聖マリアンナ医科大学の傾向分析2023
2023年度一般入試問題分析
英語
2021度は英語・数学を合併した変則的な試験時間であったが、直近2年度は再び英語のみで90分という元通りの時間に戻っている。大問構成は、2022年度より長文2題+会話問題1題から成る3題構成が続いている。長文のテーマは、医学を含め科学に関するものが中心であるが、語彙レベルは標準的で、基礎・基本への理解が如実に反映される試験となっている。設問は内容説明を記述で求めるものが多く、近年では「100字~ 150字以内」での記述を求める出題も含まれている。 特定の下線部を和訳させるというよりは、ピンポイントではない文脈・論理展開 に対する理解を求める傾向が顕著。日頃から段落構成、論理構造を意識したトレー ニングをしていくことが肝要である。大問3の会話問題は、実質的には文法正誤 問題としての色合いが強いものとなっており、過去に出題されていた誤謬指摘問題が姿を変えて復活したものと考えてよいだろう。
大問 | 形式 | 難易度 | 内容 |
---|---|---|---|
1 |
記述 |
★★★☆☆ |
【長文総合】適語補充、要旨・要約 |
2 | 選択 | ★★★☆☆ |
【長文総合】適語補充、内容一致 |
3 | 選択 | ★★☆☆☆ |
【会話】適文補充 |
数学
2023年度は大問4題の構成で試験時間は90分、大問1~3 は答えのみ、大問4は答えのみの問題と証明を含む記述式であった。2021年度のみ英数合わせて150分であったが、2022年度以降は2020年度以前に戻り、出題形式などは例外である 2021年度を除いて安定している。データの分析が頻出になっている数少ない大学の一つである。あまり出題されない分野だからと言って油断せず、本学受験生にはしっかりと対策をして入試に望んでもらいたい。また、整数の性質も多々問われており、いろいろな分野を満遍なく学習する必要がある。ここ数年は全体的な 難易度が以前より下がっているが、易しい問題と取り掛かりにくい問題のメリハリがはっきりしている年も多々ある。まずは入試基礎レベルの問題に数多く取り組み、例年大問4が数学A、数学Bを中心とする証明問題を含んでいるので、証明問題にも積極的に取り組んでいきたい。
大問 | 形式 | 難易度 | 内容 |
---|---|---|---|
1 | 答のみ | ★★☆☆☆ |
【小問集合】 |
2 | 答のみ | ★★★☆☆ |
【指数関数・対数関数】 |
3 | 答のみ | ★★★★☆ |
【平面上の曲線】【図形と方程式】 |
4 | 記述 | ★★★★★ |
【整数の性質】 |
化学
大問2問構成で、試験時間は理科2科目で150分である。2020年度までは大問3~4問構成で、半分以上は有機化学、特に高分子化合物からの出題であったが、 2021年度からは大問2問構成となり、有機化学からの出題は極端に減少、特に高分子化合物は2年連続で出題されなかった。しかし、2023年度になって高分子化合物からの出題が復活した。とはいえ、過年度に見られるような難易度の高い内容ではなく、教科書に準拠した標準レベルの出題になっており、非常に取り組みやすい内容である。また、標準的な論述問題や描図問題は引き続き数問出題されているが、論述問題はいずれも字数制限ではなく「2行以内で」など行数制限のため、 日頃から少し長めに論述できるように訓練しておく必要がある。その際は用語をただ覚えるのではなく、どのような現象が起こっているのかを、分子レベルでしっ かりと理解しておくことが望まれる。全体として75%は得点したい。
大問 | 形式 | 難易度 | 内容 |
---|---|---|---|
1 | 記述 | ★★★☆☆ |
【熱化学方程式】エネルギー図とヘスの法則 |
2 | 記述 | ★★★☆☆ |
【アミノ酸】【油脂】等電点、ペプチドの高次構造、油脂 |
生物
聖マリアンナの生物は、全問記述式で、前期と後期は同様の出題形式である。 用語を答える問題と論述問題を中心に出題される。論述問題では、以前は字数制限の指定がつくものが多かったが、近年は行数制限の指定(「〇行以内で説明しな さい」など)がつくものが多い。本年も行数制限であった。出題形式は、計算問題や論述問題の他、描図問題など多彩である。例年、大問3 題が出題され、問題量は多いが、試験時間が150分(理科2科目) と長いので、手際よく解くことができれば試験時間が大幅に不足することはない。ただし、記述式で論述問題が多く、 実験考察問題も出題されるため、論述や考察が苦手な場合は時間を要する。難易度は、基本から標準的な問題が多いが、前例のないオリジナルな出題が見られることもある。論述問題への対策が必要不可欠であり、日頃から生命現象について説明するなど、アウトプットを意識した練習に取り組んでおくとよい。
大問 | 形式 | 難易度 | 内容 |
---|---|---|---|
1 | 記述 | ★★★☆☆ |
【生殖と発生】動物の生殖細胞形成、生物の系統分類 |
2 | 記述 | ★★★☆☆ |
【生物の環境応答】自律神経とホルモンの協調、中枢神経系とそのはたらき |
3 | 記述 | ★★★☆☆ |
【生態と環境】個体群の密度と成長、個体間の情報伝達 |
物理
大問は5問。大問1は、数値もしくは数式の穴埋め問題からなるやや易~標準レベルの小問集合。大問2~5は、標準レベルが中心の記述式問題。導出過程の 記述や単位の記入を求められることが多く、またグラフの選択問題が出題されることも多い。出題分野の偏りはなく、原子分野からも毎年出題されている。全体として時間に対する分量が多いので、重い数値計算は後回しにするなどの工夫が必要。また、教科書の隅に記載されているような知識を問われることが多いので、 教科書を一通り読んでおくとよい。他大学の医学部の試験と比較した場合、長い試験時間とそれに比例した大問数、および抑えられた問題難易度から、本学の受験者層にとっては、「日頃の学習の成果が反映されやすい」「本番の運に左右されにくい」試験と言える。
大問 | 形式 | 難易度 | 内容 |
---|---|---|---|
1 | 記述 | ★★☆☆☆ |
【小問集合】 |
2 | 記述 | ★★★☆☆ |
【力学】運動エネルギーと位置エネルギー、単振動 |
3 | 記述 | ★★★☆☆ |
【電磁気】】電磁誘導、電流が磁界から受ける力 |
4 | 記述 | ★★☆☆☆ |
【波動】光の干渉・ヤングの実験、反射による位相変化 |
5 | 記述 | ★★★☆☆ |
【熱】気体の状態変化 |
受験者数および合格者数推移
受験者数 | 一次合格者数 | 二次正規合格者数 | 合格最低得点/満点 | 得点率 | |
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2023年度 | 2,256名 | 526名 | 171名 | 非公表/400 | - |
2022年度 | 1,789名 | 524名 | 144名 | 非公表/400 | - |
2021年度 | 1,899名 | 489名 | 119名 | 非公表/400 | - |
2020年度 | 1,993名 | 523名 | 129名 | 非公表/400 | - |
医師国家試験合格率推移
全体 | 新卒 | |
---|---|---|
2023年度 | 89.1% | 88.9% |
2022年度 | 91.8% | 91.5% |
2021年度 | 95.8% | 96.5% |
2020年度 | 95.6% | 95.4% |