全国私立大学医学部入試問題分析
全国私立大学医学部入試問題分析-2023年度
- 岩手医科大学
- 東北医科薬科大学
- 獨協医科大学
- 埼玉医科大学
- 帝京大学医学部
- 聖マリアンナ医科大学
- 日本医科⼤学
- 東海⼤学医学部
- 愛知医科大学
- 藤田医科⼤学
- 大阪医科薬科大学
- 関西医科⼤学
- 近畿大学医学部
- 兵庫医科⼤学
- 川崎医科⼤学
- 福岡大学医学部
- 久留米⼤学医学部
大阪医科薬科大学
英語
試験時間80分。大問1は英文和訳3問と60字説明問題,大問2は英文和訳3問,大問3は和文英訳3問という前年度前期と同様の形式。昨今の私立医学部では珍しい記述のみの問題構成であり,国公立志望者にとっては特別な試験対策があまり必要ではない。実際に国公立医学部受験者が併願校として受験する傾向にあるため,答案に求められる完成度は非常に高いと予想される。2023年度はどの大問も標準的な難易度であり,できる限りミスによる失点を押さえて確実な答案作成ができたかどうかで差がついただろう。英文和訳に関しては,構造そのものが平易であっても,修飾関係や並列関係の判断を誤ると大きな失点につながる可能性がある。和文英訳に関しては,「秀でる」,「批判的に分析する」,「反省」,「~してはじめて」,「優れた技量」といった表現に必要な語彙力を備えていれば,英文そのものを構成することはさほど難しくない。
大問 | 形式 | 難易度 |
---|---|---|
1 | 記述 | ★★★☆☆ |
2 | 記述 | ★★☆☆☆ |
3 | 記述 | ★★★☆☆ |
関西医科大学
英語
試験時間80分。2022年度までの長文のみ3題という形式から、長文2題、自由英作文1題へと変化した。こうした大問構成の大きな変化は,関西医科大学においてはよくあることなので,前年度過去問を研究して試験に臨んでも,予想を超えた変化があることは想定しておく必要がある。そうした中で長文内容一致問題は本文の該当部分と付き合わせて順に検討すれば解答できる問題であり,標準レベルと言える。そこをしっかりと得点することが重要である。大問2で出題される、文中にでてきた語句の定義を本文中の表現を使って答えさせる問題については,本文中の表現をうまく利用して答えれば、さほど難しくない。選択肢なしの適語補充問題が関西医科大学の長文における大きな特徴であり,事前に過去問を使ってある程度の出題パターンに慣れておくことも必要である。長文の分量は増加傾向にあるので,速読力を養っておくことが求められる。
大問 | 形式 | 難易度 |
---|---|---|
1 | 記述 | ★★★☆☆ |
2 | 記述 | ★★★★☆ |
3 | 記述 | ★★★☆☆ |
近畿大学医学部
英語
2022年度と形式は同様だが,トータルの分量は190語ほど減少した。前半(A)~(C)が標準レベルに近づいたことで、後半の長文にもしっかり時間を割くことができる。長文に関しても、設問の難易度が低下し取り組みやすい。ただ、これまで(C)で出題される傾向にあった生物系の内容が大問(DE)に出題されており、これまで以上に生物系の背景知識を要する傾向になっていることに注意が必要である。最後の(H)については、900語程度の長文で分量が多めであるが、段落毎に設問が用意されているので、他の長文問題よりは戦略としてはシンプルに取り組める。全体的に語彙レベルがやや高く,文章の細部の正確な読み取りと全体像の概観をバランス良く行えるような総合的な読解力が要求される。時間配分については,最初の大問A~Cを10分で終わらせ,長文読解に時間を割くようにしたい。
大問 | 形式 | 難易度 |
---|---|---|
1 | マーク | ★★★★☆ |
2 | マーク | ★★★★☆ |
3 | マーク | ★★★☆☆ |
4 | マーク | ★★★☆☆ |
兵庫医科大学
英語
私立大医学部で近年珍しい、オーソドックスな記述式問題である。大問数に変化があり、全文和訳の大問が姿を消した。これにより試験時間内に解答を仕上げることが極めて容易になったが、その分ミスの許されない高得点勝負になったと予想される。文章内容はライフ・スタイル、医療全般といったように多岐にわたる。和文英訳はこれまで通り国公立二次レベルの力が要求される。テーマは絞りにくいが、毎年いわゆる逐語訳では英語にならないタイプの和文が出題されている。従って単語ばかりにとらわれず、伝えるべき内容を考えた上で平易な英語をうまく利用して解答を仕上げるといった練習が必要。英文和訳についても、構造を正確に捉えつつも、日本語として意味のわかる記述とするには工夫の必要な箇所が下線部として問われる傾向にあり、より深く内容を理解する力が求められる。全般に記述力の有無が大きく得点に影響する良問である。
大問 | 形式 | 難易度 |
---|---|---|
1 | 記述 | ★★★☆☆ |
2 | 記述/マーク | ★★★☆☆ |
3 | 記述 | ★★★☆☆ |
4 | 記述 | ★★★★☆ |
川崎医科大学
英語
試験時間80分。2022年度と同じ3問構成。2022年度とは異なり、2021年度以前と同じく大問3のほうが大問2より語数・設問数ともに多くなった。大問1の文法・語法4択問題は従来に比べ前置詞の出題が減り、品詞・語法・熟語等語彙に関する出題の割合が増えている。長文問題では従来,医師としての心構え,健康維持のためのヒント,話題になったビジネス本からの引用,仕事や生活の知恵等に関する出題が多く、2023年度度は大問2が「感情が伝播すること」に関する英文,大問3が「私が数学教師になって必要と感じたこと」に関する英文。どちらも語彙は平易で読みやすく、設問に段落番号の指示があったり、問題文の順に設問が作られる等取り組みやすくなっている。試験時間には余裕があるので、長文問題2問にしっかり時間をかけ完答したい。
大問 | 形式 | 難易度 |
---|---|---|
1 | マーク | ★★☆☆☆ |
2 | マーク | ★★★☆☆ |
3 | マーク | ★★★☆☆ |
福岡大学医学部
英語
試験時間70分。大問の内訳は〔Ⅰ〕英文和訳1問,〔Ⅱ〕長文読解の内容一致4問,〔Ⅲ〕短文空所補充四択8問,〔Ⅳ〕発音・アクセント複合問題6問,〔Ⅴ〕語句整序4問という構成である。〔Ⅳ〕が「異なるもの」を選ぶ形式になったこと以外は大きな変化はない。福岡大学の問題は時間内に解ける分量であるので,一つひとつの問題を確実に点数に繋げていきたい。〔Ⅱ〕は解答1つあたりの配点が大きいと予想されるので,ケアレスミスには要注意である。〔Ⅲ〕は近年,「適しているもの」・「適していないもの」を選ぶ形式が頻繁に入れ替わっている。後者の場合には難化するので,落ち着いて解ける問題を見極めよう。〔Ⅳ〕では発音・アクセントを学習しているかどうかではっきりと差が出るので対策が不可欠である。〔Ⅰ〕と〔Ⅴ〕は,これらの出来が合否の分かれ目であるのでしっかり時間を充てるようにしたい。全体的には昨年並みの難易度。目標は75%。
大問 | 形式 | 難易度 |
---|---|---|
1 | 記述 | ★★★☆☆ |
2 | 記述 | ★★☆☆☆ |
3 | 記述 | ★★★☆☆ |
4 | 記述 | ★☆☆☆☆ |
5 | 記述 | ★★☆☆☆ |
久留米大学医学部
英語
試験時間90分。□1は短文空所補充8問,□2は不要文削除2問,□3は文中語句整序4問,□4は文中空所補充6問と内容一致8肢3択,□5は長文内容一致6問,□6は和文の英語要約と英文の日本語要約各1問の問題構成となっており,2022年度と比べて変化はない。2023年度前期の□2は解きやすい問題であったが,2022年度推薦の□2は同じ不要文選択であったものの,かなり難しい問題が出題された。今後の入試でも不要文を絞り込みにくい問題が出題される可能性があるので要注意である。□3は英語の学力が反映されやすく,点差がつく問題となっているので過去問でたくさん練習しておこう。□2〜□5は比較的新しい医学系の話題から出題されており,背景知識の有無も影響するため,英語の学習はもちろんのこと,普段から医学系の時事問題に触れておきたい。全体としては2022年度前期よりもやや難しくなっている。目標は65%。
大問 | 形式 | 難易度 |
---|---|---|
1 | マーク | ★★★★☆ |
2 | マーク | ★☆☆☆☆ |
3 | マーク | ★★★☆☆ |
4 | マーク | ★★★☆☆ |
5 | マーク | ★★★☆☆ |
6 | 記述 | ★★★☆☆ |