東海大学医学部の傾向分析2023
2023年度一般入試問題分析
英語
例年同様、試験時間70分、大問8問の構成。出題内容は長文総合問題、文法・ 語法問題、語彙問題、会話問題、文整序問題、ビジュアル問題、和訳問題、英訳 問題など多岐にわたる。問題量と試験時間を考慮すると、ある程度処理速度が要求される試験といえる。全体としての難易度も例年と同様である。マーク式問題は語彙問題や会話問題の一部を除けば総じて基礎的・標準的なレベルの問題が多く、高得点勝負になるため、確実に得点を重ねたい。最終的には和訳、英訳といった記述問題の得点が合否を分けることが予想されるので、マーク式問題に時間を費やしすぎず、記述問題にもしっかりと時間をかけられるよう時間配分には十分に気をつけたい。過去問演習に取り組む際は、目安として「マーク式問題50分、 記述式問題20分」といった風に配分を意識して練習を重ねるとよいであろう。
大問 | 形式 | 難易度 | 内容 |
---|---|---|---|
1 |
マーク |
★★★☆☆ |
【長文総合】内容一致、同義語 |
2 | マーク | ★★★☆☆ |
【文法・語法】文法・語法、語彙力 |
3 | マーク | ★★★☆☆ |
【語彙】同義語 |
4 |
マーク |
★★★☆☆ |
【会話】同義語、内容一致 |
5 | マーク | ★★☆☆☆ |
【文整序】文整序 |
6 | マーク | ★★☆☆☆ |
【ヴィジュアル】内容一致 |
7 | 記述 | ★★★☆☆ |
【和訳】和訳 |
8 | 記述 | ★★★☆☆ |
【英訳】英訳 |
数学
[1]は、小問集合で出題範囲から満遍なく基本的な計算問題が出題されている。やや難しめの問題も入っているので、後回しにするなど時間配分にも注意したい。 2023 年度は(5)以外は完答したい。[2]空間図形に関する問題でベクトルを用いて四面体の体積を求める。典型的な処理が出来れば高得点が狙える。四面体の体積を求める計算は頻出なので求められるようにしておきたい。[3]絶対値を含む漸化式で、問題がやや煩雑に見えるため、落ち着いて考えたい。問題の前半で漸化式の仕組みを理解できるかどうかがポイントとなる。2023年度入試から、出題範囲に数学IIIが含まれなくなった。2022年度と比べると難易度としてはやや下がっていると言えるだろう。大問は、比較的丁寧に誘導されているため、問題をしっかりと読んで取り組みたい。小問集合では高得点を狙い、大問では典型処理は確実に得点できるだけの力をつけておきたい。
大問 | 形式 | 難易度 | 内容 |
---|---|---|---|
1 | 答のみ | ★★☆☆☆ |
【小問集合】 |
2 | 答のみ | ★★★☆☆ |
【空間のベクトル】 |
3 | 答のみ | ★★★☆☆ |
【数列】 |
化学
理科1科目70分という形式は変わらず、問題数や分量についても2022年度か ら変化はなかった。大問1は満点を目指したい内容であった。大問2は経験値に よる差が出る内容だった。大問3では問1と問2の熱化学は標準的な内容であっ た一方で、問3や問5では扱っている反応の両辺の係数和が等しいことを利用し てうまく立ち回れたかどうかで実力差が付く内容だった。大問4は基本~標準レ ベルの出題が多かったが、問4の正誤問題はレベルがやや高かった。大問5では 問3で出題された「英語で」という指定には驚いた受験生もいただろう。東海大 学医学部の出題では同様の指定が2021年度にも出題されていたので、教科書に付 された英語表記にも気を配るようにしたい。計算問題であっても、選択肢問題で あるという特性を踏まえて要領よくこなすことが求められた。
大問 | 形式 | 難易度 | 内容 |
---|---|---|---|
1 | マーク・記述 | ★★★☆☆ |
【酸化還元】【電気分解】 |
2 | マーク・記述 | ★★★☆☆ |
【化学平衡】 |
3 | マーク | ★★★★☆ |
【熱化学】【化学平衡】 |
4 | マーク・記述 | ★★★☆☆ |
【高分子化合物】【浸透圧】 |
5 | マーク・記述 | ★★★☆☆ |
【有機化学】 |
生物
理科は1科目で70分、大問数は5題と例年通りであった。2023年度にも見られ るが、5題中2~3題ほどは基本的な内容を中心に問題が組まれるが、残りの問題 にはやや高度な内容が含まれることが多い。問題文が長く、かつ論述問題や計算 問題、実験考察問題など時間を要する問題も出題されており、70分間あるとはい え、試験時間内にすべて処理するのは厳しいと思われる。また、全体的に問題の 内容や意図が汲み取りにくい箇所が多く、問題を解く作業に加えて、問題の解釈 にも時間を要することが多い。対策としては、日頃から用語を少ない字数で的確 に説明したり、典型的な計算問題を短時間で正確に処理する練習を行うとともに、 やや難易度の高い実験考察問題を通して、図表を読み取る読解力なども身に着け ておくと良いだろう。それに加えて、遺伝分野の出題頻度が高いため、遺伝の計算問題もしっかりと練習を積んでおきたい。
大問 | 形式 | 難易度 | 内容 |
---|---|---|---|
1 | 記述 | ★★★☆☆ |
【生命現象と物質】光合成のしくみ、窒素同化 |
2 | 記述 | ★★☆☆☆ |
【生物の多様性と生態系】個体群の密度と成長 |
3 | 記述 | ★★★☆☆ |
【生物の進化と系統】進化の仕組み、集団遺伝学 |
4 | 記述 | ★★★★☆ |
【生物の環境応答】筋肉と筋収縮 |
5 | 記述 | ★★★★☆ |
【生命現象と物質】遺伝子の調節、免疫 |
物理
大問4問のうち、2問は5択問題。小問数は約20問。難易度は標準~難レベル の問題まで幅広い。2分野以上にまたがる融合問題も比較的多く出題される。目標 点には幅があり、5割程度のこともあれば8割近くとらなければならない年度があ る。解答時間は理科1科目70分なので比較的長いが、作業量の多い問題が出題さ れたときには時間は厳しい。2022年度1日目の問題は、標準的なものが多く、時 間さえかければ完答することもできる内容だった。大問1のばねでつながれた2物体の運動の問題は典型題。類題を扱ったことがあれば完答できるだろう。大問2 の磁場中の導体棒の運動。難易度は高いが誘導に乗れたかどうかで差がつく。大 問3のくさび形薄層の問題は完答できる。大問4の気体の状態変化も完答したい。 比較的傾向の似た問題を繰り返し出題しているので、対策として過去問を数年分 解いておくのは有効。
大問 | 形式 | 難易度 | 内容 |
---|---|---|---|
1 | 記述 | ★★★☆☆ |
【力学】単振動 |
2 | 記述 | ★★★★☆ |
【電磁気】電磁誘導と誘導起電力 |
3 |
選択・記述 |
★★★☆☆ |
【波動】薄膜の干渉 |
4 | 選択・記述 | ★★★☆☆ |
【熱】気体の状態変化、気体の内部エネルギー |
受験者数および合格者数推移
受験者数 | 一次合格者数 | 二次正規合格者数 | 合格最低得点/満点 | 得点率 | |
---|---|---|---|---|---|
2023年度 | 3,186名 | 313名 | 69名 | 非公表 | - |
2022年度 | 2,005名 | 298名 | 86名 | 非公表 | - |
2021年度 | 2,779名 | 311名 | 92名 | 非公表 | - |
2020年度 | 3,205名 | 339名 | 92名 | 非公表 | - |
医師国家試験合格率推移
全体 | 新卒 | |
---|---|---|
2023年度 | 79.2% | 84.4% |
2022年度 | 82.8% | 85.7% |
2021年度 | 87.6% | 89.9% |
2020年度 | 90.1% | 93.2% |