医学部受験一筋医学部進学予備校メビオ

日本医科大学の傾向分析2021

2021年度一般入試問題分析

英語

試験時間90分。2020年度の大問Ⅰ(記述式長文)・大問Ⅲ(適語補充)・大問Ⅴ(マーク式長文)の各スタイルが1つの大問に併合され、その分文章量も多くなった(約2,000語)。しかし全体としての分量にはあまり変化がなく、長文そのものもトピックごとにPartで区切られているなど、対立構造の明らかな読みやすいものであった。形式もほぼ2020年度通りで、本質的に要求される力は変わっていないと考えられる。日本医科大学の内容一致問題は細部の検討が求められる難問が多いため、本文や選択肢の一語一句を慎重に参照することが求められる。幸い試験時間は90分と長めであるため、落ち着いて精読したい。

大問 形式 難易度 内容
1

記述・マーク

★★★☆

【長文総合】適語補充、文挿入、内容一致、要旨・要約

「臓器提供に対する同意のとり方」に関する英文。2020年度の大問Ⅰ(記述式長文)・大問Ⅲ(適語補充)・大問Ⅴ(マーク式長文)の各スタイルが1つの大問に併合され、その分文章量も多くなった。しかし全体としての分量にはあまり変化がなく、長文そのものもトピックごとにPartで区切られているなど、対立構造の明らかな読みやすいものであった。マーク式問題では、例年通りChoose ALL型の内容一致問題が2問出題された。

2 マーク ★★☆☆

【発音・アクセント】発音・アクセント、語彙

発音・アクセント、および語彙に関する一問一答形式の問題。語彙は2020年度に比べると易しめの印象であり、8割以上は確保しておきたいところ。

3 記述 ★★☆☆

【作文】自由英作文

大問Ⅰで扱った、同意に関する4種類の手法が適用可能な状況を臓器移植以外で考え、その場合にどの手法をとるのが適切と思われるかを論じるもの。インフォームド・コンセントのような概念は、医学部を目指す受験生にとっては身近なものであったはずで、比較的取り組みやすいテーマである一方、それが適用可能な具体的状況を想起するのは少々難しいかもしれない。

数学

試験時間90分。2020年度入試に比べ、全体的な計算量はやや減ったものの、特に後半の計算が煩雑で、全体的な難易度にさほど変化は見られない。2020年度入試と出題形式はほぼ同じ。大問Ⅰのみ穴埋め問題から答えのみ答えさせる問題に変わった。ここ数年は数Ⅲ、数Bの出題率が高く、融合問題も多め(2021年度入試はさほど多くかった)。また、高い計算能力を要求される問題が目立つ。

大問 形式 難易度 内容
1 答のみ ★☆☆☆

【確率】独立な試行と確率

空間上の動点に関する独立試行の確率の出題。丁寧に設定を読み解けば難しい問題ではない。

2 記述 ★★☆☆

【二次関数】共有点の個数

絶対値を含む二次関数と文字定数を含む直線の共有点の個数に関する出題。図形的な考察が必要になる。それと併せて判別式を駆使して丁寧に解き進めていきたい。

3 記述 ★★★★

【微分・積分(数II)】曲線と接線の囲む面積

2次関数とその接線あるいは接点と焦点を結ぶ直線で囲まれた面積に関する出題。問3は見慣れない存在条件の問題となっており、多くの受験生にとって完答は難しかったであろう。

4 記述 ★★★☆

【積分法】回転体の体積、不等式の証明への応用、極限の応用

y軸まわりの回転体の体積に関連した極限の出題。よく見かけるタイプの問題であるが、計算が非常に大変であり、完答までたどり着くのはなかなか厳しい。

化学

理科2科目で試験時間120分。例年、理論分野から2題、有機分野から2題の出題で、いくつかの範囲に絞って重点的に出題される傾向が強いが、2021年度はCOVID-19の影響もあってか、小問集合1題、理論分野2題、有機分野1題という構成に変化し、全体的な難易度もかなり易化した。出題内容をみると、理論分野においては例年通り「化学平衡」からの出題があった。また、有機分野においても初見の物質に関する出題があった。ここ数年易化傾向にあるものの、油断は禁物である。問題文を読んで解ける問題を確実に解き、計算処理が面倒な問題や難問には手を出さずに得点を積み重ねることが合格への最短経路となる。

大問 形式 難易度 内容
1 記述 ★☆☆☆

【小問集合】コロイド溶液、分子の構造と分子間力、C4H10Oの構造異性体

化学全範囲の小問集合である。1問も落とすことはできない。

2 記述 ★☆☆☆

【酸化還元反応】過マンガン酸カリウム滴定

酸化還元滴定に関する出題である。大問Ⅰ同様、1問も落とすことはできない。

3 記述 ★★☆☆

【化学平衡】化学平衡の法則、反応進行度

化学平衡の法則に関する出題である。「反応進行度」という量が定義されたことで少し戸惑った受験生がいるかもしれないが、化学平衡の法則を普通に用いれば難しくはない。

4 記述 ★★☆☆

【合成高分子化合物】フェノール樹脂、カリックスアレーン

フェノール樹脂に関する出題である。後半の「カリックスアレーン」は初見だと思われるが、合成高分子化合物の計算に慣れている受験生には容易だったと思われる。

生物

理科2科目で試験時間120分。出題形式は、空欄補充と論述問題が中心である。第Ⅲ問は遺伝子発現や細胞分化に関する本格的な実験考察問題が出題されやすい。第Ⅰ問と第Ⅱ問は、標準レベルの問題を中心に作問されているが、やや難しい問いが含まれており、特にヒトの体の構造や機能には深い理解が求められる。また、思考力を試す問題や計算問題が多いことも本学の特徴の一つとなる。知識問題は標準レベルであることから、これらはほぼ確実に得点しなければならない。加えて、論述問題で得点差がつきやすいことから、標準的な知識と記述力の2つを鍛えることが合格につながる。

大問 形式 難易度 内容
1 記述 ★★☆☆

【生物の体内環境の維持】免疫、DNAと遺伝子とゲノム

拒絶反応をテーマに、多岐にわたる分野に派生して出題があった。どの問も答えやすく、基礎的な知識の確認である。

2 記述 ★★★☆

【生物の体内環境の維持】体液の循環・循環系、伴性遺伝と限性遺伝

血液をテーマに、後半はABO血液型や血友病を家系図から推定する問題が出題された。家系図は条件が複雑で、推論もやや難しい。

3 記述 ★★★☆

【生殖と発生】性染色体と性決定

アカミミガメの温度による性決定の考察問題。題材は2020年に発見された仕組みであるが、丁寧に実験が示されているので、もちろん研究自体を知らなくても解答できる。しかし、実験の数と文章量は非常に多いうえ、最後に実験全体を説明する論述があり、差がついたであろう。

物理

理科2科目で試験時間120分。出題分野については「原子」からの出題が再開された2016年度から2021年度までの前後期含めた計11回のうち、「力学」11回、「電磁気」10回、「熱」9回、「波」5回、「原子」9回となっており、他学と比較して「熱」と「原子」からの出題比率が高い。標準レベルの典型テーマが中心だが、条件設定や誘導の少なさにより解きにくい問題がある。導出過程や計算過程への加点はないので、本番で一通り解き終えた後は、設問との対応関係や数値計算の見直しに一定程度の時間を充てたい。

大問 形式 難易度 内容
1 記述 ★★☆☆

【力学】単振動、鉛直投射

鉛直ばねのついた板上の物体の単振動についての出題。典型問題なので、設定を読み誤らずに高得点を狙いたい。

2 記述 ★★☆☆

【電磁気】電子の加速度と速度

荷電粒子の運動についての出題。ア〜ウでは差が付かないので、エとオを取れたかどうかが鍵。

3 記述 ★★☆☆

【熱】気体の状態変化

熱気球についての出題。アでは、Mがモル質量ではなく分子量であることに注意。エとオでは、数値代入をする前にウの数式をうまく利用できるかで計算量に大きく差が出る。

4 記述 ★★☆☆

【熱】光の回折・回折格子、光の回折と干渉

回折格子・単スリットについての出題。ウ〜オの単スリットは典型問題だが、解いた経験の有無で差が付くだろう。

受験者数および合格者数推移

  受験者数 一次合格者数 二次正規合格者数 合格最低得点/満点 得点率
2021年度 1,715名 350名 169名 非公表 -
2020年度 1,880名 352名 161名 非公表 -
2019年度 2,173名 331名 160名 非公表 -
2018年度 2,541名 289名 101名 非公表 -

医師国家試験合格率推移

  全体 新卒
2021年度 94.5% 95.9%
2020年度 97.4% 98.1%
2019年度 93.0% 94.8%
2018年度 87.4% 89.5%

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