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東北医科薬科大学の傾向分析2021

2021年度一般入試問題分析

英語

大問構成・出題形式ともに2020年度とほぼ同一であった。マーク数自体は2020年度の50個から5増えて55個となったが、長文の難易度や分量に関しては2020年度並みで、解答に要する時間にあまり変化はなかったものと思われる。選択肢には一部選びづらいものも散見され、そこで迷うのは仕方ないが、全体の半分程度は素直な出題であったというのも事実である。どの入試にも言えることであるが、確実に得点できるはずの問いで落とさないことが肝要である。もともと時間的余裕のある試験であるため、一語一句の意味を取り逃がさないよう丁寧に読み進めていきたい。

大問 形式 難易度 内容
1 マーク ★★☆☆

【長文総合】適語補充、同義語、適文補充、内容一致

「日本における再生可能エネルギー採用への取り組みとその課題」に関する英文。内容一致問題や下線部の解釈を問う問題は平易で取り組みやすかったのに対し、空所補充はやや難度の高い表現が多く苦戦した受験生も多いだろう。

2 マーク ★★☆☆

【長文総合】適語補充、適文補充、類語選択、下線部訳

「ノーベル賞受賞者を輩出するために必要なことは何か」に関する英文。大問Ⅰに比べると空所補充が取り組みやすく、他の問題も全体に平易である。高得点を期待したい大問。

3 マーク ★★☆☆

【文法・語法】文法・語法、語彙力

文法・語法・語彙を問う空所補充問題。基本的なレベルのものがほとんどである。8問以上は正解しておきたい。

4 マーク ★☆☆☆

【語彙】同義語

同意表現への言い換えを問う語彙問題。こちらも特に悩むべき問題はなく、全問正解を目指したい。

5 マーク ★☆☆☆

【語句整序】

和文を与えられての語句整序問題。問1でやや迷うものの、他はいずれも基礎レベルであり、抜かりなく得点したい。

数学

難易度は、例年より易しめで計算量も少なくなった。大問数は例年と変化なし。分野はまんべんなく出題されているが、特に微積分、場合の数・確率の出題が多い。2021年度は場合の数・確率の出題は見られなかったので、2022年度は出題される可能性が高く、当分野を苦手とする受験生は注意が必要である。2020年度は難化したものの、2021年度は易化した。基礎的、標準的内容の出題も多く、まずは標準レベルの問題をしっかりとできるようにしたい。その後で、2020年度入試のような場合に備え、計算が煩雑な問題、丁寧な数え上げが必要な問題にも取り組んでおきたい。

大問 形式 難易度 内容
1 マーク ★★☆☆

【積分法】積分とその基本的な性質、数列・級数と定積分、数列の極限

定積分と級数に関する典型問題。(3)はn項の和の2乗の積分であるが、sin×sinの積分値が0であることに気付けるかがポイントである。

2 マーク ★★★☆

【数列】自然数の和・Σの計算

任意の自然数の積の和の最大値、最小値に関する問題。(2)にヒントがあるので、(3)は解答しやすい。しかし、(4)は条件が煩雑で少々やりにくく、難易度は高めと言えるだろう。

3 マーク ★★☆☆

【微分・積分(数Ⅱ)】関数の最大・最小、三角関数の合成

sinとcosの対称式の最大値に関する典型問題。難しい計算も少なく、完答したい問題である。

化学

大問4題(小問25問)構成となっており、例年正誤問題が5題ほど出題されていたが、2021年度は1題のみであり、計算問題の割合も例年より少なくなったため、全体的には2020年度よりも易化した。しかしながら、【Ⅱ】問11や【Ⅳ】問22のように、小問でみると時間がかかるような設問もあるため、易化したからと言って楽観視はできない。また、過去の傾向をみると、他大学に比べて化学の歴史や無機化学の知識問題が比較的多く、正誤問題も5題ほど出題されているという点には今後も注意しておきたい。基本的な問題が多いため、知識問題や正誤問題で差がつく。

大問 形式 難易度 内容
1 マーク ★★☆☆

【結合・結晶】貴ガス、原子・イオンの大きさ、結合の種類、イオン結晶

結合・結晶に関する出題である。いずれも内容は平易である。

2 マーク ★★★☆

【理想気体と実在気体】ファンデルワールスの状態方程式

理想気体と実在気体に関する出題である。圧縮率因子について学習したことがある受験生は多いと思うが、問11の式変形はなかなか気づきにくく、時間がかかったかもしれない。

3 マーク ★☆☆☆

【金属元素・酸化還元反応・溶解度積】クロム、酸化還元滴定、モール法

クロムを題材に、酸化還元反応やモール法に関する出題である。問14の体心立方格子の構造をとる金属を知っていたかどうかで差がつく。問19のモール法の計算も一見難しく見えるが、いたって平易である。

4 マーク ★★☆☆

【炭化水素】構造異性体、置換反応、配座異性体、アルケンの酸化

炭化水素に関する出題である。問22の異性体の数え上げがちゃんとできたかどうか、差がつくところである。

物理

小問数は2020年度より7問減り、難易度は横ばい〜やや易化である。しかし、手際よく解いていかなければ全ての問題に手をつけることは難しい。大問数は3で、解答の選択肢は文字式で表現されているなど、形式は一定である。2020年度と比べると難易度・問題量とも穏やかになったが、解く問題の取捨選択や計算の手際によって差がつくのは2020年度と同様である。2021年度は、原子分野が出題範囲から除かれた。なお、2022年度は、本稿の執筆時点では物理基礎・物理の全てが出題範囲となっている。

大問 形式 難易度 内容
1 マーク ★★★☆

【力学】運動方程式

複数の物体についての運動方程式と慣性力についての出題。運動方程式を立てる設問については、力を丁寧に図示して注意深く作業すればよいが、時間はかかる。また、問6や問9に関しては、複数の物体を一体と見て計算することにより省力化することができる。

2 マーク ★★☆☆

【電磁気】電気回路

抵抗、コンデンサー、コイルを含む電気回路についての出題。電気回路についての典型的な問題であるが、解き慣れているかどうかにより解き終わるまでの時間には差が出る。

3 マーク ★★★☆

【波動】波の式、反射による位相変化

波の式、反射、透過、エネルギー、強さについての出題。誘導は丁寧だが、波の式やエネルギーの扱いの経験量により、解くスピードや得点には大きく差がつくだろう。

生物

全問マークシート形式の出題で、医学部の新設から6年目となる2021年度は、過去5年の入試と同様の出題であり、形式が安定してきたといえる。しかしながら時間のかかる考察問題が含まれているため、解答時間にあまり余裕はない。また、2020年度に引き続き、2021年度も[Ⅰ]の分量が多く、問題を見ながら適切に時間配分できることも重要である。全体として、大問2題は、基礎〜標準レベルの問題で得点しやすいので、ここで確実に得点し、難易度の高い出題が見られる残りの1題でどれだけ取りこぼさないようにするかで得点差がつく傾向がある。

大問 形式 難易度 内容
1 マーク ★★★☆

【生物と遺伝子】遺伝子発現の仕組み、バイオテクノロジー

遺伝子の発現の仕組み、とくに転写と翻訳における塩基配列の読み取りに関する問題の集合である。量が多く、考察も必要な、やや難しい問題であった。

2 マーク ★★☆☆

【生物の体内環境の維持】ホルモンと内分泌腺、フィードバック調節

内分泌系に関する基本的な問題である。内分泌線の腫瘍による分泌異常をテーマに、フィードバック調節の考察をする問題に関しては、差がついたであろう。

3 マーク ★★☆☆

【生物と遺伝子】体細胞分裂、遺伝子と組換え

体細胞分裂の周期の長さを求める計算問題は、対数グラフが正確に読み取れるかで差がついたであろう。後半の配偶子の染色体の組合せを計算する問題はやや複雑で難しい。

受験者数および合格者数推移

  受験者数 一次合格者数 二次正規合格者数 合格最低得点/満点 得点率
2021年度 1,684名 552名 118名 非公表 -
2020年度 1,582名 549名 100名 非公表 -
2019年度 1,575名 552名 281名 非公表 -
2018年度 1,673名 600名 227名 非公表 -

医師国家試験合格率推移

  全体 新卒
2020年度 非公表
2020年度
2019年度
2018年度