聖マリアンナ医科大学の傾向分析_2019年度
聖マリアンナ医科大学2019
2019年度一般入試問題分析
英語
試験時間90分。大問1・2は長文総合問題。1はジェットコースターに関する英文,2は唐辛子に含まれるカプサイシンの効能に関する英文で,いずれも生化学的側面からの考察。記述問題が含まれるのは大問Ⅰのみ。レベルはいずれも標準的で、ある程度の力のある生徒であれば時間が不足することはない。大問3の文法問題も総じて易~標準的レベル。(3)はotherwiseを正しく解釈できないと解けない。(9)のようなwhateverの変則的使用法などを問うこともあるので各問のレベルは一定ではない。語群選択肢より対話の返答を選ぶ大問4は状況を正しく把握し,選択肢の検証を行えば難しくない。易レベルとしてもよいが,選択肢が語群になっているので標準レベルと判じた。
大問 | 形式 | 難易度 | 内容 |
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1 |
記述(選択あり) |
★★☆☆ |
長文総合:内容説明,下線部換言,空所補充選択, 表完成記述,同内容語句の抽出 |
(1)下線部1)のように書いた理由を説明。(2)下線部同義語句選択。(3)下線部に対する著者の見説明。(4)文中2か所への同一語句選択補充。(5)下線部4)内容説明。(6)下線部5)の研究手法、結果、考察の説明。(7)本文に即して登場する化学物質を3つ(あ・い・う)記入し、その研究結果および考察の一部を記入。(8)下線部7)と同義表現(2単語)を最終段落より抽出。 |
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2 | 記述(選択式) | ★★☆☆ |
長文総合:空所補充,下線部内容, 下線部換言,下線語句意味,内容一致 |
チリペッパーなどの香辛料に含まれる成分に関する考察を読み、空所補充、下線部内容、下線部換言、下線語句意味、内容一致の問に対して選択肢(a)~(d)より選択。最終問題(9)=本文内容に一致する選択肢を6つの選択肢より2つ選択。レベルは標準的。 |
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3 | 記述(選択式) | ★★☆☆ |
文法・語法・イディオム: 短文完成選択 |
短文問題15問構成。選択肢は(a)~(d)4つ。7問はイディオムに関する出題。文法・語法・イディオムともにレベル的に標準。(3)はotherwiseを正しく解釈できないと解けない。(9)のようなwhateverの変則的使用法などを問うこともあるので各問のレベルは一定ではない。 |
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4 | 記述(選択式) | ★★☆☆ |
二者対話短文:二者対話 応答文選択(語群型) |
語群選択肢より対話の返答を選ぶ。状況を正しく把握し、選択肢の検証を行えば難しくない。 |
数学
試験時間は90分で,2019年度入試の大問数は4題であった。解答方式は第1問が答えのみ記す形式で,第2~4問は記述式であった。前期と後期で出題傾向に大きな差は見られない。近年は極限・微積分・図形・ベクトル等の出題が特に多いが,複数分野の融合問題も多く,各分野からバランスよく出題されている。注意点として,計算の煩雑さが問題を難しく感じさせることが多いが,考え方自体は入試基礎レベルの問題も多く出題されているので,必要以上に問題を難しいと思わないようにしてほしい。 対策について,相当の計算力が要求されるので普段から自力で答えを導く訓練などを通じて,計算力向上を心掛けたい。また,難問もあるが,考え方自体は入試基礎レベルの問題も数多く出題されるので,まず入試レベルの考え方を身につけたい。誘導も多いので,参考書等の別解も含めて学習し,幅広い考え方を身に付けられるような学習を心掛けたい。他には極限・微積等の出題が多いものの,各分野からバランスよく出題されているので,特定の分野に偏りすぎることなく学習したい。
大問 | 形式 | 難易度 | 内容 |
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1 | 記述 | ★☆☆☆ |
小問集合:データの散らばり,整数の 性質の活用,置換積分法・部分積分法 |
(1)データの分析の語句問題 (2)整数解をもつ3次方程式 (3)(整関数)×(三角関数)の部分積分 (4)平面における位置ベクトルに関する問題 |
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2 | 記述 | ★★☆☆ |
図形と方程式:不等式の表す領域 |
点と直線の距離に関するいろいろな問題 |
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3 | 記述 | ★★☆☆ |
数列:数学的帰納法 |
線対称の楕円に関するいろいろな問題 |
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4 | 記述 | ★★☆☆ |
数列:数学的帰納法 |
∑(kn)に関する,数学的帰納法による証明問題など。証明あり。 |
化学
有機化学からの出題が非常に多い。直近の2018年度と2019年度は,大問の全てが天然高分子化合物および合成高分子化合物であった。極めて重視されている。特に,天然高分子化合物および合成高分子化合物など,教科書の後ろの方の内容の理解および定着に万全を期したい。ここは特に現役生が消化不十分なまま入試を迎えてしまう分野であるから,注意を喚起しておきたい。とりわけ,糖類,アミノ酸・タンパク質について理解不足にならないようにしたい。特に,酵素の働きやタンパク質の構造は非常に重視されている。用語をただ覚えるのではなく,どのような現象が起こっているのかを,分子レベルでしっかりと理解しておくことが望まれる。 かつては論述問題がとにかく多かったが,現在でも量は減ったが要求される。行数を指定して書かせる形式である。2019年度は反応時のエネルギー変化,ミセルの様子の描図が見られ,分量が増えている。問題の難易度は基本的なものから標準的なものが主体であるが,中には応用といえる問題も見受けられる。
大問 | 形式 | 難易度 | 内容 |
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1 | 記述 | ★★☆☆ |
小問集合:理論化学・一部無機化学 |
特に難しいものはないが,事象の説明や図示,および化学反応式の記述などを含み,教科書の内容をどれだけ読み込んで書く練習をしたかで差がつく。 |
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2 | 記述 | ★★☆☆ |
芳香族化合物:アセトアミノフェンの合成経路 |
抗生物質にも触れた内容となっているが,特別な知識は要求されない。教科書の内容が与えられた化合物に応用できればよい。 |
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3 | 記述 | ★★☆☆ |
油脂・セッケン:けん化価,ヨウ素価,ミセルの描図など |
典型問題であるが,計算問題が比較的多く,描図も要求されるので,練習量が問われる。描図あり。 |
生物
例年,大問が3問出題され,解答形式はすべて記述式である。用語を答える問題と,「説明しなさい」「述べなさい」「理由を考えなさい」などに答える論述問題が多い。答案の分量については,以前は字数制限のつくものが多かったが,最近は行数制限がつくものが多い。また,計算,描図,与えられた語を使った論述など,多彩な出題形式が見られる。問題量は中程度であるが,記述式のため時間がかかる受験生が多いであろう。基本~標準的な問題が多いが,しばしば前例のないオリジナルな出題が見られ,実験結果に対する考察など,やや答えにくい問題が見られる。論述問題への対策としては,まずは教科書をよく読み,日頃から生命現象の原因などに目を向け,文字を沢山書いて勉強することが重要である。
大問 | 形式 | 難易度 | 内容 |
---|---|---|---|
1 | 記述 | ★★☆☆ |
生命現象と物質: 体細胞分裂,遺伝子発現の仕組み |
論述、計算あり。 |
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2 | 記述 | ★★☆☆ |
生物の体内環境の維持: 免疫 |
論述、計算あり。 |
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3 | 記述 | ★★☆☆ |
生物の環境応答: 聴覚と聴覚器,その他の受容器 |
描図あり。 |
物理
大問5題の出題が続いており,第1問は穴埋め形式の小問集合である。これには知識問題も含まれていたが,19年度は小問の数が半分に減り,用語を答えさせるような問題はなくなった。それ以外の大問については,難易度は標準レベルだが,近似を用いるものもあり,普段から慣れておく必要がある。19年度は18年度までと比べて,大問全体を通して易化しており,典型問題が大半を占めていた。記述形式ではあるが,解答に至るまでの過程を記さなくてはならない設問と,答えのみで良いものに分かれており,設問ごとに指示が記載されている。前者に関しては,解答欄の大きさから考えて,途中計算を記す必要はないが,用いた法則名などの記述は必須である。
大問 | 形式 | 難易度 | 内容 |
---|---|---|---|
1 | 記述 | ★★☆☆ |
小問集合:鉛直投射,電流と磁界, 粒子性と波動性 |
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2 | 記述 | ★★☆☆ |
力学: 万有引力 |
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3 | 記述 | ★★☆☆ |
電磁気:電気回路, 電池の起電力と内部抵抗 |
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4 | 記述 | ★★☆☆ |
波動: 気柱の共鳴 |
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5 | 記述 | ★★☆☆ |
熱:気体分子の運動と圧力, 気体の内部エネルギー |
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受験者数および合格者数推移
受験者数 | 一次合格者数 | 二次正規合格者数 | 合格最低得点/満点 | 得点率 | |
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2019年度 | 1,763名 | 507名 | 130名 | 非公表 | - |
2018年度 | 3,095名 | 517名 | 130名 | 非公表 | - |
2017年度 | 3,175名 | 485名 | 170名 | 非公表 | - |
医師国家試験合格率推移
全体 | 新卒 | |
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2019年度 | 93.8% | 96.5% |
2018年度 | 88.2% | 91.7% |
2017年度 | 89.0% | 91.2% |