難しいかもしれない。 |
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4 | 記述 | ★☆☆☆ |
合成高分子化合物:機能性高分子, 生分解性プラスチック,リサイクル |
第4問は合成高分子化合物から機能性高分子,再利用,リサイクルに関する出題であった。いずれも教科書に記載はあるものの,普段の演習ではほとんど手を付けない内容であるため,意外と差がついたと思われる。 |
生物
大問4題で,解答形式は記述式である。一部に用語や人名を答える問題が出されることがあるが,番号で答える選択式の問題がほとんどであり,マークシート式にしても差し支えないような出題が多い。ただし,近年は20~40字の論述問題が1題出題されている。また,計算問題が1~数問程度含まれる。大問ごとにテーマが決まっており,そのテーマに関する文章を最初に読ませてから問いに答える形式が典型的である。問1は,空欄にあてはまる適切な語を語群から選ぶ形式が多く,問2以降で下線部や実験に関して問われる。全体的には標準的な出題が多いが,計算問題や実験考察問題などでやや解きにくい出題も見られる。基礎から標準的な幅広い知識を身に着けておく他に,計算練習や30字程度の短い論述練習をしておくとよい。
大問 | 形式 | 難易度 | 内容 |
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1 | 記述 | ★★☆☆ |
生物の体内環境の維持:ホルモンと内分泌腺, 自律神経とホルモンの協調 |
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2 | 記述 | ★★☆☆ |
生命現象と物質: バイオテクノロジー,遺伝子発現の仕組み |
論述、計算あり |
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3 | 記述 | ★★☆☆ |
生物の体内環境の維持: 体液の組成とはたらき,酸素の運搬 |
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4 | 記述 | ★★☆☆ |
生物の体内環境の維持: 免疫,バイオテクノロジー |
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物理
2科目120分の記述形式で空所補充型。大問4題をこの時間で解き切ることを考えると,試験時間にあまり余裕はないだろう。試験は最大で3日間連続で受験でき,試験日によって難易度にかなり差があることがある。難関大特有のテーマが出題されることがあるが,それ以外は大半が基礎・標準問題なので,難問まで含めたしっかりとした対策をする時間がないのであれば,難度の高い試験日を避けるため,複数日を受験するのが無難と思われる。近似計算を行わせる問題もよく出題されるので,普段から慣れておく必要がある。また,単位が与えられている問題が多いため,解答にも単位を付ける習慣を付けておきたい。
大問 | 形式 | 難易度 | 内容 |
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1 | 記述 | ★★☆☆ |
力学: 運動量と力積 |
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2 | 記述 | ★★☆☆ |
力学: 剛体のつり合い |
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3 | 記述 | ★★☆☆ |
電磁気: 電磁誘導と誘導起電力 |
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4 | 記述 | ★★☆☆ |
原子: 粒子性と波動性,波の干渉 |
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受験者数および合格者数推移
受験者数 | 一次合格者数 | 二次正規合格者数 | 合格最低得点/満点 | 得点率 | |
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2019年度 | 6,923名 | 非公表 | 198名 | 212/300 | 71.7% |
2018年度 | 7,697名 | 非公表 | 161名 | 217/300 | 72.3% |
2017年度 | 7,695名 | 非公表 | 181名 | 213/300 | 71.0% |
医師国家試験合格率推移
全体 | 新卒 | |
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2019年度 | 78.1% | 83.1% |
2018年度 | 84.2% | 91.1% |
2017年度 | 74.8% | 80.2% |