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関西医科大学の傾向分析2023

2023年度一般入試問題分析

英語

試験時間80分。2022年度までの長文のみ3題という形式から、長文2題、自由英作文1題へと変化した。こうした大問構成の大きな変化は、関西医科大学においてはよくあることなので、前年度過去問を研究して試験に臨んでも、予想を超えた変化があることは想定しておく必要がある。そうした中で長文内容一致問題は本文の該当部分と付き合わせて順に検討すれば解答できる問題であり、標準レベルと言える。そこをしっかりと得点することが重要である。大問2で出題される、文中にでてきた語句の定義を本文中の表現を使って答えさせる問題については、本文中の表現をうまく利用して答えれば、さほど難しくない。選択肢なしの適語補充問題が関西医科大学の長文における大きな特徴であり、事前に過去問を使ってある程度の出題パターンに慣れておくことも必要である。長文の分量は増加傾向にあるので、速読力を養っておくことが求められる。

大問 形式 難易度 内容
1 記述 ★★★☆☆

【長文総合】内容一致

2 記述 ★★★★☆

【長文総合】語句整序、同義語句、指示内容、適語補充、内容一致、 要旨・要約

3 記述 ★★★☆☆

【英訳】自由英作文

数学

2022年度は突発的に大問数が5つだったが、2023年度は例年通りの4つに戻った。これでここ6年間は出題形式に何らかの変化が起こり続けていることになる。ただし、2022年度で消失した小問集合は2023年度も復活しなかった。大問数が減ったためか、問題によっては分量が多くなっている。また、答のみを記入する問題形式の割合が減り、大半の問題で記述が要求された。それらを狭い解答用紙に簡潔に書き込む必要がある。例年、前から易しい順に問題が並んでいることが多いが、2023年度はIIとIVにかなり難しい問題が含まれ、それら以外をどれだけ取りこぼさず戦えたかが勝負を分けただろう。問題ごとの難易の差が大きいのは例年よくあることである。対策としては、計算力を要する問題が頻出なのでその力を鍛えること、解答をコンパクトにまとめる練習をすること、時間制限を設けてとれるべき問題をとる練習をするのがよい。

大問 形式 難易度 内容
1 記述 ★★★☆☆

【整数の性質】【数と式】
(整数)×(整数)=0の形に変形する整数についての方程式

2 記述 ★★★★★

【数列】【場合の数】
2つの等差数列で定義された数列について考える問題

3 記述 ★★★☆☆

【平面上のベクトル】
正三角形とその内接円上の動点について、ベクトルの絶対値や内積の値を考える問題

4 記述 ★★★★☆

【積分法】
2定点からの距離の積が一定となる点が描く曲線について、回転体の体積を求める問題p>

化学

理科2科目で120分、例年と形式に変化はなかったが、理論化学に関する計算が増えた分、正確に計算を合わせて正答を出せたかどうかで差がつくだろう。さらに、受験生の中では苦手な人が多いと言われる高分子反応の計算問題などの出題も差がつく要因となるだろう。このあたりはしっかりと対策しておきたい。内容的には難問は含まれていないので1次合格には70%程度は得点したい。大問Iや大問IVでは長い問題文の中から解答に必要な情報を手際よく拾う必要があった。また大問II問5の計算は文字式を残す設問。このような問題は関西医科大学頻出の内容である。こういった問題でしっかりと得点をとるために、ある程度ボリュームのある大問の演習量を増やすことは対策として有用であるといえる。もちろん過去問演習も十分に行っておきたい。

大問 形式 難易度 内容
1 記述 ★★★★☆

【気体】【熱化学】
気体の法則、蒸気圧曲線、熱化学

2 記述 ★★★☆☆

【実験】
金属雨に関する実験

3 記述 ★★★☆☆

【繊維】
天然繊維、化学繊維

4 記述 ★★★☆☆

【気体】【糖類】
動物の呼吸

生物

例年どおり、大問4題構成で、出題形式は「計算あり」の「記述式」である。大問Iの小問集合に英語で細胞小器官を選ぶ設問が登場し、面食らった受験生も多かっただろう。「すべて選べ」が設問によってはかなり難しいことや、「複数回答で順番を問題にしていない場合は、アルファベット順に並べなさい」といった特有の指示については例年どおりなので注意したい。出題範囲に偏りはなく、「遺伝」「系統分類」などを含め、非常に広範囲から出題されるため、苦手分野を作らないことが対策としては重要である。また、入試問題活用宣言に参加している大学であるため、他大学の問題がほぼそのまま出題されることも珍しくない。2023年度も大問IVは、山梨大学医学部の2015年度の大問1を改変した問題であることが公表されている。全体的には、2021年度以降、取り組みやすい出題が続いており、努力した結果が反映されやすい良問となっている。

大問 形式 難易度 内容
1 記述 ★★★★☆

【小問集合】

2 記述 ★★★☆☆

【生物の体内環境の維持】体液の循環・循環系

3 記述 ★★★☆☆

【生物と遺伝子】遺伝子発現の仕組み

4 記述 ★★☆☆☆

【生殖と発生】一遺伝子雑種、集団遺伝学

物理

例年、形式は記述式の大問4問。一部に空所補充の問題もあるが、数値計算やグラフの描図を含む記述式。設問数は各大問で5~7問程度で解答数は30弱。大問4問は、必ず出題される力学と電磁気に加えて、波動、熱、原子の分野から2問。複数の分野にまたがった問題も出題される。2020年度からグラフや表の読み取り、与えられた情報を分析して結論を求める新傾向の問題が増加している。2023年度もこの傾向は続いており、受験生にはあまり馴染みのない題材が出題されている。2019年から2021年度までは易化傾向にあったが、2022年度は難化、2023年度はわずかに難易度が下がったものの高止まりであった。対策としては、普段から問題を公式に当てはめるだけでなく、公式の導き方も含め表やグラフを用いて内容を深く理解するように努めるとよい。図録や教科書の付録の図表やコラムを読んだり、身の回りの現象に関しても考えると良いだろう。

大問 形式 難易度 内容
1 記述 ★★★☆☆

【力学】運動方程式、摩擦力
運動する台上の小物体

2 記述 ★★★☆☆

【電磁気】電気回路、ホイートストンブリッジ
抵抗とコンデンサー回路

3 記述 ★★★★☆

【波動】光の回折・回折格子
反射型回折格子

4 記述 ★★★★☆

【熱】気体の状態変化、気体の内部エネルギー
気体の状態変化

受験者数および合格者数推移

  受験者数 一次合格者数 二次正規合格者数 合格最低得点/満点 得点率
2023年度 2,086名 352名 127名 254/400 63.5%
2022年度 1,616名 313名 110名 250/400 62.5%
2021年度 1,612名 312名 110名 272/400 68.0%

医師国家試験合格率推移

  全体 新卒
2023年度 91.0% 93.9%
2022年度 94.6% 98.0%
2021年度 88.8% 92.7%
2020年度 94.8% 95.2%

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