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埼玉医科大学の傾向分析2023

2023年度一般入試問題分析

英語

2022年度から試験時間が70分に短縮され、引き続き文法1題+長文4題から成る5題構成であった(前期・後期で問題構成および出題傾向の差はなし)。大問1は文法・語法に関連した適語補充、および語句整序問題。例年基本的なレベルのものばかりであり、1問たりとも落とさないことが望ましい。長文は最後の大問5が例年医学に関連したテーマで、なおかつ他大問の2倍程度の分量があることに留意しよう。ところどころに難しめの医学用語も使われているが、大半は設問を解くにあたって差し支えるものではないため、細部でいちいち立ち止まらず全体 の論旨を掴む方にウェイトを置くことが求められる。また、本年度は特筆して難しい大問はなかったが、年度によっては一部文系寄りのテーマの長文が出題されることもあり、そこで立ち止まってしまったために時間オーバーしてしまうという受験生が続出した。全体の時間配分に十分注意して取り組む必要がある。

大問 形式 難易度 内容
1 マーク ★☆☆☆☆

【文法・語法】文法・語法、語句整序

2 マーク ★★☆☆☆

【長文総合】適語補充、同義語、内容一致

3 マーク ★★★☆☆

【長文総合】適語補充、同義語、内容一致

4 マーク ★★★☆☆

【長文総合】適語補充、同義語、内容一致

5 マーク ★★★☆☆

【長文総合】適語補充、同義語、内容一致

数学

2020年度までは60分であったが、2021年度から試験時間が50分となった。小問集合1題 (2~4問の小問集合)、大問3題の計4問、すべてマーク式の形式と なっている。数学IIIの微積分、場合の数と確率、図形問題の出題頻度が非常に高い。 標準的な問題が多く難問が出題されることはほとんどないが、試験時間が短いので、無駄のない思考や素早く正確な計算力が必要である。また、2023年度の第4問の場合の数・確率の問題は決して難しい問題ではないが、重複・漏れがないよ うに丁寧に数える必要があり、差がつきやすかったであろう。また、第3問のよ うに問題文の読解に時間がかかり、思考を要する図形問題が出題されることもあるので、よく練習しておきたい。制限時間が短いので、素早く解法を導き、無駄のない計算を行う必要がある。普段の学習から実際に手を動かして効率的に答えを得る訓練が必要であろう。

大問 形式 難易度 内容
1 マーク ★☆☆☆☆

【小問集合】
(1)2 次関数の最大値・最小値の条件から、関数を決定する問題
(2) メネラウスの定理を用いて、線分比を求める問題

2 マーク ★★☆☆☆

【積分法】
三角関数・対数関数を含む定積分を置換積分を用いて求める問題

3 マーク ★★★☆☆

【整数の性質】【極限】
座標平面上の格子点の個数と関数の極限値

4 マーク ★★★☆☆

【確率】
4枚のコインを同時に投げたときの、表が出る枚数の最大値・最小値に関する確率

化学

大問3題構成で、試験時間は理科2科目で90分である。難易度は易~標準レベルがほとんどであるが、近年少しずつ難化傾向にあり、時間が足りない受験生も多いのではないかと推測する。2023年度では大問1問 1の硫酸の電離平衡や問2のダイヤモンドとフラーレンのC-Cの数、大問3のアスパルテームなど、事前知識があれば短時間で解けるが、そうでなければ入試会場で1つ1つ考えていかなければならないため、普段の学習においては少し難しい内容であっても積極的に取り組む習慣はつけておきたい。近年、埼玉医科大学の入試問題は理論分野の比重が大きいのが特徴であるため、大問2のような問題は完答できるぐらいに問題演習を積んでおく必要がある。受験者層を考えると、試験時間の割に問題数は多いため、時間配分や問題の取捨選択にも気を配れるようにしておきたい。全体としては75%は取っておきたいところである。

大問 形式 難易度 内容
1 マーク ★★★☆☆

【電離平衡】【結合エネルギー】
硫酸の電離平衡、ダイヤモンドとフラーレン

2 マーク ★★★☆☆

【気体の性質】
ボイルの法則、ドルトンの分圧の法則、蒸気圧

3 マーク ★★★★☆

【アミノ酸とペプチド】
アスパルテームの構造決定、アミノ酸の電離平衡

生物

大問数は、2023年度と2022年度は3題、2019・2021年度は5題、2016~2018・2020年度は6題であり、近年は大幅に減少している。マーク数は、2023年度 21、2022年度32、2021年度23、2020年度45、2019年度54、2018年度47、 2017年度46、2016年度54であり、やはり減少傾向にある。しかし、考察問題や 計算問題などで時間のかかる問題もあり、問題の分量は例年通りで決して少なくなっているわけではないので、時間内に満足に解答するのにはスピーディに解く必要がある。全体として、問題文の読み取りや計算問題の他、考察問題に時間がかかるものがあるので、これらをいかに手際よく解答できるかによって得点に差がつきやすい。特に、設問数が少なくなると1問あたりの配点が高くなるので、1問の取りこぼしが大きな失点に繋がる。計算問題や考察問題への対策を徹底しておく必要がある。

大問 形式 難易度 内容
1 マーク ★★★☆☆

【生物の体内環境の維持】
肝臓のはたらき、自律神経とホルモンの協調

2 マーク ★★★★☆

【生命現象と物質】
遺伝子発現の仕組み、DNA と遺伝子とゲノム

3 マーク ★★★☆☆

【生態と環境】
生態系の物質収支、環境要因と光合成

物理

大問は3問、解答数は例年30前後。大問は、「力学」と「電磁気」から各1問、「熱」「波」「原子」から1問が出題される。21年度に、試験時間が「理科2科目100分」から 「理科2科目90分」に短縮された。22年度に限っては試験時間内に処理しきれる分量と難易度(標準~やや難)であったが、21年度と23年度は試験時間内に解き切ることが困難な分量と難易度(やや難)であった。次年度も21年度や23年度と同様の分量と難易度である場合、難しい設問に時間を掛けるのではなく、標準的な難易度の設問をいかに取りこぼさないかで合否が決まる。理科2科目90分という短い試験時間のなかで見直しを行う余裕はないので、いかに迅速かつ正確に 処理できるかが重要となる。試験の難易度と受験生の学力層にギャップがあるため、目標ラインは低く「60%前後」。

大問 形式 難易度 内容
1 マーク ★★★★☆

【力学】単振動
ゴムひもにつながれた物体の単振動

2 マーク ★★★★☆

【その他】気体の状態変化、音のドップラー効果
[1] ピストンと気体 [2] ドップラー効果

3 マーク ★★★★☆

【電磁気】電流による磁界
直線電流が作る磁場の重ね合わせ

受験者数および合格者数推移

  受験者数 一次合格者数 二次正規合格者数 合格最低得点/満点 得点率
2023年度 1,593名 非公表 76名 245/400 61.3%
2022年度 2,133名 非公表 70名 243/500 60,8%
2021年度 1,934名 非公表 78名 238/400 59.5%
2020年度 1,873名 非公表 64名 320/500 64.0%

医師国家試験合格率推移

  全体 新卒
2023年度 91.5% 93.2%
2022年度 92.0% 93.2%
2021年度 94.6% 96.0%
2020年度 95.9% 99.2%