獨協医科大学の傾向分析2023
2023年度一般入試問題分析
英語
前年まで出題されていた大問2の文整序問題がなくなった。それ以外の問題構成には変更がないものの、時間的制約が大きいという従来からの傾向は変わらない。大問1Bの長文は、近年の獨協医大の出題の中では難しめ。解きにくいと感じた設問は後回しにして、どんどん読み進めるべき。また読み進めながらABそれぞれの最後にある内容一致問題の各選択肢に目を通すことが不可欠となる。大問2Bは選択肢に該当する英語の構造を吟味することで解答を絞ることができる。大問3の語句整序は、落ち着いて取り組めば正解できる設問が多いものの、時間的制約を考慮に入れると標準的とは言いがたい。過去問演習を通して解く順番と所要時 間の目安をあらかじめ決めておくことが必要となる。理想的には、大問2B(文挿入)以外を50分以内で片付けたい。大問2Bの難易度は一定していない。はまると時間を浪費してしまうだけなので、最後にまわすべき。
大問 | 形式 | 難易度 | 内容 |
---|---|---|---|
1A | マーク | ★★★☆☆ |
【長文総合】適語補充、内容一致/p> |
1B | マーク | ★★★★☆ |
【長文総合】適語補充、要旨・要約、内容一致 |
2A | マーク | ★★☆☆☆ |
【会話】空所補充、内容一致 |
2B | マーク | ★★★★☆ |
【長文その他】適文補充 |
3 | マーク | ★★★★☆ |
【語句整序】和文あり |
4 | マーク | ★★★☆☆ |
【文法・語法】文法・語法、語彙力 |
数学
全問マーク式で大問4題の構成。試験時間は60分で2022年度と同じであった。獨協医科大学の数学の問題の分量はそれなりに多いので、できる問題からテンポよく進めていく必要がある。出題分野は幅広いが、に数学IIIの微積分と確率に 関してはここ5年は毎年出題されている。とはいえ、奇をてらうようなタイプではなく、確率の土台となる考え方や数学IIIの微積分の各種計算をきちんと定着させておけば問題ないレベルである。次いで複素数平面、数列、図形問題、指数対数などがよく出題されている。標準レベルの難易度で、かつ解いた経験がありそうな問題が多いため、きちんと正確に解答する計算能力は大切になってくるであろう。2023年度の1日目に関しては、大問2で二次曲線に関するいろいろな知識が問われたためここの対策がきちんとできていたかどうかで差がついたかもしれない。大問1の確率と大問3の空間ベクトルは完答を目指したかった。
大問 | 形式 | 難易度 | 内容 |
---|---|---|---|
1 | マーク | ★★★☆☆ |
【確率】 |
2 | マーク | ★★★☆☆ |
【平面上の曲線】 |
3 | マーク | ★★★☆☆ |
【空間のベクトル】 |
4 | マーク | ★★★★☆ |
【積分法】数列 |
化学
理科2科目で120分。総マーク数は36。全体としては2022年度と大きな変化は見られなかった。試験時間に対してボリュームのある問題構成で、これまで同様、手早い取り組みが必要である。大問1の小問集合の総マーク数は10と、これも例 年通り。「誤りを含むものを一つ選」ぶ問題などは手際よく正解を見つけたい。マーク式であるため、消去法で選択肢を絞るなどができればかかる時間も短縮できるはずだ。大問2もなるべく短時間で正答を導きたい。大問3からは知識量や経験値の多寡によって要する時間や正答率に大きく差がつくだろう。それでも各大問内には基礎的な力があれば得点できる問題も少なくないので、そういったところで着実に得点を重ねていく必要がある。自力で解ける問題を見抜いてそこをしっかりと得点する意識をもって取り組むことが求められた。
大問 | 形式 | 難易度 | 内容 |
---|---|---|---|
1 | マーク | ★★☆☆☆ |
【小問集合】 |
2 | マーク | ★★☆☆☆ |
【気体の溶解度】 |
3 | マーク | ★★★☆☆ |
【2続元素】 |
4 | マーク | ★★★☆☆ |
【芳香族化合物】 |
5 | マーク | ★★★☆☆ |
【糖類】 |
生物
理科2科目で120分。例年どおり、大問5題、出題形式は「計算あり」の「マーク式」である。マーク数は46。2020年度までは理科2科目で100分かつマーク数も50を超え、時間に対する問題量が多かったが、2021 年度からは理科2科目で120分と時間が長くなり、かつマーク数も2021年度が40、2022年度が37と大幅 に減少し時間的な余裕が生じたが、2023年度はマーク数が再び増加した。全体的に基本~標準レベルの問題を中心に出題されているものの、ほとんどの大問でやや難易度の高い考察問題や計算問題が出題されており、時間に余裕はないと思われる。出題範囲も幅広く、『生態と環境』や『生物の進化と系統』からも出題されているので、分野の偏りなく標準的な問題や典型的な実験考察問題を手際よく解けるようにしておきたい。
大問 | 形式 | 難易度 | 内容 |
---|---|---|---|
1 | マーク | ★★★☆☆ |
【生命現象と物質】細胞の構成物質、物質輸送とタンパク質 |
2 | マーク | ★★★☆☆ |
【生命現象と物質】光合成のしくみ、窒素同化 |
3 | マーク | ★★★☆☆ |
【生命現象と物質】DNA の複製、バイオテクノロジー |
4 | マーク | ★★★☆☆ |
【生物の環境応答】神経系の種類と発達、視覚と視覚器 |
5 | マーク | ★★★☆☆ |
【生物の進化と系統】生命の起源と化学進化、ヒトへの進化 |
物理
それぞれの大問の難易度は標準的である。小問数は22であった。手をつけやすい問題が例年よりやや多かった。前から順番に解いていっても調子良く解くことができれば試験時間が大きく不足することはなかっただろう。とはいえ試験時間が足りなかったと思われる年も多い。各大問の前半の解きやすい小問から手をつけ、点数を確保してから残った時間で後半が解けそうな大問に取り組むことを想定しておくとよいだろう。2021年度入試の過去問などを用いて時間配分の練習をしておきたい。大問1の小問集合には目立って難しいものはない。大問 2、4 は典型的である。大問3は起電力より大きな電圧を得るための装置に関する問題で、 同様の問題に解き慣れておいた方がよいだろう。大問5は非等速円運動と力学的エネルギー保存則、運動量保存則の問題であるが、解き方さえわかれば手間はあまりかからず解くことができる。
大問 | 形式 | 難易度 | 内容 |
---|---|---|---|
1 | マーク | ★★★☆☆ |
【小問集合】相対速度、p-V 図、衝撃波、RLC 直列交流回路 |
2 | マーク | ★★★☆☆ |
【熱】気体の状態変化、単振動 |
3 | マーク | ★★★☆☆ |
【電磁気】コンデンサー、キルヒホッフの法則 |
4 | マーク | ★★★☆☆ |
【原子】光電効果 |
5 | マーク | ★★★☆☆ |
【力学】円運動、運動量の保存 |
受験者数および合格者数推移
受験者数 | 一次合格者数 | 二次正規合格者数 | 合格最低得点/満点 | 得点率 | |
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2023年度 | 2,017名 | 502名 | 127名 | 非公表 | - |
2022年度 | 2,738名 | 451名 | 142名 | 非公表 | - |
2021年度 | 2,269名 | 450名 | 169名 | 非公表 | - |
2020年度 | 1,824名 | 381名 | 103名 | 非公表 | - |
医師国家試験合格率推移
全体 | 新卒 | |
---|---|---|
2023年度 | 93.0% | 95.2% |
2022年度 | 92.8% | 94.7% |
2021年度 | 94.4% | 97.2% |
2020年度 | 88.5% | 89.1% |