東北医科薬科大学の傾向分析2023
2023年度一般入試問題分析
英語
2022年度から大問が1つ減って4題構成となり、本年度もそれを踏襲する形となった。かつて出題されていた文法・語法に関する空所補充問題、および同意表現への言い換えを問う語彙問題は出題されず、代わりにひと続きの英文を用いた誤謬指摘問題が出題されたのも2022年度と同様。問題文に「文法・語法・文脈上の誤りを含むものを選べ」とある通り、文法面だけでなく内容面から判断しなければならない問題も一部あることに注意する。長文の難易度や問題の解きやすさについては概ね例年並みであったが、本年度は小児における急性肝炎の増加についての長文が採用され、それに伴い医学用語の理解が必須となるような問いも数問出題されたことに留意しておきたい。幸いにして解答時間は70分と時間的余裕のある試験であるため、一語一句の意味を取り逃がさないよう丁寧に読み進めていきたい。
大問 | 形式 | 難易度 | 内容 |
---|---|---|---|
1 | マーク | ★★★☆☆ |
【長文総合】適語補充、同義語、語句整序、要旨・要約、内容一致 |
2 | マーク | ★★★☆☆ |
【長文総合】適語補充、同義語、適文補充、内容一致 |
3 | マーク | ★★★☆☆ |
【正誤】文法・語法、語彙力 |
4 | マーク | ★★☆☆☆ |
【語句整序】和文あり |
数学
2023年度は大問3題の構成で試験時間は70分、すべてマーク式である。設立以来、一定した出題形式をとっており、この傾向は2024年度も大きくは変わらないだろう。出題分野は幅広いが、特に頻出となっているのは微積分、場合の数・確 率である。特に、やや複雑な計算を要する微積分の問題は継続的に出題されており、2023年度は大問3題中2題の出題がある。また、2021年度、2022年度と出題がなかった場合の数・確率が2023年度には出題され、今後も注意が必要である。2021年度は易化したものの、2022年度、2023年度はやや難化し受験生が時間内に解答するのが難しい出題がいずれの年度にも見られた。こういった問題は差がつかず、 基本的には基礎~標準レベルの出題が多く、まずは標準レベルまでの問題をしっかりとできるようにしたい。
大問 | 形式 | 難易度 | 内容 |
---|---|---|---|
1 | マーク | ★★★☆☆ |
【積分法】【微分法】 |
2 | マーク | ★★★★☆ |
【確率】 |
3 | マーク | ★★★☆☆ |
【積分法】 |
化学
大問4題構成で、試験時間は理科2科目で120分である。総マーク数は25で安定している。大学設立当初は難易度が高めであったが、近年難易度は易化傾向にあり、1問のミスが致命傷になる可能性がある。2023 年度でいえば【IV】問22以外は標準レベルであるため、丁寧に解答していきたい。東北医科薬科大学の出題の特徴としては、正誤問題(組み合わせ)が5題ほど出題されている点である。正誤問題は正しい知識がないと得点にはつながらないため、日頃から教科書や資料集を用いて理論的に学習するように心掛けてほしい。また、他大学に比べて化学の歴史や無機化学の知識問題が比較的多い点にも今後注意が必要である。全体としては医学部に向けての受験勉強をしていれば必ず出くわすような標準問題からの出題が多く、それらでミスなく確実に点数を稼ぐことが一次試験突破のカギになる。一次試験を突破するには85%は取っておきたい。
大問 | 形式 | 難易度 | 内容 |
---|---|---|---|
1 | マーク | ★★☆☆☆ |
【化学結合と結晶】 |
2 | マーク | ★★★☆☆ |
【化学平衡】 |
3 | マーク | ★★☆☆☆ |
【金属イオンの分離】 |
4 | マーク | ★★★☆☆ |
【炭化水素】 |
物理
60分の試験時間に対してマーク数が40前後と多めであることが多い。また各大問や小問も難度が高いものが出題されることが少なくないため、難しいところは後に回すという心構えをしておく必要がある。2021年度入試の過去問などを用いて難度の変わり目を観察するとよいだろう。2023年度入試は、大問3つでマーク 数は34だった。2022年度入試に比べると難度は下がり、分量も減ったが試験時間に余裕があるとは言えない。大問1は保存則を適用すれば解ける問題ではあるが、特に問5は計算を工夫しないと手間がかかりすぎる。大問2はキルヒホッフの第2法則を用いて電圧について考える問題であるが、やや題意が掴みにくい。大問3は標準的な出題で、また小問ごとの連続性も小さいため点数はとりやすい。全体としては、標準的な設問で手堅く得点することを前提として、やや難しい設問でどれだけ点数を上積みできるかが勝負の分かれ目となるだろう。
大問 | 形式 | 難易度 | 内容 |
---|---|---|---|
1 | マーク | ★★★☆ |
【力学】運動量の保存、力学的エネルギーの保存 |
2 | マーク | ★★☆☆ |
【電磁気】キルヒホッフの法則 |
3 | マーク | ★★★☆ |
【波動】波の式、気柱の共鳴 |
生物
全問マークシート形式の出題で、医学部の新設から8年目となる今年は、過去7年の入試と同様の出題であり、形式が安定して来た。ただし、マーク数は、38~50と上下がある。時間のかかる考察問題が含まれているため、解答時間にあまり余裕はない。また、2022年度とはことなり、[III]に多めの分量が割り当てられていて、問題を見ながら適切に時間配分できることも重要である。全体として、大問2題は、基礎~標準レベルの問題で得点しやすいので、ここで確実に得点し、難易度の高い出題が見られる残りの1題でどれだけ取りこぼさないようにするかで得点差がつく傾向がある。基本レベルの問題を手際よく処理し、難しい問題に時間をかけるような解き方を心掛けることが対策となる。分野としては、バイオテクノロジーが頻出であるので、対策をして臨みたい。
大問 | 形式 | 難易度 | 内容 |
---|---|---|---|
1 | マーク | ★★★☆ |
【生命現象と物質】遺伝子発現の仕組み |
2 | マーク | ★★★☆☆ |
【生物の体内環境の維持】腎臓のはたらき、ホルモンと内分泌腺 |
3 | マーク | ★★★☆☆ |
【生殖と発生】メンデルの研究と法則、染色体地図 |
受験者数および合格者数推移
受験者数 | 一次合格者数 | 二次正規合格者数 | 合格最低得点/満点 | 得点率 | |
---|---|---|---|---|---|
2023年度 | 1,679名 | データなし | 321名 | 非公表 | - |
2022年度 | 1,582名 | データなし | 352名 | 非公表 | - |
2021年度 | 1,684名 | 552名 | 118名 | 非公表 | - |
2020年度 | 1,582名 | 549名 | 100名 | 非公表 | - |
医師国家試験合格率推移
全体 | 新卒 | |
---|---|---|
2023年度 | 98.9 | 98.9 |
2022年度 | 96.8 | 96.8 |
2021年度 | 非公表 | |
2020年度 |